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「大殿と眼鏡」のあとがき


 2014年7月18日。

 渾身の短編として載せました。

 出先に手書きで本文を書いたのは後にも先にもこの作品だけです。


 本作は時代劇を意識した味付けになっています。

 過去の活動報告から抜き出す形になりますが、特にこだわったのは言葉遣いのようです。



 私自身が江戸後期に生きたわけでもないのだからパーフェクトな再現は難しいだろうと割りきりつつも「藩」を使わず「家中」としたり苦心しました。

 本当は「藩校」と言いたいところも「学校」に留めたり。

 出来るだけ語り手も当時に生きているものと表現したかったので作中の貴人には尊敬語を用いたり(読みづらいので徹底してませんが)。たまにひらがなにしたり。

 三人称なのに寄り添うべき相手がコロコロ変わるのは落語をモチーフにした仕様です。わかりづらくてすみません。


 古志領・古志津のモデルは長岡藩と新潟港です。

 司馬先生の短編『英雄児』でガトリング家老に憧れた身としては江戸時代を代表する地方都市であります。そもそも古志という地名自体が越後国古志郡から来ていたりしますからね。もはやバレバレです。

 牧野家は長岡藩主牧野家からそのまま。備前守も本物の牧野家当主が代々名乗っています。家臣団の構成も「先方家」など参考にしました。

 上席家老の木村家は稲垣家から。別に中居家でも香取家でも構いませんでしたが木村の方が武士らしかったので。


 それくらいですかね。

 本物の長岡城が一切残っていないのもあって古志城の中を想像するのは骨が折れました。

 話に出てきた涌井某については新潟明和騒動をググると楽しいですよ。

(活動報告より)



 まあそんな感じでした。

 ちなみに上で司馬先生の小説の名を出していますが、同じく河井を題材とした『峠』は未読だったりします。

 こちらは大河ドラマ「花神」の原作にもなっているようです。

 というか河井さんちゃんと取り上げられてたのね……。




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