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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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難破船

 昔々とある大国の船が金銀財宝などを積んで嵐によって深く海に沈んだという。

 その沈んだ船とよく似た船が朽ちた姿で真夜中の海に現れる。そんな噂を耳にした。

 その船がよく目撃されると噂の海域はロマーニャから西の方角の沖合を超えた更にその先でよく目撃されるという。

 そんな噂話を俺がたまに一人で通う酒場の女マスターが聞かせてくれた。


「それでその難破船に近づこうとすると急に波が高くなり、近づいていた船は波に飲まれ海の中深くに沈み二度と港に戻ってこないそうです」

「おい、揶揄うのもいい加減にしろ。なんで二度と戻って来なかったのに分かるんだよ。おかしいだろ」


 マスターは意味もなく酒瓶を手の中で回した。


「ユウヤさん。真夜中の漁を一艘の船ですると思ってるのですか。大抵は二、三艘で沖に漁へ出るんですよ。ユウヤさんはまだまだですね」


 俺はゴクリと唾を飲み込んで話の続きを待つ。


「ただ、その難破船の大きく穴の空いた船側から淡く輝く光が見えるそうです。目撃した漁師達は、そこにお宝があるじゃないかと噂しています。けれど、たまに、極々たまに、船首に長い髪で両手に剣を握った男とも女ともしれないシルエットが月明かりに照らされて、はっきりと浮かびあがるそうです。まるで財宝を守るかのように」


 それはもう難破船ではなく、幽霊船じゃないのか。


「そのシルエットは動くのか。それか、こちらに向けて何か話したりはしないのか」


 大袈裟に驚いた顔で口を手で隠した。無駄に美人なぶん腹がたつ。


「よく分かりましたね。右手の剣を掲げてこう叫ぶそうです。返せ、返せ。私の全てを! と」


 思わず肩を抱いて身震いしてしまった。


「そしてその叫びと共に、海が激しく荒れるそうです」


 震える手でエールを口に運ぶ。なんとか溢すことなく一気にエールを煽った。


「やばいな、それは」

「ユウヤさんも探してみては如何ですか」

「馬鹿なことを言うな。呪い殺されるのがオチだ」


 バーカウターから身を乗り出して、俺にだけ聞こえる声で囁いた。


「あの天下無双のノワール様も幽霊は怖いのですね」


「面白い冗談を言うようになったな、レベ。よかろう。俺がその幽霊船を見事に捕獲してみせよう」


 女マスターはニンマリと笑った。


「ではお宝を手に入れたら情報料をくださいね」

「よかろう。半分くれてやる」

「さすがはユウヤ様ですね。期待してます」


 急に様付けして、更に投げキッスをした。

 それを華麗にかわし、カウンターの上に金貨を一枚置いて店を出た。



 ◇


 次の日から幽霊船捕獲の為に動きだす。前回の反省を生かし戦争に繋がってはならないと朝食の時に皆に伝えた。一人で幽霊船を捕獲すると。皆んなに一人では駄目だと反対されると考え、男の浪漫を語り聞かせてる途中で。はいはい、頑張ってねーと、つれない反応された。

 どうやら重ねた絆は強固だったようで、好きに遊んで来なさいと、皆は俺の大冒険よりも朝食を優先した。


「ちくしょー! 絶対に幽霊船をとっ捕まえてお宝を盗んでやる!」


 ヴェネシーア本当の水上バイク工房で叫んだ。

 俺の知識と経験。そして、人と金。全てを掛けて全力で望む。


「ユウヤ様よお。これにスクリューとウォータージェットを組み込むのか。しかも逆噴射と側面噴射の新機構もか。まだ試作段階なのに無茶を言いよる」


 幽霊船捜索に使用する船は、貴族やお金持ち連中用の小型船。そう、金持ちが持つクルーザー的なやつだ。それを中古で購入して改造する。


「まあ、とにかくマストを取り外してからだな」

「心配するな。メイン推進装置はスクリューだ。ウォータージェットは補助と接岸用だ。大丈夫、君達の腕と頭脳であれば不可能などない!」


 まずは手付金がてら一人金貨五枚を彼らの手に一人一人握らせた。


「よしゃあ、やったるでぇー!」

「お前ら気合い入れろよ!」

「おう、やったるぜっ!」


 皆の心に火は着いた。一丸となって迅速に取り組んでいくその姿に。俺は成功を確信して、とある場所に出向く。既にグレースの許可は得ている。陸戦用小型魔導砲を船に搭載する為に。


「これはユウヤ殿下、わざわざ御足労をお掛けして申し訳ない」


 顔馴染みの軍官かと思いきや、たまにグレースの執務室で見掛ける老紳士の補佐官が俺を出迎えてくれた。


「いやいや。無理を言って譲ってもらうんだ。こちらから出向くさ」

「それで殿下。何やら面白いことをお考えのようで。もしよろしければ冥土の土産に見学させてもらえませんかな」

「それは構わないが。冥途のって、縁起悪いなぁ。ちゃんとまだまだ元気に長生きしてくれよ。そうじゃないと、グレースが悲しむだろ」


 老紳士は少し意外そうな顔をした。だが、すぐに普段の表情に戻り、係の者に魔導砲を持って来させた。


「陸戦用の携帯型貫通爆裂魔導砲です。とは言っても、兵士が持ち運ぶには少々大きいのですが」


 少々か。身体強化魔法を掛けて、ようやっと持ち運べるサイズだと思うけどな。それより貫通爆裂ってなんだよ。矛盾してないか。


「問題ないさ。今回は船に取り付ける訳だし」

「左様ですか」


 収納魔法を付与したポーチに受け取った魔導砲を入れて、老紳士と一緒に工房に戻るとソフィアが図面とにらめっこしていた。


「あれ、ソフィ。手伝いに来てくれたのか」

「あ、ユウヤ! あれ、ヴェリルス卿も一緒だったんですね」

「これはソフィア殿下、お久しゅうございます」

「はい。ヴェリルス卿もご壮健そうで何よりです」


 卿って。もしかして偉い人なのか、この人。しかもヴェリルスって如何にも偉そうだよな。

 そんな事を考えながら、二人に今回の簡単な仕様書を見せながら説明した。

★★★★★ も出来たら付けてくれると嬉しいです。

是非、私のモチベアップにご協力ください!

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