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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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特別任務

目が覚めてしまったので投稿します。

 キョウヤとユキナに特別任務を命じた。勿論、これは商会オーナーとして。

 当初、二人は大変嫌がった。田舎へ行くのは嫌だとか。私たちを追い出さないで、など様々なほぼ被害妄想と呼べるものが理由の大半だった。

 だが、手付金や任務完了後の特別報酬の額を示すと、あっさり手のひらを返した。

 同席していた雪乃は手付金や報酬の額の多さに不満はあったようだがその場では黙っていた。


 こうして避難民援助隊は医療従事者などと一緒に出発した。

 やり切った感満載で、俺は次の仕事に取り掛かった。


 我が商会の総力を挙げての新規事業!

 一人乗りの小型船でスピード競いあう競艇!

 そして、小型船による騎馬戦プラス陣取り合戦!

 この二つの世界初を、ギャンブル事業として新たに立ち上げる!


 そのきっかけは、俺のかけがえのない頭脳とも手足とも呼べるトニーさんとの些細な会話から始まった。

 ジェット水流装置の研究開発から身を引いたとはいえ、どうしても気になっていた俺は、まずそれをどうすればいいのかイメージしやすいように、俺的には小型ボートのつもりで木工工作をしていたら水上バイクの木彫り模型が出来上がった。


 やはり、少年の頃の憧れは心から消えない。

 これは女神が俺に与えた天啓ではないか!

 と、勘違いして色々と仕組みの簡易図を描いていた時にトニーさんが図と模型を見ながらこう言った。


『船の中に心臓部とも呼べる吸水と排出部の機構を設置して船底中央付近から水を吸い上げ、後部から噴出するのはどうですか』


 そこで俺は閃いた。ファンで吸水しホースの蛇口のように絞ればいいんじゃね! と。

 まず今回ばかりは雪乃の叡智を借りた。何度も何度も激しい夜の大決闘を経て我が軍は勝利し、遂に雪乃を我が陣営に引き入れたのだ。


 そこからは桜、いや、ソフィアを勧誘し引き抜いた。また、国の研究開発室からソフィアを引き抜くので、王であるグレースの説得は頬へのキス一つで軽く済ました。


 ヒントと閃きを得た俺たちの開発はスピーディーに進む。名称も国と被らないようウォータージェットとした。



 そして季節はもうすぐ夏を迎える。

 ここまで多額の資金を投入した。

 新しいタイプのエンジンと、新しいタイプの小型船舶。


「ふふふ、あっはははは! 遂に、遂にこの日がきた! この流れるような美しいフォルム。浅瀬でも航行できるウォータージェットによる高速航行!」


 海路に並んだ二台の水上バイクもどき。

 テストパイロットは俺と雪乃だ。

 何度も二人で溺れかけた日々が頭の中に蘇る。


「ブランシェ、勝負だ!」

「勝つのは私よ、ノワール!」


 トニーさんがスタートの合図の旗を振り下ろす!

 互いにペダルを深く踏み込み、全力全開のフルスロットルでグングンとスピードあげて海路を、水の上を滑るように突き進んだ。


 極秘テストだというのに、見守る関係者からの大歓声が沸き起こる。


「最高だ、ブランシェ!」

「最高の疾走感ね、ノワール!」


「「でも、勝つのは私よ{俺だ)!!」」


 およそ500メートルのコースをほぼ同時にゴールし、旗が振られる。


「勝者、ブランシェ様!」


 湧き上がる大歓声に応えるようにブランシェは手を振りながら旋回し、ウイニングランを満面の笑顔で行った。

 僅かに届かなかった。けれど、結果に満足した。

 俺たちは成し遂げたのだから。


 こうして最終テスト兼デモンストレーションは幕を閉じた。



 ◇


 パイロット希望が殺到していた。

 まず、女王のくせに名乗りをあげたグレイシア。そしてその娘であるソフィア。メイドと秘書のアリステラとマチルダ。最後にキョウヤとユキナキ。

 俺の身内全員が希望した。というか、無理やり正式パイロットに任命させられた。

 また、海軍関係者からも殺到した。こちらの対応はグレースに任せることにした。


 大体、本格スタートまでまだ問題がある。

 水上バイク一台の制作費がとんでもなく高額なのだ。新しく自分達で立ち上げた専門工房とはいえ、その金額は馬鹿にならない。それに騎馬戦用の立ったまま乗るタイプの制作がまだ試作途中だ。


「オープンは来年かな。でも今年の夏はこれで遊べるね!」

「なんかグレースがその避暑地ように島を用意してくれるってさ。最高の夏になるな!」


 もはや、俺と雪乃は自分達が遊ぶことしか考えていなかった。もうすでに夏休み状態でいた。


「みんなの分間に合うかな」

「嫌なことに、間に合いそうなんだよな」

「まあ、雛型は出来てるし、作るのも早いよね」

「グレースが職人に間に合わせたら金をやるって。それからの職人達のやる気には驚かされたよな」

「まあ、そんなものだよね」


 俺たちの水上バイクを合わせて計八台。その一台一台が専用機だ。細かい調整やカラーリングに一人一人オリジナル性を持たせていた。もはや一種のおもちゃだ。まあ、みんなが楽しめるならそれでいい。


 俺と雪乃は立ち乗りスタイルの水上バイクをテスト試乗しながら会話を続ける。


「こっちの方が楽しいのにね」

「ああ、イルカのような気分を味わえるしな」

「飛んだら跳ねたり、楽しいよね」

「だよな!」


 そう。時代は既に立ち乗りスタイルなのだ。

 みんなに秘密のテスト試乗を二人っきりで楽しんだ。

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