救世主伝説
投稿が遅くなりまして申し訳ありません。
シチリア島に住む誰もが、自分達の島でこんな凄惨な事が起きるとは考えてもいなかっただろう。
しかし、マフィアに協力してた者たちが居た中で、マフィアとは何ら関係なく暮らしていた者たちも多い。そんな者たちにとっては今までマフィアから理不尽に財産を吸い上げられていた分、ノワール達の起こした抗争を密かに歓迎し、陰ながら支援していた。
マフィアとの抗争が始まって二週間がたった頃、グレイシアが直接兵を率いてシチリア島に上陸した。
彼女はまずこの島を王の直轄領とする事を宣言。そして今まで自治州総督とマフィアから取られていた高額な税を通常の税率に戻し、また店舗や屋台などから不当に得ていた場所代。小売や取引きによる高額な手数料などを完全に禁止する事も併せて島民に布告した。
そうなると、どの様になるのかというと島民から相次いでマフィアへの告発が行われ、マフィアの脅しに従う者も急激に減少し、潜伏先やその組織リストまでが国に提供された。但し、マフィアである事を隠し生活してきた者たちに対しては慎重な取調べを行った後に刑罰に付した。
「なあ、どれだけ巣食ってんだよ、この島は」
既にノワールはその多さに怒りを通り越して、あきれていた。そしてまたキョウヤも同じだった。
「いいかげん面倒になってきたな。この島沈めるか」
「それはいい。こんなマフィアの巣なんざ、海の底深くに沈めればいいよな」
二人がそう言ってガッチリ握手を交わした所で、雪乃とユキナから其々の恋人の後頭部に向けて平手が振り下ろされた。
「良くないからね」
「良くないよ!」
頭を抑えてしゃがむ、壊れ掛けた男達を二人は厳しい眼差しで見下ろした。
「ほんと、堪え性がないんだから」
「そうだよ。ふーちゃんの言う通りだよ!」
「貴方。そのふーちゃん、癖になってるからやめなさい」
「そうだよ、そうだよ。やめなさいね!」
「あなたの事よ!」
ユキナは雪乃から拳を突き上げるように綺麗に決まったボディブローを受けて宙を舞う。そして落ちてくるユキナを慌ててキョウヤが受け止めた。
苛々は雪乃も同じだった。
「残るはこの街だけ。今夜中に狩り尽くすよ」
気を失っているユキナを除き、男二人は大きな声で、イエスマム! と返事をした。
月明かりの下、狩が始まる。
黒い外套を身に纏い。夜の街を疾走する。
二手に別れ、リストの場所を次々に周り殲滅を繰り返す。
終わった時には海から朝日が顔を出していた。
「やっと終わった」
「終わったね」
互いに背を預けて遠くの朝日を眺めた。
「後は国に任せてもいいよな」
「うん。九割方排除したし」
「しかし、あいつら阿呆みたいに金持ってたな」
「うん。取り上げたお金。島の皆んなに配ろうか」
「いいねえ。全ての街や集落で派手に配ろう」
思い立ったら吉日コンビは街の中心にある建物の上からお金を巻いた。
「そら、マフィアから取り返した金だ。皆で景気よく使え!」
「さあ、受け取りなさい! あなた達のお金よ!」
感謝の言葉と、二人を褒め称える歓声に大満足し転移魔法で華麗に姿を消す。
そんな気持ち良い事を島中で二人は繰り返した。
「まさか赤字になるとはな」
「ええ。少し調子に乗ってしまったわ」
そう。気分が良すぎてばら撒き過ぎてしまったのだ。だが、これが鼠小僧ならぬ。救世主ノワール&ブランシェとして一躍名を馳せる結果となる。
マフィアの完全撲滅と、お金を取り返してくれた救世主として島中に銅像が建てられたのである。
こうして二人は血の七日間に次ぐ、救世主としての伝説を増やした。
◇
仮の領主館で久々ののんびりタイムを満喫していた。態々、屋敷からメイドを数人連れてきてのハッピータイムだ。
「なんで、ゆっきー達だけ救世主なの! 私もなりたい、なりたいよぉーーー!」
俺達の足下で、そんなくだらない駄々をこねるユキナを敢えて無視する。
「なら、お金を配ってきては如何ですか」
マチルダの当然の答えにユキナは一瞬動きを止めた。
「やだやだ。これは私のだもん! 絶対やだ! だからゆっきー、お金頂戴っ!」
その呆れた主張に天罰。いや、神罰が下る。
雪乃がゆっくりと腕をあげて、振り下ろすとユキナに雷撃が直撃した。その閃光で一瞬視界が閉ざされるが、視界が回復した時には髪をチリチリにした全身丸コゲのユキナが横たわっていた。
皆が絶句する中、メイド達には見慣れた光景なのか手際良くユキナは運ばれていった。
「お前の恋人学習しないな」
「まあな。そんな所もかわいいだろ」
これが、恋は盲目というやつなのだろう。
俺はそうはならないと胸に誓う。
「あ、グレース。結局、シャルルはどうなった」
「ローマ半島とジブラルタル。そしてこの島をくれたよ。そして彼はパリに行った。そこを王都にするようだ。なので私は餞別で金塊を渡しといた」
分かったようにうなづくも、パリの位置、場所が分からない。ただ、友人にお金をあげてくれたのは感謝した。
「まあ、迷惑料込みだがな」
その場の皆の視線が刺さるように集中する。
「なんかやっちゃいましたか?」
「元を正せば、お主のせいだろうが! 誰にも告げずに勝手に消えて。さらにはシチリアで大暴れしおって。どれだけ私が揉み消したと思っているのだ!」
これはまずい。なぜか同罪の雪乃までちゃっかりグレース側に付いてる。
ふと、ソフィアに助けての視線を送るが、プイッと顔を背けられた。
「ごめんなさい!」
俺は華麗に土下座を繰り出した。
宙を三回回っての土下座の着地を美しく決めた。
しかし、それだけでは終わらなかった。
その夜は今までにない大変なこととなった。
全員を相手にした淫らな情事に、俺は完全に敗北を喫することになったのだ。だが。
負けてもいい。だって良かったから。
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出来たらですけど………




