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猫目先輩の罠  作者: 夏野 五朗
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幼馴染みとトップ


ニィっと口の両端を上げて笑うその顔は意地悪そうだ。

え、え、え?

頭の中をクエスチョンが占める。

どういったことですか?え?


「久しぶりだな、佐智!入学おめでと!」


へ?え?あれ??



昨日のこともあって、不良なんかゴミだ!なんて思うわたしには勿論不良の知り合いなんかいない。

が、しかし。

なんだ、この人。

あきらか不良、よね…?

むしろあの先輩よりよっぽど凶悪そうに見えるのは、背がすごくでかいとか、つり目だとか、金髪だとか、金髪だとか、金髪のせいだと思う。

日本人に金髪なんぞ似合うか!と常々思ってるのに、何故か目の前の人には妙なフィット感。

チラリと覗かせる八重歯が狼のようで恐ろしい。


「え…あ…え……?」


「春くん!佐智ちゃんびっくりしてる!」


「ん?あー…、だよな、うん、ごめんな、佐智」


何故か謝られた。

というか、真智ちゃんのお知り合いですか。

真智ちゃんの妹だからって馴れ馴れしく話しかけられることは今までも多々あったのだ。

多分今回もそういった類だろうと思う。

けど、流石に「久しぶり」はないなぁ。すごい動揺しちゃった。


「佐智、びっくりさせてごめんな。

俺、表田 春一。久しぶり」


「…おもてだ、はるいち?」



表田 春一。

真智ちゃんの1個上だったから、確か今年で高3。

うちから3軒挟んだお宅に住む可愛い男の子として昔はよく知られていた。

最近はめっきり噂も聞かなくなっていたし、姿も見かけなかったからすっかり忘れていたけど。


かの昔は真智ちゃんと春くん(今は表田先輩か)と、その弟の千冬くんの4人でよく遊んだものだった。

春くんと千冬くんは好みがよく似ていて、好きな食べ物から好きな女の子まで取り合った仲だ。

尚、2人の初恋の女の子とは言うまでもなく真智ちゃんだ。

春くんが天の邪鬼なのに対し、千冬くんは思ったことが全て口から漏れているため、熱烈アプローチの末結婚の約束を取り付けたのは千冬くんの方だった。


そんな、春くん。

小学校に上がって、しばらくした頃にはもう一緒に遊ばなくなっていた。

近所の悪餓鬼としてヤンチャなのだというのを聞いたときは苦手意識さえあった。

その春くんが親しげに話しかけている?…いやいやいやいや。

ていうか、金髪って…。しかもその制服、同じ高校なんだ…。


「佐智…?もしかして俺のこと忘れちゃった?」


「え、あ、や、あの、えっと…」


こういうとき自分の性格が嫌になる。

思ってることをズバッと言えないのだ。

超絶内気なのだ!ああ、もう!


「昔一緒に遊んだんだけどなぁ…結構ショックかも」


「仕方ないよ、佐智ちゃんは小さかったんだし」


「んー…」


や、覚えてるけど!覚えてますけども!

おろおろしているわたしに気づいているのか、いないのか。

それは分からないけど、唐突にわたしの手をガシッと握って、


「まぁいいや!俺、真智とつ、つ、つ付き合ってるから、よろしくな…!あ、な、なんだったら俺のことお、お義兄さんって呼んでくれてもいいから!」


と顔を真っ赤にして言われてしまった。

瞬時に思い出すのは昨日のこと。


『どういうこと、ですか…?』


『だからさあ、お前の姉が俺らと敵対するグループの頭と付き合ってんだよ』


つ、付き合ってる…?

誰が?誰と?

春くんが、真智ちゃんと?

つまり、え、…えええ?あのドヘタレ春くんが、トップ…?


「…佐智?」


「ええええええええーーーーっ!!!?」



『佐智、佐智、ぜってー秘密だぞ』



「さ、佐智ちゃん!?」





『俺な、真智と結婚すんだ!』



真っ赤になった顔だけは昔から変わらないらしい春くん。


が、


表側の、トップ…?







閲覧ありがとうございます!

報告遅れましたが、サイトへのリンクは諸事情により外させていただきました。

亀更新ではありますが、これからもよろしくお願いします。



20150327 夏野 五朗




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