Magical Girl 〜Side Raphael〜 Ⅲ
「おい! 聞いているのか!!」
灰と消える少女の死体に涙落ちた次の日、彼女の通う学校では太い声が響いていた。
「はい……」
「何だその態度は!!」
「まぁまぁ先生、落ち着いて……」
「……それなら後頼みますよ、先生」
平坦かつ無機質な声紡ぐ彼女に机を叩き恫喝する中年の男性教師だが、一切の反応示さぬ彼女の様子に気味が悪いと顔で言い。
そんな中年教師宥める若い男性教師は職員室より去る彼へ手を振って、薄い笑み貼り付けながら彼女に視線を戻し囁いた。
辛いことがあるなら、僕に相談してくれていいんだよ?
微かに目を上げる彼女がそれ以上反応示すことはなく、そんな彼女より視線外した教師は手を握って笑顔向け。
「少し散歩しようか」
感情表さぬ彼女の手を引き準備室へと連れ込んで、鍵掛け扉側に立ちながらその顔を欲望に歪め嗤い声を吐き漏らす。
ずっと……ずっとこの日を待っていた……!!
手を伸ばし彼女を押し倒す男は跨り制服を破り捨て、現る素肌に感嘆の息を吐き漏らし。
「先生、独り占めはないでしょう」
「全く先生もお人が悪い」
奥の扉を開け現れるは、男女問わず集まった教員と生徒。
「アッハ! いい様じゃん!! 私、前々からあんたのこと気に入らなかったんだよね〜!!!」
「先生、まだ〜? 早くこいつの絶望した顔見たいな〜っ♪」
「先生、本当にこいつ好きにしていいのか!?」
「あぁ、もちろん。こいつには一回しっかりとした指導が必要だからな!!」
「ちょっと、お前脱ぐの早すぎだろ!!」
「おいおい、目の前に見てくれのいい奴が半裸になってるんだぜ?」
「もー! これだから男子はー!!」
「はっはっは!! 健康で良いじゃないか!!」
蔑みの視線を彼女に向ける彼ら彼女らに下卑た笑み広がって、事が起こるのを今か今かと待ち構え。
それではご期待にお答えして……。
僅かに気落ちした表情浮かべる彼女連れ込んだ教師が下着脱ぎ、彼女の股へと触れたその瞬間だった。
〈死ねよ〉
低い声微かに響くや男の口より血潮吹き、彼女の方へと倒れ伏す。
〈邪魔〉
周囲の時間が止まる中で死体転がす彼女は立ち上がり、感情なき瞳孔開いて腕伸ばし。
〈死ね〉
その場にいた誰もが破裂して、撒き散らす血が茶色の準備室を朱に染める。
……ざまぁみろ。
吐き捨てる彼女に返る音なぞ最早無く、ふと自身の体へ視線向ける彼女は首傾げ。
「何? この感覚……」
「おめでとう、君の寿命はまた伸びた!」
「……は?」
首を傾げた瞬間響く声にその身を強張らせ、声のする方向振り向き目を剝いた。
そこにいる漆黒の服纏う火傷跡目立つ男に舌打つと、呆れ混じる視線突き刺し纏う空気の温度下げ。
「あれ、説明はなかったかい? 魔法少女は魔法少女を殺すことで生命が回復し、直接その肉を喰らえば快感が得られるって話だけど。試してみるかい?」
「……は?」
そんな彼女へ言葉を紡ぐ黒衣の男はみんな不親切だと笑い、言葉失う彼女へ解っているからと顔で言い。
尚も表情変えぬ彼女の顔に触れては叩き落とさる左手抑え、仕方がないと腕組み彼女の方へ向き直る。
「そんな顔しないでくれよ! 言われなかったかい? 魔法を使う対価は何かって」
「いや、それは……」
「あぁ、知っていようがいまいが、大したことじゃないんだ。君たちは僕たちの魔力を利用して魔法を使っているわけだけどね、魔力ってものは一人一人違って他人のものなんて使えないわけだ。じゃあどうするのかって? そこで生命の出番! 生命エネルギーを使って僕たちの魔力を君たちの魔力に変換、実に素晴らしい技術だと思わないかい!?」
「……で、本題は?」
「あっちゃー、これは手厳しい!」
難しい理論なんて、知ったことか。
形勢逆転する状況に大仰な反応示す男だが、彼女の視線と声より思考の色なぞ最早消え。
刹那の時が過ぎると同時に部屋の温度はまた下がり、周囲で怯える生物の体温奪い震えさす。
「おっと、そう睨まないでくれよ! 今日僕が来たのは初期説明さ!!」
「初期説明?」
「そうそう、凄く単純なこと。魔法は命と等価、他の魔法少女を殺せば命は回復するし取り込んだ魔力によって更に強くなれる……つまり、どんどん他の魔法少女を殺してってことだねー!!」
慌てた声響かす男へ微かな息が吐き出され、弾んだ声返るや時止まる。
下唇噛んで無言貫く彼女が口を開いては閉じること繰り返し、その瞳に狂気の色戻しながら前を見た。
「……んで」
「ん? どうかしたかい?」
「何で、あなたはこんなことをしているの?」
「何でって、退屈だからに決まっているじゃないか」
「は……!?」
君は一体何に怒っているんだい?
