レッテル
「まだあの二人は起きてこないのか」
「周期的に今日一日は部屋で過ごすと思います」
グレイシアの質問に、これまでの二人の行動パターンに照らし合わされた精度の高い予測で答えるアリステラ。
「本当に仲が良いですよね」
「はい。本当に羨ましい限りです」
ソフィアとマチルダが同時に大きく息を吐いた。
ユウヤの愛情を受けたいと願うこの四人は朝食後にリビングに集まっていた。そしてアンヌとキョウヤ、ユキナの三人は海に遊びに出掛けている。
「私達は手を組むべきではないか。このまま個人で迫っても埒が開かない。そうと思わないか」
「お母様。手を組むも何も、私達は敵対などしていません。ただ、個人主義なだけです」
「そうですね。けれど、手を組んだところで何が出来るのですか」
「アリスの言う通りです。ユウヤ様に対し有効な手立てだと思われることは、これまで二人で協力してきました。けれど、結果はこの通りです」
そう。アリステラやマチルダだってここまで無策で過ごしてきた訳ではないのだ。色々と手を尽くしても駄目だったのだ。
「何故、ああも一途なのだろうか。私達に反応することもあるのに何故だ」
「以前、ユウヤ様がふと漏らしたことがあります。愛してる人を夜一人にして寂しい思いをさせることは出来ない、と」
「なら、日中にすれば良いではないのか」
マチルダの言葉にグレイシアが当たり前の反論をすると、他の三人は今更気付いたような反応をした。
「なぜ、それに今まで気付かなかったんだ私は」
「私もあんなに執務室で一緒に居たのに」
お馬鹿な二人は悔しそうにうつむいて反省していた。
「でも、昼間からユウヤ様が私達の気持ちに応えてくれる、そんなムードになりますか。逆にハードルが高くなってませんか」
「いや、私はユウヤを執務室で勃たせたぞ」
「「「どうやって!」」」
グレイシアはあの日のことを思い返す。
「胸もとを適度に隠し、体の線を美しく見せる為に体にフィットした白いドレス。そのドレスにはスリットが入っていた。互いに向かい合うようにソファに座り、私はスリットから脚が見えるように何度か足を組み替えた。いや、足を組む際にスリットから脚がのぞき始めた瞬間に反応してた、と思う」
「確かに、私のアルジョンテでの正装姿になるとスリットからのぞく脚に注目してました! ただ、エロいおパンティは好みじゃないようです」
経験者というか、反応を得ることができた成功者の弁に皆暫し思考する。
「ユウヤ様はもしかして脚フェチなのでは」
「その可能性は大です。あまり胸には興味がないと思います。というより、大きいのを苦手にしてる傾向があります。これまでの視線で判断すると」
皆、自身の胸に視線を落とした。
「どうやら、私達は大丈夫そうだな」
そのグレイシアの言葉に皆微妙な反応をみせる。
それはそうだろう。小さいと半ば言われて嬉しい女性はいない。
「とにかく、露出し過ぎるのは逆効果。しかし、脚に関しては別の可能性あり。下着は清楚な感じ、といったところか」
「そうですね。付け加えるなら、下着が見えそうで見えないのがいいそうです」
「それは上か。それとも下か」
「下です」
さすがはアリステラ、といったところだろうか。
一番雪乃との行為を目にしてるだけはある。
「あ、思い出しました。布地が薄く、薄っすら透けるのも好きです。そのような寝巻きで膝に乗せていて、堪えられなくなってユキノ様との初めて結ばれた日がそれでした」
アリステラよ。君は大事なことを忘れている。
君が気を失い咥えたことも、その一因だったことを。
「見えてきましたね」
「はい。ユウヤ様の好みがしれたのは大きいです」
しかし、この場の四人は気付いていなかった。
悠哉と雪乃が、その会話を耳にしてしまったことを。それが吉と出るか、凶と出るか今はわからない。
ただ、昨日の夜の風呂場での一件もあり、悠哉が心に傷を負ったことは確かだった。
◇
「もう、彼女達の気持ちに応えてあげたら」
「なんかタイミングってものもあるだろ」
「オークなのに」
悠哉は胸を抑えて反論を試みる。
「オークじゃないから。なにそれ、その例え雪乃気に入ったの!」
「冗談だよ。前にも言ったけど週一日の週二日ならオッケーたからね」
なんかなぁ。ケダモノ、オーク、ゴブリン扱いされて他の女に手を出せっていわれてもなぁ。
「大丈夫。子供は出来ないようにしてあげるから安心して」
「そんな心配、今してないからね。なんでそんなに揶揄うのかなぁ」
「大好きだからに決まってるでしょ」
しかし、俺のフェチまで共有されるとは明日からどんな顔して会えばいいんだよ。
「身体は見せつけるくせに。心は駄目だなんて。そんなの気にしないでケダモノらしく襲い掛かればいいんだよ」
その言葉に従い、俺は雪乃に襲い掛かった。
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