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併交世界  作者: 氷桜羽蓮夜
197/199

6ー5ー2

「オニーサン!」

「オバサン!!」

「「アソボウヨッ!!」」


狂気に満ちた無邪気な声が響く中、通行阻む瓦礫眺める和輝は握る刀を遊ばせながら、歪な笑顔で声の主たちに対峙する。


「よぉ砂利共、みんな纏めて地獄に落ちる覚悟でも固めてきてくれたのかぁ?」


そんな和輝の声に動揺した様子も見せず相対する幼子たちは、相も変わらず無垢な笑みを浮かべていて。

笑い声が響く(「「アハハッ!!」」)と共に、影より無数の人形が不協和音を発しながら躍り出る。


「雑魚に用はねぇんだよ!!」


刀を薙ぎ迫り来る人形割れど、合間合間に死角から攻撃を仕掛ける幽霊たちに憤慨混じる殺意が向いたは暫し後。

 高みの見物決め込んでるたぁ、随分と舐めた真似してくれるじゃないか

残酷で冷酷で非情な声が響くを契機とし、漆黒に染まった床より蠢く触手が怪異を掴み吊り上げて。

抑揚消えた声(「「エ?」」)が重なると同時、狂った笑みを浮かべる生者が吐き捨てた。

 地 獄 に 落 ち ろ 

轟く声が響き渡るを待たないで、触手に掴まれた怪異たちは床や地面を振り切り下へ落ち。


「もう飽きた。舐めた真似してくれた奴も、こんな状況作り出した大馬鹿野郎も……全部、全部殺してやるよ!!」


重なる悲鳴に背を向け後方に転がる箱を蹴り、刀振り落として叩き割る。

濁った紅い血生臭さ溢れ出る液体流れ、人の指先と内臓が零れて拡散し。

 へぇ? なるほどね

それを隠すが如く立ち込める瘴気に薄ら笑いを浮かべると、瘴気を刀で払いながら囁いた。


「コトリバコ、か」


微かな声が響くと同時に瘴気の霧より影が起き、巨大で禍々しい骸骨が無数に現れ歯を鳴らし。

 ……ようやく終わりが見えてきたじゃねぇか

獰猛で冷酷で非情な笑みを浮かべる和輝の顔上がり、嗤い声を響かせながら迫る岩骨を吹き飛ばす。


さっさと消えろ(死にさらせ)


躍り出る骸骨を躱しながら地を蹴り小さなガシャ髑髏を踏み台にして更に高く飛び上がり、虚空に大小様々な銃器を顕現させて触れることなく弾を撃ち。

一際大きな体躯で鎮座する髑髏と視線合ったその瞬間、刀を勢いよく振り下ろした。




「オバサン!」

「「アソボウヨッ!!」」

「「誰がオバサンだ、こら」」


一方で廃校の敷地に広がる森の中、響く無邪気な声に血管を浮かべ(額に)相対する余裕のない者たち(天界勢)がいた。


「おうこら砂利共、地獄に叩き落とされる覚悟はできたんか? あん?」

「せやで砂利。この若さに満ちた体見てどこにオバハン要素あるんか聞いてもええか? 地獄でなぁっ!!」

「お、落ち着いてくださいアンドロメダ様!」

「お前もな、スラオシャ」

「いやー、年喰うと大変ですね! 天照様!!」

「ラファエル、ちょっといいとこ行かない?」

「ひぃっ!?」

「何やってるのラファエル……」

「これが……上級の余裕……」

「クリューネル、見習わなくてもいいと思うよ……」


始まる喧騒に呆然とする子供たちだったが、時間が経てども収まるどころか余計に騒がしくなる現実に顔顰め。


「ナマイキ」

「ナマイキ」

「ナマイキ」

「ナマイキ」

「「ナキサケブコトシカデキナイクセニ!!」」

「「ヒッ!?」」


憤怒の表情を浮かべ歪に響く叫び声を挙げながら、天使たちの眼前へと転移し窪んだ眼窩で見上げ首へと手を伸ばす。

一方でそれに怯えるはサキエルとシオン、クリューネルの三体のみで、怯える者たちに代わり迫るソレラを握り潰した者たち振り向いて。


「あぁ、あんたらは初めてか?」

「慣れですよ、慣れ」

「同感だ」

「私も最初はそんなものでしたので、恥じることはないですよ」

「そうそう。で、こういう時の対処法はね……」

「「―――殴って殴って殴りまくれぇっ!!」」


血を浴びるアンドロメダとラファエル、ミカエルや天照にスラオシャが、何気ない様子で言葉重ねる様子は害虫駆除の口調だったと語らる他所で。

轟くウリエルの叫び声に呼応して、固く握った拳を(戦闘狂たちが)振り上げた。


「「抵抗する意思がなくなるまで、徹底的にぶちのめしたらぁっ!!!」」

「「えぇっ……?」」


振り上げられた拳は鳩尾にめり込み鈍い音を響かせて、困惑の声が響くと同時に悲鳴すら上げる暇も与えることなく怪異を手近な木へと打ち付ける。


「「まだまだぁっ!! 死にたいやつぁかかってこい!! 逃げたい奴ぁ惨たらしくぶっ殺してやるよ!!」」


そこから繰り広げられた一方的な攻撃は、見学者曰く虐殺以外の何物でもなく。


「……逃げよっか」

「「うん」」


サキエルがふと漏らした言葉に、躊躇うことなくシオンとクリューネルも頷いた。

それ以上何を言わぬ者たち静かに処刑場を離脱して、幽霊蔓延る校舎へと足を踏み入れ首傾げ。


「……あれ?」

「無人?」

「……これはこれで怖いかも」


固く握りしめる武器より力抜いて辺り見て、襲撃なき現実に困惑の表情向けあった。

無言で当惑を語り合うも僅かな時間、遠くより響く爆発音が届くや武器握る腕に力込め。


「誰かいるのかな?」

「行ってみる?」

「まさか、相手が爆弾使うってこともないだろうし……」

「「――――――ヒッ!?」」


轟音が破裂する中心地へと足向けそこにいた、瞳孔ごと目を見開きながら口元吊り上げ狂気の笑み浮かべた少年を、歪で不気味な笑い声を響かせる天神和輝を目の当たりにしては震える足より力抜け。

 あ、悪魔……

立ち上がること忘れた者たちの、怯えた声が重なった。


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