閑話
二柱の神が寄り添いながら相談していた。
その距離の近さに夫婦なのだと判断できる。
「アレースはやはり駄目だったか」
「半分そうなる事は分かってましたからね」
「しかし、このままというのも他に示しがつかんな」
「そうですね。なら、同じように異世界人でも送り込みますか」
男神の方が豊かな白い髭を撫でながら思案していた。
「ふむ。それも良いな。どうせなら正反対の道を歩んだ者を送るとするか」
「正反対とは。一体誰を送るつもりなのですか」
「騎士王アーサー。彼等が裏の道を歩むならば、表の道を歩む英雄を送り込むのも一興ではないか」
「聖剣エクスカリバーも渡さなければなりませんよ」
「わかっておる。そこは上手くやろう」
そう話を纏めながらも二柱の頭の片隅には一抹の不安があった。
「騎士王アーサーは男装の麗人ですが、くっついたりしませんよね」
「可能性はなくはない。が、あれしか対抗出来ぬだろ」
そう。並の異世界人では女神を連れたあの男に太刀打ちできない。
個の戦闘力。そして兵を率いての戦い。それらを併せ持って尚且つ高いレベルに存在するのはかの者しかいない。
「いっそのこと円卓の騎士も一緒に転生させますか」
「それは最悪世界大戦を引き起こさないか」
「大丈夫でしょう。あの世界には三柱の神が降臨しているのですよ。世界の破滅に繋がるような事は流石に止めるのではありませんか」
「うむ、では円卓の騎士も一緒に転生させるとしよう」
しかし、この二柱の神は大事な事を忘れていた。
魔法などの能力や神の加護を授けても彼等は所詮、古代の英雄だということを。
「アテーナーにでも彼等の転生をやらせておこう。彼女ならしっかりやってくれるだろう」
「しっかりしてる娘ですからね。安心して任せられます」
二柱の神は既に成功を確信していた。
「これに懲りてフレイヤも少しは大人しくなるだろう。あっははははは!」
私怨かよ。と、思わずつっこみたくなる。
けれど、神様なんてそんなものだ。
ユウヤが見ていたら、そんな感想を述べていただろう。
◇
アテーナーは神酒に酔って馬鹿げた事を言ってきた両親に頭を悩ませていた。
『騎士王アーサーとその円卓の騎士をかの世界へ転生させろ』
一瞬とうとう耄碌したか。と言いかけるが、この状態の両親に言っても無駄だと曖昧な返事をして帰ってきた。
大体、いくら神であろうと過去や未来を自由自在に渡り歩く事など出来ない。過ぎ去った過去の英雄が存在していた世界などに渡ることも干渉する事も出来ないのだ。
「いや。耄碌したのだろう。万能の神にでもなったつまりなのだろうな」
それに、一人の人間が与える影響など長い目でみれば微々たるものだ。あのフレイヤがそんな愚かな選択や間違いなどしない。
「けれど、宿敵とも呼べるライバルは存在した方が人生は豊かなものになる。切磋琢磨し向上できるのだから」
奇跡的に騎士王アーサーの何度目かの生まれ変わりの人生は今まさに尽きようとしている。これも何かの縁なのかもしれない。
「汝に問おう。剣と魔法の世界へ転生したいか」
無理やり転生させることはしない。
どうせ、あの二柱がまた思い出した頃にはフレイヤの選んだ伴侶の人生は天寿を全うして終わっているだろうから。
そんな風に考えながらまた問いかけた。
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