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痛くないからゴリ押し特効!  作者: 神代 信明
7/47

巡視、不思議な存在

設定の一つ、

国はいくつかあってそれぞれ基本六属性と一つの固有魔法が存在する。

この世界は七日で一週間、五週間で一月、12ヶ月で一年なんだそうだ。つまり一年420日。結構長い。

その内鍛練は一週間に3回。他4回のうち2回は休み。では残り二日は?

「何でよりによってこいつと…」

ずっとぶつぶつ愚痴っているのはおっさん。その隣を歩く私。歩幅に差があってきつい。

そう、現在巡視中。結構混んでる街中を警戒しながら犯罪を未然に防ぐのが仕事だ。

「一応親子で、実力者でストッパーだからじゃない?」

そんな散歩に似た仕事の合間に他愛もない会話をしながら歩く。


ここは住宅街、特に犯罪は起こらないそうだ。せいぜい喧嘩程度。井戸端会議中のおばさんたちがこちらを見て、特に気にせずに会議に戻る。

道中散歩中のおじいさんから「お父さんのお手伝いかい?偉いねぇ」クッキーをもらった。食べてもモソモソするからおっさんにあげたけど。


次に商業地区。比較的犯罪の多い地域。恐喝、人攫い、盗人など結構仕事がある。そのつど仲介、弁償、逮捕など、ここでも商人のおっちゃんに「おっ、パパの手伝いか?ならこれ持ってきな!」と果物をもらった。いいにおいのするみずみずしい果実だったのでこれは食べた。甘酸っぱい臭い、少し幸せ。


日を跨いで貴族街。犯罪はゼロだけどたまーに捕縛依頼が来るらしい。家がきれいで大きい以外ここは特筆することなし。


そして、犯罪多発地区こと冒険者保護地区。宿屋や食事どころ、装備屋に保存食等旅の必需品を売る店。ここは

「うるさい、くさい、イライラする。」

そう、ものすごくにぎやか。露店商の呼び込み、冒険者同士の諍い。宿屋や飲み屋から聞こえてくる笑い声と怒号。それに追加で人の臭いに血と料理、討伐したであろうものの臭いが混ざってイライラする。

『からだの各部分に魔力を込めよ。さすれば貴様を苦しめるものから守れよう』

頭痛とともに魔法の発現。言われた通りに耳と鼻に魔力を通す。

「おお、ましになった。」

雑音が消える、臭いがましになる。これはいい。


対策を得てから数十分。私は気になるものを見つけた。見た目はただの露店商。でも空気が異様。

周囲に人がなく、呼び込みすらしない。売ってるものは一本の剣。値札はない。

「父さん、あれなに?」

余談だが外では父さんと呼んでいる。私よりおっさんの方が慣れるのに時間がかかっていた。

「あ?露店商だろ?剣売ってるな。それがどうした?」

「なんか変。あの剣、普通じゃない。」

剣から放たれるオーラ、あれを私は知っている。

あのナイフにそっくり。でも、色が違う。あのナイフを黒だとすれば、あれは赤。

「気にせず仕事にもどれ、犯罪は起きてない。」

気になる。名残惜しくしていると商人がこちらを見た。

―そういえば、団長が子供の頃に不思議な商人にもらったって言ってたっけ。―

頭に鈍痛が走る。いままでの魔法の発現の痛みを鋭いと表現するならばこれは鈍い痛み。

″炎を思い描け、そこにあると思い込め。ほらそこに″

いつもと声が違う、と思いながら気を失う。この気を失って体の力が抜けていく感覚、二度目だなぁ。


いつもの巡視経路、その途中、いきなりクロノが呼び掛けてきた。どうやら変な露店商がいるらしい。

どうせ売り物が粗末とか眉唾とかそんなものだろうと思いながらその商人を見る。

黒いローブ。フードで隠した顔、色褪せたシートの上には剣が一本、値札はない。特に問題はないが…、と確認していると裾を引かれる。

「なんか変。あの剣、普通じゃないよ」

剣?特に問題はないが…。こいつまさか、剣を買って欲しいのではあるまいな。

こいつの選ぶ剣はかなり高い。それに見合う質ではあるのだが、一兵士である俺にはとても手の届かないものだ。

「気にせず仕事にもどれ。犯罪は起きてない。」

そして進行方向を見て歩き出す。少し歩くとドサッと倒れる音が聞こえる。

「は?」

周囲を見渡す。残滓は無いから魔法を使ったものはいない。原因と考えられるもの、先程の商人を見る。こちらに歩いてきている。さほど身長は高くない。150くらい。

″そこの子に話がある″

頭に声が響く、ちょっとうるさい。周囲を見渡す。他の人たちはまるでそこにいないように気付いてない。

″危害を加えたいわけではない、この剣を渡したくてな″

そう言って先程の剣をこちらに差し出してくる。

「何が目的だ?こいつに剣を渡してどうするつもりだ?」

″いやぁ、ちょっとね。と言うわけでその子の部屋につれてってもらえないか?″

よりいっそう警戒する。

「そこで何をする気だ。」

″同棲″

速答。顔がひきつった気がする。

フードが首をかしげる。その際、手首の辺りに目が行く。

―気が抜けた。これ以上は警戒する気になれない。それに、害意も無いようだし、問題はないだろう。―

「わかった。つれていこう。」

こいつの部屋、つまり私の家にな。

とても不思議なやつ。一応キーパーソン?

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