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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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束の間の帰宅

夜にもう一話投稿します。

たぶん、0時頃だと思います。

 ジブラルタルでの演習も終わり、俺達もロマーニャの屋敷に戻ることにした。


「私も転移魔法で一緒に帰る」

「女王様なんだから艦隊と一緒に帰った方がいいだろ」

「そんなのは艦隊司令官に任せればいい。それにあれは私の甥だ。つまり、私が一緒に戻ったも同然。なにも問題ない」


 初めて知ったグレースの甥だという、新型艦の艦長の顔を思い浮かべる。

 もう何度も目にして話しているのに全然思い出せない。


「男には興味ないもんね」

「全くだ。でもその言い方だと性的な感じで誤解されそうだからやめて」

「そうかなぁ」

「そうだよ」


 そんなほのぼのとした会話を雪乃と楽しんでいると邪魔が入る。


「だから私やソフィアにも転移魔法を教えてくれ」

「だからの使い方間違ってるぞ。それに俺と雪乃の楽しい会話を邪魔するな」

「いいよ。戻ったら教えてあげるよ」

「おい、こいつに教えたら仕事を」

「大丈夫だよ。グレースはもうそんな心配は要らないよ」


 そんな優しい雪乃の腰にすぐさま抱きついてグレースは感謝していた。

 こんなのには付き合いきれないと、早めに転移をして戻ることにした。


 屋敷に戻り、昼食を皆んなと一緒に食べていると、俺に会いたい人が来ているので午後に商会に来て欲しいとスコットさんからの伝言を預かった。

 という事で、昼食後に無理やり付いてきたアリステラを連れて商会へ行った。


 上客用の商談室に入るとソファには貫禄のある初老の男性と、その背後に黒一色の服を着た男が二名立っていた。その初老の男性は俺が部屋に入ると立ち上がり俺を出迎えた。


 先に俺がソファに座り、男性に座るように促すと彼は俺を見定めるように挨拶をした。


「ヴェネシーア公爵閣下、急にお呼び立てして申し訳ありません。いえ。ノワール殿とお呼びした方が宜しいでしょうかな」


 その相手の言葉に後ろに立つアリステラが殺気を放ったのを感じた。それを軽く手で制した。


「どちらでも構わん。それで用件を話せ」

「ではノワール殿と。この度、ジブラルタルで我が傘下の組織が世話になったようで、そのご挨拶に伺いました。私は」

「お前の名など覚える気もない。何度も言わせるな。さっさと用件を話せ」


 少し威圧して睨むと男は微かに動揺した素振りを見せた。


「こちらからは敵対する意思はないと伝えに参りました。ただ、どうしてもこちらと争うのなら、こちらも全力で対抗いたします」

「脅しのつもりか。なら、相手が悪かったな」


 初老の男の襟を掴んでそのまま壁に投げ飛ばし、さらに護衛の男二人を一撃で叩き殺した。

 そして呻きながら起きあがろうとする初老の頭を踏みつける。


「勘違いするな。お前達に出来ることは、俺に隠れて怯える事だけだ。次に俺の前にその汚い顔を出したら殺す。理解したならさっさと出ていけ」


 そう言って腹を蹴り上げると初老の男は気を失った。俺は私兵を呼んで初老の男を外に投げ捨てるよう命じて、この部屋を片付けさせた。


「クズが調子に乗るんじゃねぇ」


 目を輝かせるアリステラを連れて商会を出る。

 ついでにまだ路上で気を失ってる男のケツを邪魔だと言って蹴っておいた。



 ◇


 どうにもすっきりしない俺は雪乃に相談する。


「なあ、シチリアのマフィアを潰してもいいか」

「好きにすれば。別にお金や宝石だけでもいいと思うよ」

「確かに。悪党を減らすだけでも意味はあるよな」

「そうだね。ついでに観光もできるし」


 思い立ったら吉日の俺達は誰にも相談なく新型艦に転移をした。そして艦長にシチリアまで送ってくれるよう頼むと、逆に二つ返事で協力を申し出てくれた。なんと、海上も封鎖して威嚇もしてくれるらしい。


「そんな事してローマに怒られない。大丈夫なのか」

「安心してください。あちらへの多少の嫌がらせも込みですから」


 ああ、あれか。と、俺と雪乃は納得した。

 その後、艦長がまた同じ部屋を俺達に貸してくれた。そこでシチリアに着くまで皆んなに内緒ということもあって、そこで寝泊まりをする事にした。



 もうそろそろシチリアに着くというところで、俺達はアリステラという猟犬に発見された。その猟犬は凄い勢いで吠えてくる。


「今回ばかりは心配して探し周りました! 本当に何も言わずに居なくなるのはやめてください!」


 キャンキャン煩いので、俺と雪乃は耳を塞ぐ。


「お二人とも聞いてますか! あっちでは大事になってますから! 本気でやめてください!」


 小一時間ほど猟犬は吠えて、満足したのか疲れてなのか、それとも安心したのかベッドに倒れこみ寝息を立てていた。


「これはろくに寝ないで探してたな」

「そうみたいだね」

「なんか悪いことしたな」

「うん。ちょっと反省だね」


 アリステラのその安心したような表情を眺めて、ほんの少しだけ反省する。


「でも、お楽しみの邪魔はさせない」

「最近特に戦力過多だしね」

「そう。ただでさえアレースも先行させて調べさせてるのにな」

「うんうん。アフロディーテも張り切ってるしね」


 そう。あの二人には商会の仕事を優先させて、ジブラルタルに連れて行かなかったから完全に拗ねていたのだ。なので、お詫びがてら今回のミッションに参加させた。取り分も山分けで。


 俺と雪乃の悪い笑みが溢れる。


「さあ、狩りの始まりだ」

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