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会場へ行く姉妹


 箕作のおっちゃんに連れてこられた送迎車…

 真っ黒な車…

 そこには喪服を着た運転手が…


 いや、顔まで真っ黒だもんな。

 黒子って呼ぶ方がぴったりだったかもしれねえ。


 まぁ、そんな黒い運転手が黒い乗用車で送迎してくれたよ。

 車内で姉ちゃんに膝枕してもらったけど、至上の枕は人体の柔らかさだって言う姉ちゃんの主張の正しさを思い知ったぜ!

 短時間でぐっすり眠っちゃったよ。


 車から降りるとそこにはピラミッドがあった。


 ピラミッド?


 赤と黄色のブロックが組み合わされてる子どもが遊びで作ったみたいな派手な色合いの、だけど超巨大なピラミッド。


 訴えられたら敗訴確実な景観破壊がいっそ清々しいくらいにリゾートっぽい場所に合ってない建築物。


 その入り口の上には「まどりべ会場」って書いてるね。


 看板はしっとりとした木の看板ってのがまたミスマッチだぜ。


 しかしね。

 まったく意味分からんね。

 分からん時は姉ちゃんに聞いてみよう。


「これってヤバい?」


「センスの無さはヤバいわね。結局はここに入るくらいしか選択肢が無さそうなところもヤバいと言えるかしら?」


 なるほど、確かに入るしか無さそうだね。

 送迎の車ってばいつの間にやら勝手に帰っちゃってるみたいだし、このままここに居ても熱中症くらいしか得るものが無さそうだ。


 タキシードって暑いね。

 エアコン効いてる部屋で服を選んだのが間違いだったかな。


 天気予報見て決めたら良かった。

 ああっと、そもそもあそこの選択肢に夏服なんてなかったね。


 それにしてもさ、自販機くらい置いとけってね。お金無いけどさ。


 さて、ピラミッドの中は…


 涼しいね。

 よしよし、エアコン効いてる部屋で服を選んどいて良かったぜ。


 うん、だけどここ、なんにもないじゃん?

 全面に白黒の市松模様っていうのかな。

 モノトーンなタイルがごちゃごちゃしてる感じだけど、よく見ると空っぽの部屋だよね。


 がらんどーってやつだね。

 うーん…


「姉ちゃん、がらんどーってどういう意味だっけ?」


 自分で言っといて何だけど意味わかんない言葉だよ。

 こういうのは姉ちゃんに聞いとけば良いよね。


「人がいない店を『がらがらだ』とか言うでしょ。それが、物も何もない場合には『がらんどう』になるのよ。つまり『がらがら』の上位に存在している言葉なのね。『がらんどう』って」


「なるほど、姉ちゃん、ありがとう!」


 ガラガラがガランドーに進化するってわけだね。

 よっし、ここはやっぱりがらんどうって言葉がぴったりの場所だったよ。


 涼しいからしばらくはここに居ようかな。

 凶暴なまでの夏の陽射しの只中よりは、少しでも姉ちゃんに優しい場所に居たいしさ。


 何だかんだで姉ちゃんと二人なのが一番落ち着くもんね。


 よし決めた!

 私はここでくつろぎモードでだらだらするぜ!


「ここ、何か居るわよ」


 とうとつに姉ちゃんから発せられる警告。

 だらだらしようと気合い入れたのに、なんていうか肩透かしだね。

 

「ん? でも何処にいるのかな?」


 姉ちゃんが言うなら何かが居るのは間違いないとして、だけどどこにも誰も居ないよ。


「「ピンポンパンポーン」」


 ん?

 これはさっきの……


「「なおこずが朝の6時をお知らせします!」」


 おおうっ

 ここでも時報が流れてくるんだね。

 流行ってるのかな?


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