常識でも言うが如き口調で告げた男は返る反応に困惑し、声に成らぬ無秩序な音発する彼女の様子に首傾げ。
唐突に納得したと頷くと、彼女に近づき希望に満ちた声響かせる。
「今僕たちは勝負しててね。他の参加者を全部下して覇者になれば、この世界をまだ誰も見たことのない優勝者だけが見たい世界に変えられるんだよ!!」
「えと……?」
「うーん、そうだね……。君は、空想上の世界に興味はないかい?」
「……興味ない。どこにいっても大体同じ」
「うんうん。まぁ、それは僕が優勝して認識を変えてあげるとして……」
戸惑いながら視線を外す彼女に慈しみの視線向き、殺気飛んでは虚へと消え。
誰に届くこと望まぬ声量で単語を羅列する彼女は満足げな笑み浮かべながら頷く男へ近づくと、絶望に顔染めながら平坦な声を震わせた。
「……魂の隷属」
「うん?」
「知らない人が言ってた。魔法少女は魂を隷属されて、死後術者の人形になるって」
「あー、趣味が悪いやつはそうなるって話も……」
「あなたは違うと?」
「システム的に僕の支配下に置かれるのは確定だけど、僕は君のこと気に入ってるからね! 自由は保証してあげるよ!!」
僕をそこらの変態と同じにしないでほしいな。
憮然と返す男は無言の声に息を吐いて視線を外すや両手上げ、口噤んで時を待つ。
そんな男より視線外した彼女が若い教師へと目を向け数拍後、微かな声が漏れ出でた。
「……何でそこまで私に肩入れするの?」
「え? そんなもの、理由がいるかい??」
間髪入れずに続く声は再び沈黙齎して、準備室の扉が開かれるや止まった時間が走り出す。
目を剥く中年の男性教師へ意識向き、誰が何を言う間も与えられずに弾け飛び。
「ヒューッ! 派手だねー!!」
「……最後に教えて」
「最後と言わず、どんどん聞きなよ!」
「私、一度人を生き返らせたの」
「えっ!? そりゃあ凄い! 君、よく生きてたね!!」
「でも、この前やろうとしたらできなかった」
「そりゃそうだ。そんなホイホイと人が生き返ってもらったら困るよ。それで、生き返らせた人は……」
「……速攻で殺した」
「……アッハ。やっぱ君いいよ、最高……!!」
集まる教師が破裂する中で歓声響いたのは一瞬、平坦な声と薄い声が飛び交い昏い狂気が世を歩き。
熱籠もる視線を彼女に送りながら荒い息吐く男が恍惚の表情浮かべるのを他所に、嫌悪の感情首擡げ。
唐突に虚空を見つめた男は弾けんばかりの笑み浮かべ、揺れる声を弾ませた。
「僕が出来るのは、公開されてる情報を教えることと、魔法少女の存在を不必要に広めないようにすることだけ。優勝は君にかかってるんだよ♪」
頑張ってね。
指を鳴らして骸と血を消す男の姿は彼女の前より消失し、鴉の羽根が降り落ちる。
彼女が呆然と虚空見上げること暫し、唐突に表情戻して腕を伸ばすと側方にある真新しい着替えを手で掴み。
汚物でも見るかの如き視線を虚へ遣り血の混じった唾を吐き、忌々しげな声吐き出した。
「どいつとこいつも狂ってる……!!」
着替え終わるや荷物を取って帰路に就く時分はもう既に、陽が沈み始めた夕焼け空で。
それは、彼女が学校の敷地から出た瞬間だった。
「は……?」
「……ざまぁみろ、地獄に落ちろこの屑が!!」
突如彼女の周囲が暗転し、息吐く彼女の首が地に落ちる。
そんな彼女を見て壊れた笑い声を響かすは、肩まで伸びた黒髪を下方で2つに結ぶ、彼女と同じ学校の制服を来た少女。
「あんたが死ねば良かったんだ!! 何であいつが死ななきゃいけなかったんだよ!!」
彼女の頭蹴り飛ばして首消えた胴を踏み、吐き捨てるように言い放ち。
その足が彼女の鳩尾を捉えたその瞬間、目を見開いた少女は飛び退き振り向いた。
「何……で……?」
微かな声紡ぐと共に血を吐き倒れ、悶え苦しみながらも地面這う。
どこに行こうとしてるのかなー?
