ノワールへの依頼
バカンスから戻るとロマーニャのスコットさんから雪乃と一緒にこちらに一度来て欲しいと頼まれた。勿論、俺と雪乃は喜んですぐにロマーニャに転移した。
「久しぶりスコットさん。元気そうで安心したよ」
「いえ。ユウヤ様もご壮健そうで何よりです」
久々に訪れた商会の変わらぬ活気に安心する。
そしてスコットさんから今回の要件を聞いた。
「シャルルからジブラルタルのお掃除を頼まれたって。それ、全部いただいて良いのか」
「はい。マフィアの利権根こそぎ。それと、これも」
大人の顔くらいの木箱の中には大量の金貨が入っていた。それを見て俺と雪乃はニンマリする。
「あっちを任せられる人はいるか」
「はい。既に準備しております。それとあちらの情報も手に入れてあります」
さすがは元祖出来る男スコットさんに抜かりはない。
「よし。なら今回はバタバタしなくて済むな。俺と雪乃で潰すだけなんてイージー過ぎて逆に困るな」
「ふふふ、久々のブランシェのライフルが」
「あと、シャルル陛下からマフィアから金が流れている総督の排除も出来ればお願いしたいと言われております」
「俺が友達の頼みを断るわけないだろ。しっかり街のお掃除してやるさ」
「かしこまりました。そのようにお伝えしておきます。ところで新しい屋敷に泊まっていかれますか。まだ一度もお泊まりになってませんよね」
確かに。忘れていたが確かにそうだ。あの広いお風呂に入ってないな。
「雪乃、泊まってこうぜ。あの風呂が俺たちを待ってる!」
「そうだね」
こうして俺と雪乃は屋敷二号へ向かう。勿論、久々のロマーニャ巡りをしながら。
「この街も変わらないな」
「一年も経ってないから、そんなに変わらないと思うよ」
馴染みの屋台で串焼きを買って、歩きながら食べる。その変わらぬ不味さに感動する。
「変わらないな。このしょっぱさは」
「ヘルシーじゃないよね」
歩くこと小一時間、ようやく屋敷へ辿り着く。
そして、その出迎えの人達の多さに驚いた。
「ユウヤ様、ユキノ様。お帰りなさいませ」
屋敷の使用人。その数三十名以上が一斉に挨拶をした。メイド、バトラー、警備の兵士などその他諸々。その人数と感じられる質にさらに驚愕した。
「やばいな。圧倒的な質の高さを感じる」
「うん。これを維持してくれたスコットさんに敬意を払うよ」
メイドさんに案内され屋敷を見てまわる。
俺達の要望通りになっていた内装などに大満足しながら広いリビングで寛ぐ。
「やばい。ヴェネシーアのメイドさんより質が高すぎて緊張する」
「すごいよね。宮殿の使用人より質が高いよ」
そんな事を話しながら紅茶を飲んでいると、給仕してくれたメイドが口を開いた。
「覚えておられないと思いますが、私達の殆どがユウヤ様とユキノ様があの時助けた奴隷です。お二人の為に、ご恩に報いる為に皆必死に努力しました。褒めていただき誠にありがとうございます」
俺と雪乃は顔を見合わせて感動していた。
嬉しくてやや涙目になる。
「そっか、あの時の。良かった。みんな元気そうで、本当に良かった」
「うん。私達の為に頑張ってくれてありがとう」
楽しくメイド達と話していると、風呂の用意ができたとお風呂場に案内された。そしてそのゴージャスな風呂にびびる。あの映画にでてきた大浴場そのものだった。
「ひゃあああ、まじかよ。すげぇな、これっ!」
興奮して風呂に飛び込もうとしたところを肩を掴まれて雪乃に止められた。
「ちゃんと先に体を洗わないと駄目だよ」
しょんぼりしながら手前の洗い場で体を流していると、メイド達がタオル巻いて入ってきた。
「お身体を流します」
俺が、なんのドッキリだと困惑してる横で雪乃は当然のようにサービスを受けていた。
なので俺も身を委ねる。が、股間を洗われそうになり慌てて止める。
「そこは、そこは自分でやります」
メイドさんと雪乃の不思議そうな眼差しに顔が火照る。なんとか身体を洗い、円形の大湯船の中に入る。
「はぁあああ、これはいい。とても良い」
「ふうぅ、癒されるねぇ」
「雪乃、これからはここに住もう」
「うん。転移すれば良いだけだからね」
とても気持ち良く風呂に入った後の夕食もそれはもう豪華で美味しかった。
とても癒されて満足した俺達は、いつも以上に熱い夜を過ごした。
そして次の日。一度ヴェネシーアに戻り、依頼された仕事と、今後はロマーニャに住むと皆に告げた。
「え、お二人だけですか」
「そう。だって君達はこっちで仕事があるだろ。特にグレースは王様だしな」
アリステラの質問にあっさり答える。
「あの、なんで急にそのような話しになったのでしょうか」
「ほら、マチルダも新しい屋敷知ってるだろ。あそこ最高なんだよ。なにもかもが最高でさ。俺と雪乃は大大大満足したんだよな、雪乃」
「うん。あれは至高。もう離れられない」
「なっ、ユウヤ。お前は私の義息子で王子なのだぞ!」
「あん。知ってるけど。別に転移して毎日通えばいいだけだろ。それに俺達がどこに住もうが文句を言われる筋合いがない。俺達は自由だ!」
愕然と肩を落とすグレース達に意地悪ばかりするのも可哀想なので雪乃にあれを用意してもらう。
そして空いている小部屋に皆を連れてあれを設置した。
「優しい俺たちはこのゲートを用意した。感謝するがいい」
「うん。用意したのも作ったのも私だけどね」
ドアを開けてそこを抜けると、屋敷二号。今は本邸となった屋敷の一階にある小部屋に出た。
そこから出ると、待機していたメイド達が出迎えてくれた。とても偉くなった気になる。
「済まない。この居候達に屋敷を案内してやってくれ」
屋敷の中をキョロキョロ見回す居候達の姿がおかしくて吹き出してしまう。
俺と雪乃はリビングで優雅にティータイムを愉しみながら、皆が戻ってくるのを待った。
「これは人として駄目になるな」
「これが本来の私達の暮らしだったなんて。ほんと、一年も損してがっかりだよ」
「ほんとだよな」
セレブ気分を味わいながら紅茶を嗜んだ。
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