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「二十五年契約公女・十五年戦争編」のあとがき

 2023年4月1日。

 長きにわたる物語がついに終結を迎えました。


 以下はあとがきです。

 多分にネタバレを含みますので、ご注意ください。




【制作に至る経緯】

 元々『二十五年契約公女』の設定資料集に十五年戦争の項目を追加しようと考えていました。

 ただ他の項目より長文になることは目に見えていましたし、それなら小説化したほうがわかりやすいな……と感じたのが『十五年戦争編』制作のきっかけになります。

 加えて、複数の読者の方から本編完結後の主人公の行く末について問い合わせをいただいたことから、作者として作中にて主人公の死を明示しておきたい気持ちもありました。

 お読みいただいた方々の想像にお任せするのも手だったのですが……もしかしたら、あの世界の『管理者』が功労者のマリーにご褒美をあげた可能性も全くゼロではなかったかもしれません。例えば「破滅」問題対処用の割り当て時間が余ったとか。

 しかしながら、作者が感想欄で「死にます」と答えてしまった以上は、年内での死亡が公式見解となります。ごめんよマリー。

 まあ『管理者』の効率主義的な面を考えれば、やはり死が妥当だとは思います。何なら『管理者』は生者に手出しできないって作中で明示してますからね。どうにもなりません。



【制作】

 物語の未来を描きつつ、過去の歴史を描く。

 本作がいわゆる「過去編」であるからには、本編の描写との整合性を保たなければなりません。

 まずは本編における十五年戦争の描写を抽出し、全体の時系列を組み立てていきました。

 モチーフとなった三十年戦争と源平合戦の小ネタなどを混ぜ合わせていく中で、作品としての大まかな流れも決まっていきました。


 プロットの制作は少し悩みました。

 すでに主人公の目的が達成されてしまっており、約半世紀前の話ではそもそも主人公を登場させられない。戦争の結末も明かされている。ぶっちゃけ十五年戦争だけでは物語を作りづらいのです。

 ここはロート伯の栄光と挫折をもう少し掘り下げ、彼を完全に主人公にしてしまえば「別の物語」として成立できたかもしれませんが、あんまり深掘りしすぎると本編での印象と乖離してしまいそうでした(元々三万字程度の「おまけ要素」として制作していたのもあります)。

 よって『十五年戦争編』ではロート伯とヒューゲル家を中心に、複数の人物を描きながら歴史の時系列を追う形になりました。

 さらにエマに語り部になってもらうことで「現在」とシームレスにつなげることができました。彼女の能力を活かせましたね。

 ちなみに彼女の語りが評判を呼び、徐々に聴衆が増えていく流れは自然に生まれたもので、元々決めていたわけではありません。


 物語の結末については……実のところ、本当はエマとの別れを描いて終わるつもりでした。

 エマが勉強部屋を去り、新大陸に向かう。

 一人残されたマリーが、数々の思い出を抱きながら布団に入る。

 そんな感じの少し寂しいラストシーンを念頭にしていたのですが、いやいや、あいつらなら出来るだろうと。

 シャルロッテとモーリッツなら、きっとエマ一人くらい新大陸へ逃がしてみせるだろうな……と考え直し、投稿直前で書き換えました。

 よく「登場人物が勝手に動いた」と言いますが、それに近い感じでしたね。



【余談】

 序盤から中盤にかけて、マリーたちが語り部にツッコミを入れていくスタイルは『異世界おじさん』等の形式をモチーフにしています。

 もっとも、あれは漫画だから絵で時間軸を表現できるのであって、文字列では過去と未来を明確に仕分けるのが困難でした。

 出来るだけ──で区切ってましたが、わかりづらかったかもしれません。


 ライム王国のクロード元帥は、元寇における元側司令官をモチーフにしています。辿った結末も同様です。

 傭兵団長のドライバウム伯とウルフルス伯は、幕末動乱期に蜂起した志士の頭目から。ドライバウム伯については三十年戦争期の司令官もモチーフにしています。

 スカンジナビア勢は北方の獅子と源義仲主従が元ネタです。やたら美しさに言及されるのはローエングラム朝のカイザーから。わかりやすく獅子繋がりですね。

 名前だけ出てきた低地海賊のスミット、戦争の引き金を引いたフラッハ宮中伯「新皇」マルセルはそれぞれ承平天慶の乱から。マルセルが弓の名手なのはまさしく弓箭の家=武人である証として描いたつもりです。

 史上最強の魔法使い『殺戮のフロレンティナ』については……魔法使いの家族として連れてこられた子が、実は能力を隠していたというシチュエーション、もっと早く思いついていたらなあ……と少し後悔していたりします。本編で使えたやんけ!

 エピソードタイトルはまんまスターウォーズです。遠い昔の話ということで。



【結びに】

 そんなこんなで、ある種のファンアイテム(?)として完成しました『十五年戦争編』。

 本編ともども楽しんでいただけましたら何よりです。今後井納純一の物語を新たに描くことはないと思いますが、何かあればまたよろしくお願いします。 


 次回作は未定です。途中まで書いた別の原稿を仕上げてから考えます……。

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