弾んだ声揺れ手が踏みつけられると同時に肩跳ねる、怯えに染まった少女は顔を上げ。
そこにいる残酷な笑みに脱力し、その瞳を絶望に染めて息を吐く。
「えっと、何だっけ? 私が死ねば良かっただっけ?? あなた魔法少女みたいだし……つまり、そういうことだよね???」
少女が失意に沈むは刹那のことで、続く声に口を固く結ぶや涙溜まる目に怨嗟の炎を猛らせて。
踏まれた方とは逆の手で足を払い立ち上がり、殺意と憎悪を纏いながら腹から声を震わせた。
「あぁそうだよ。あんたみたいな価値のない可燃物、私の友達のために死ねば良かったんだ!!」
「ごめんね〜、こんな価値のない可燃物があなたの弱っちいお友達に勝っちゃって♪」
「ふ……ざけるな……!!」
「っ!? あっ……ぶな……!!」
顔で嘲り視線で蔑む彼女の様子に対する者の瞳孔開き、虚空より闇で構成されし槍取り出されては彼女の方へと吸い込まれ。
投げらる槍を紙一重で回避し頭部の消滅免る彼女に緊張混じった汗流れ、それ以上の行動許すことなく血を吐き倒れる少女へ手を伸ばし。
「おい、大丈夫か!!」
爆発音と共に吹き飛ぶ彼女は宙を舞い、同じ制服纏う黒髪刈り込んだ少年が倒れる少女へ近寄り肩を叩いてそう叫ぶ。
反応示さぬ少女の瞳を見たその瞬間、側方へと飛び退きながら虚空より刀を取り出した。
「……へぇ? 男でも契約できるんだ」
いよいよ見境ねぇな。
抜刀しながら跳躍する男の腕は彼方見据えて嘲る彼女の首捉え、迫る拳を迎え討つ。
爆ぜ落ちる彼女の腕が瞬く間に再生し、吊り上がる口元より声出でた。
「まさかとは思うけど、そこの屑を助けに来たの? 顔も頭も性格も、何もかもが悪いし止めといた方が良いんじゃない?」
「黙れ、こいつをこんなにしたのはお前か!!」
「私以外誰がいるの?」
鋭い声へ呆れ投げるを契機とし、少年の頭部が弾け飛び。
内容物浴びながらその様見ていた少女は跳ね上がり、その顔に遥かな狂気を表し地面蹴り。
闇の鎧纏って漆黒の槍を手に握り、佇む彼女へ突き出した。
「よくもおぉぉぉっっっ!!!」
「何その鎧」
「お前もあの女と同じ目に合わせてやるよ!!」
「あの女って誰よ」
それを躱す彼女は掻き消える舌打ち鳴らしながら手を伸ばし、何を成すことなく再び迫る漆黒の槍を紙一重で回避して。
切れる腹に手を翳し、修復する様見る少女が狂気に満ちた笑み浮かべ嘲笑う。
「あぁ、やっぱりお前回復系か! この前殺ったのと同じ系統なら早く言えよ!! 路地裏で殺ったのと同じ方法でもっと早くぶち殺せたのにさぁっ!!!」
「その女ってのは」
「あ?」
「抜けたような顔をした、胸のでかい曲がった髪の女か?」
「よく知ってるじゃねぇか、お仲間か? そりゃ良かった、あいつ経験値美味しかったからお前も期待できそうだなぁっ!!」
響かす壊れた声に眉釣り上げる彼女は拳を握り、深く息吐き足引いた。
下卑た笑みで嗤う少女を見据え数拍後、その瞳に昏い光を灯して大地蹴る。
「お、死にに来……ごふぅっ!?」
槍を突き出し構える少女の顔に拳が突き刺さり、仰け反る者が地面離れるや彼女の両足も宙に浮く。
そのまま鳩尾蹴って吹き飛ばし、逃走許すことなく地に落とす。
「何……で……何で、何で何で何で!? 普通に考えて私達の方が価値があるでしょ生きるべきでしょ!? あなた達は餌のはずでしょ!? 何で私がこんな目に遭わなきゃいけないの!?」
