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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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二度目の冬

 結婚式を終えた俺は、なんとなくやる気のでない毎日を怠惰に過ごしていた。そんな中でもエリザの散歩だけは雨の日や小雪が舞う時以外はちゃんと続けていた。


「雪乃と夫婦になって。こんな立派な屋敷に住めて、尚且つお金に不自由しない生活。こんなに幸せでいいのだろうか。もしかして俺は一生分の。いや、来世の幸せまでも前借りしてるんじゃないか。まあ、それでもいい。雪乃が傍で笑ってくれているのなら」


 一人リビングの暖炉の前で寝転んで寛いでいた。その腹の上には脚の短い黒の小型犬の仔犬が寝ている。シャルルから結婚祝いに贈られたわんこだ。

 その愛らしい女の子を空と名付けた。俺はそれはそれは彼女にメロメロになり、雪乃と同じくらい一緒にいる。いや、ほぼ一緒なので雪乃より長く居るかもしれない。


「アンヌも学院に通うようになって寂しくなってたからな。今では空だけが俺の心を癒してくれてるよ。ありがとな、空」


 器用に腹の上で仰向けになって寝ている空を起こさないようにお礼を言う。



「あれは典型的な燃え尽き症候群だよ。キョウヤ、なんとかして」

「俺には無理だ。大体、そんな経験したことがないのに、どうすればいいのかなんて分からない」

「彼があのままだと、私達のお小遣いに響いてくるんだよ。どうするのよ、遊べなくなったら」


 キョウヤは手を顎に当てて考えるも、あっさり放棄した。


「なるようになるさ」

「ならないよ! しかも彼の唯一の取り柄の性欲まで減衰してるんだよっ。ゆっきー以外の彼女達のフラストレーションは爆発寸前なんだよ!」


 確かに彼女達の不満の捌け口が此方に向かってくる事が多くなった。


「でもよぉ。わんこに負けるのはしょうがなくねぇか。あの子に関してはユキナもメロメロじゃねぇか。っていうか、甘やかしておやつを沢山あげてるの君だよね!」


 その指摘にユキナは胸を抑えてうずくまる。


「無理よ。あんな無垢なつぶらな瞳で見上げられたら抗えないの。どうしてもあげたくなるのっ!」


 空の昼寝を邪魔しないように小声で叫ぶ二人だった。


「わかる。その気持ちよく分かるよ」


 そう。この二人が甘やかすせいで空は少しダイエット中なのであった。仔犬なんだから良いじゃない、と反論するもフルボッコにあったばかりだ。

 二人の言う。捌け口とやらは、そういったケースがほとんどだった。


 本当におバカな二人である。



 ◇


 空を抱っこしてトニーさんと春にオープン予定の競艇場を視察していた。

 本島の中でも波が比較的穏やかな場所を選んで建てられていた。

 まあ、海沿いを柵で仕切り、観客席を階段状で並べているだけの施設なのだが。勿論、売店屋や舟券などの購入施設も併設されている。


 レースは二本のフラッグを三百メートル間隔の直線で設置し、一本目のフラッグの右側からスタートする。そして三百メートル先のフラッグを左回りに旋回しクロスするようにスタートしたフラッグを右回りで旋回。そのまま真っ直ぐ二本目のフラッグを目指しゴールするというものである。それを四台の水上バイクで競う。賭け方は一着を当てる単勝と、順位を関係なく一、二着を当てる複勝。それと大儲けの可能性のある一から四着までを正確に順位を当てる四連単だ。


「あれだよね。レースはいいんだよ。陣取り騎馬戦だよなぁ、問題なのは」


 そう。立ち乗りスタイルの水上バイクで相手の頭の上の風船もどきを棒で叩いて脱落させていって相手陣地を占領するゲームなのだが、それに使用する棒の仕様が決まっていない。最初袋竹刀的な感じでいこうとしたが濡れると硬くなり駄目だった。なぜ硬くなると駄目かというと、選手に危険だし、一番の理由は当たりどころが悪ければ水上バイクが壊れてしまうからだ。


「綿を詰めるなど試行錯誤していますが、未だにこれだという物が」


 そりゃあ、言葉も濁す。俺も色々試してはいるものの、これだ、というものが無い。


「開催できれば闘技場の水上版として盛り上がると思うだよなあ」

「私もそう思います」


 二人で同時に大きくため息をついた。


「あっ、グレースの像はできたか」

「除幕式までには完成する予定です」

「職人以外は目にしてないからなぁ。楽しみだよな」

「はい。陛下のあの美しく凛々しいお姿。本当に楽しみです。それと商会の壁の絵も大好評です」


 そうだろう、そうだろう。あれを描いてもらうのにどれだけ苦労したか。滾る熱意と情熱で説得したからな。


「うんうん。それとレース部門の選手選考はどうなんだ」

「はい。一週間のトライアルの成績上位者から五十名選抜し終えました。後は与える専用水上バイクだけですね」

「そっか。順調そうで何よりだ」


 まだ開催までは時間がある焦らずにやろう。そう言ってトニーさんと別れた。

 ふと、空を連れて学院に行こうと思い。短い足でちょこちょこ歩く空のペースに併せて学院まで歩いた。途中、橋の中頃で空が疲れたので学院まで転移することにした。


 生徒に大人気な空に満足して、皆に勉強を頑張っているご褒美をあげた。

 そして学院の近くで建設途中の建物を眺める。

 水上バイクレーサー養成所。その中々の外観に、ここから沢山の未来が生まれればいいな。と、願った。

明日は出来れば二話投稿します。

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