甲殻類と死にたがり
うん、部屋の内装は良い感じだったよな?
気が病みそうで何もする気が起きなくなるような良い部屋だった。
部屋の外はあっさりしすぎてて引き返したくなる。
綺麗なものって眩しくて目が痛いんだよ。
よっし、引き返そう。
引きこもろう。
そうしよう。
うっし、俺の冒険はここで終わりました、っと…
バッドエンドの手前でセーブする機能が現実には存在しないことが悔やまれる。
「ぎゃあ!」
みっともないことに驚いて悲鳴をあげちゃった俺ちゃん。
まあ、振り返ったら化け物みたいな海老が居たんじゃしょうがねえよな?
いやまあ着ぐるみなんだけど。
こいつ、部屋の中にずっと居たの?
気づかなかったなあ…
まあいいや。
俺は海老の横を通ってベッドに向かう。
なるほど、海老ってば俺の後ろをついてきてるね。
うーん、そういやここってどこだっけ?
なんか全然何も思い出せないけどどうなってんだろ。
ここって死後の世界だったらどうしよう。
エビとか普通はいないよな。
死んでも世界が終わらないなら、俺は何のために生きてたんだか分からなくなっちまう。
とりあえず寝よう。
部屋の外があんなんじゃ、どっちにしたって俺にはもう生きる希望がない。
ああ、腹へったらエビが居るね。
俺ってらっきーだね。
って、頭が高くて寝にくいんだった…
うわ、萎える。
「なあ、そこの甲殻類ちゃん。ちょっと枕になってくんねえか?」
ああ、エビ語じゃなくても大丈夫かな?
ん、通じたみたいだな。
エビがこっちに来て枕になってくれた。
ふーん。
エビ枕って悪くないのな。
おいらってば幸せ…
おやすみだぜ…