「よく回る口じゃねぇか」
「死んだ治癒のあいつだって、私の餌になって嬉しいはず……」
「黙れ、あいつを騙るな」
狂気に染まる顔で叫ぶ少女へ一切の温度含まぬ声のみただ返り、後退る少女は視線でその場に留められ。
無言で振り上がる彼女の踵が脳天捉えて頭蓋割り、仰け反り意識を飛ばす少女の股間蹴り上げ意識を引き戻し。
「楽に死ねると思うなよ」
「ギャアァァァッッッ!!!」
虚無へと染まる少女の左肩へと足が落ち、屈みながら暴れる者の右腕掴んで肩より先を引き抜いた。
響く壊れた叫び声に残酷な笑み向ける彼女は開いた口に足を入れ、靴濡らす吐瀉物と共に足を引き、髪掴んでは自身の目と触れ合う距離まで顔を近づけ平坦な声を弾ませる。
「よく鳴けよ、お前はこれから四肢をもがれて腹を割かれ、腸を引き摺り出されてもなお生き続けるんだ」
「いや……いや……」
「どれだけ痛いだろうなぁ、どれだけ苦しいだろうなぁ……」
「やめ……」
「あぁ、止めてやるよ。皮を剥ぎ終わって痛みが最高潮になったところでなぁ……!!」
恐怖と絶望に染まる少女へ昏い嗤い声響かすと、地面に手を就く彼女は全身動かす少女の手を払い掴み上げ。
「こんな手、要らないよな?」
「ヒギャアァァァッッッ!!!」
左腕の全ての関節を非ぬ方向に曲げて、悶え苦しむ少女に愉悦に満ちた笑み浮かべ。
息が落ち着こうとしたその瞬間、手首だけを捻り取る。
「ひゅぅっ……っ!!」
「おいおい、もう終わりか? もっと泣き叫んでくれよ」
掠れた声響かす少女に落胆したが如く視線向き、そう時を隔てることなく左腕も千切られて。
あーあ、壊れたか。
最早反応見せることなく虚ろな瞳で空眺む、心壊れし少女の様子に平坦な声が霧散した。
彼女が心閉ざした少女より視線を外したのは一瞬、手にする左腕放り投げては少女の瞳覗き込みながら囁いた。
「これで逃げられるとでも?」
「何で……」
彼女に獰猛な笑みが浮かんだその瞬間、少女の瞳に光が戻って恐怖吐く。
そんな少女に対する彼女は冷酷かつ凄惨な、愉悦に満ちた笑みを浮かべ指伸ばし。
「死ぬより辛くてこの世で一番辛い目に遭うまで、逃してあげないから」
「あ"ぁ"……あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"っ"っ"っ"!!!」
「随分と良い声で啼いてくれるじゃねぇか!!」
震える少女の頬触れ囁きながら両足の関節全てを逆に折り、口から鮮血吹き出し叫ぶ少女に高笑いを押し投げる。
轟く悲鳴に感情高ぶる彼女の熱気が上昇し、右足で鳩尾踏み付け力入れ、左足の太腿を掴み引き抜いた。
そのまま彼女は悲鳴許さず踏み変えて、残る左足を引き千切る。
「おっと、退場の時間はまだですぜ。お客さん?」
「ころ……して……」
吐く血も減少する最中に感情戻す少女が懇願の如き声を小さく響かすも、時隔てず消える虹彩へ目を向けた彼女は心臓部に手を当て微笑んで。
どうしようかと視線を外し、小気味良さげな表情浮かべ悩んだ声音響かすと、笑顔の奥に侮蔑の瞳湛えて短く答えを弾ませた。
「い や !!」
その瞬間少女の服が弾け飛び、少女の腹に手を当てた彼女は恍惚に満ちた顔で息を吐き。
だって……お楽しみはこれからなんだよ!!
無邪気な幼子の如き声を震わせ腹を割り、顕になる腸引き摺り出しては壊れた笑い声けたたましく響かせる。
「わぁーっ! 人の腸って本当に長いんだー!!」
興奮した声弾ます彼女は唐突にその手へ視線を落とし、引き千切られた肝臓掲げ首傾げ。
ごねんね、何かよく解らないの千切っちゃった♪
清々しい笑みでそう嗤い、瞳孔開いて憤怒に染まる少女を嘲笑し。
「何? 何か言いたいことがあるなら言ってごら……あれ? あんた妊娠してたんだ」
溢れる内臓の方へと目を向けるや口元吊り上げ手を伸ばし、破裂した内臓の残骸にいる胎児に触れては圧し潰す。
「あ、ごめん潰れちゃった☆」
「あ……があ"ぁ"ぁ"ぁ"っ"っ"つ"!!!」
胎盤ごと引き抜く彼女は少女の眼前でそれを振り、血を浴びながら般若の形相で叫ぶ少女に凄惨な笑みを浮かべ放り投げ。
そんなに怒ってどうしたのかにゃー?
暴れる少女へ声投げる同時に胸を割り、心臓近くの血管破裂させては心臓取り出し少女の口へと押し込んで。
「自分の心臓の味はどう?」
血を垂れ流す口を踏みつけ残酷な声音吐き出すと、手を伸ばして彼女は囁いた。
じゃあ、最後に私を楽しませてね。
その瞬間、少女の皮膚はずり落ち筋肉が空気に晒される。
身を捩り涙流す少女の胸を彼女が何度も強く踏み詰り、頬吊り上げ眼球潰し蹴り飛ばす。
「アッハハハハハ! ざまぁみろ!! 簡単には死なせてやるもんか!!! 苦しんで苦しんで苦しみ抜きながら絶望の果てに死んでいけ!!!!」
踊る少女を嗤う彼女に浮かぶは狂気に満ちた歓喜の表情一色で、そんな彼女の側方へと現れた漆黒の衣服を纏う男は口を押さえて後退り。
「うぷ……よくこんな残酷なことが平気でできるね……」
「平気? これが平気に見える?」
あ、終わった。
動きを止めた少女の肉塊を見る彼女がそう呟くと、男の方へと視線向け。
もっと遊びたいから、魔力頂戴♪
笑顔でそう告げるも対する男は息を吐き、彼女と距離を保ちながら言い放つ。
「……楽しそうにしか見えないよ」
「ひっどいなー、私はこんなに悲しんでいるというのに」
そんな男に軽口で返す彼女は肉塊見るや笑み弾け、最後の仕上げと顔で言うや首と胴を切り離す。
男がそんな彼女から顔を背け一拍後、静かに言葉を吐き捨てた。
「……僕は君が恐ろしくて仕方ないよ」
「はいはい、お片付けはよろしくね」
人払い、あなたがしてくれたの?
そう問い掛ける彼女に返る音は何もなく、それを気にした様子見せぬ彼女も落ちる荷物を拾い上げ。
帰路につく彼女見送る男は指を鳴らすと死体と血痕全て消し、掠れた声音を震わせた。
「……僕はとんでもない者と契約したんじゃなかろうか」
恐れ慄いた声が掻き消えるのを待たず、男は再びこの世界より姿消す。
とある少女が惨殺されたことなぞ知らないで、世界は平穏に回っていたと語られる。




