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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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春の訪れ

今夜はあと二話投稿します。


もしよろしければ★★★★★など評価してくれたら嬉しいです!

 冬ももうすぐ終わり、春の訪れを待っている頃、俺はまた研究、開発に取り組んでいた。


『ユウヤ様、私どうしてもあのジェット水流装置を実現したいのです。どうかお力をお貸しください』


 そんな風にソフィアに頼まれたら断ることなどできない。

 俺はソフィアとまた研究室に籠ることになった。


 筒形の装置の先端から水を吸い込み、後方から圧縮して噴出する。

 俺の頭ではホースの先端を潰して勢いを強くする。そんな感じの想像しかできない。なので前回と違い、今の広くなった研究室にはヴェネシーアの頭脳が集結していた。同時にスクリューの実用化も、ここで進められている。


「俺がいる必要あるか?」

「はい。私達では想像がつきません。ユウヤ様のアドバイスが欲しいのです」


 どこか納得できない自分もいるが、彼女の一生懸命な姿を見るのもいいと一緒に取り組んでいる。


「姫様。やはり魔石の効率が悪すぎてスクリューだけでは無理です。現状の軍艦の補助として使用するのがベストだと考えます」

「やはり魔石の使用量がネックよね。残念ですが今は補助的に使用することにしましょう。けれど、将来的な実用化を目指し、スクリュー単体での航行を規模を縮小してこれからも研究を続けましょう」

「はい、かしこまりました」


 この件に関してはソフィアが一任されているらしく、彼女自身もとても頑張っていた。


「魔石も電池みたいに簡単に充電できれば良いのにな。でもこの世界って魔力が満ちてるんだろ。それを取り込めばいいだけだと思うのにな」


 俺のぽつりとこぼした独り言に皆が一斉に反応した。


「いや、あれだ。素人の戯言だから」

「なんでそう思われたのでしょうか」

「だってさ。俺達が魔法を使用するのに体内の魔力がいるわけだろ。その魔力って減っても回復するじゃん。それって外から体内に取り込んでるって考えるのが自然だと思うんだよな。魔石だってそうやってなんかしらが蓄えたものが結晶化したんじゃないかなと」


 さっき魔力を使い果たして空になった小さな魔石を右手で握り、魔力を手のひらに集めて、その魔力を魔石に送り込むイメージをした。

 すると握った指の隙間からほんのりと光が漏れた。暫しそうしてから手のひらを開いた。


「なあーんてな。そんなの無理だよな」


 握っていた魔石を何気なくソフィアに渡すと、彼女は驚いて立ち上がった。


「魔石に魔力が。魔力が満ちてます!」


 そう叫んで、ソフィアは腰を抜かしたようにストンとまた椅子に座った。

 一斉に研究者達に取り囲まれて、そこからはえらい騒ぎになった。どうやっただの。どうしてそう考えたのだとか。とにかく俺は質問攻めにされた。


 どうやら俺は歴史に残る発見をしたらしい。

 素人の偶然というのは侮れないものだと思った。



 ◇


 今日あった事を雪乃に話していた。


「でもさ。魔物にも魔石があるのに人には魔石がないのはおかしくないか」

「人に魔石なんて出来ないよ。それが出来たら人は魔物になってるってことだよ。だから、人は体内に魔石を取り込めない。もしそれをしたら神の摂理に反する行為をしたと神罰が下されるから気をつけてね」


 なにそれ。取り込む術はあるって言ってるようなもんじゃん。あれか、禁術ってやつかそれ。


「そっか。それは怖いな。でもさ、なんで人が自然から、外から魔力を取り込んでるって思ってなかったんだろうな。誰でも考えそうなのに」


 そんな疑問に雪乃はクスクスと笑って答えてくれた。


「悠哉くん、人がなぜ呼吸するのかって考えたことある。たぶん、何気なくしてることで不思議に思ったことなんてないでしょ。呼吸できないと息が苦しくなって死ぬ。そんな感じでしか思わないんだよ。当たり前すぎて探求しないの。それと一緒」

「科学が発達しなければわからなかったってことか」

「そうだよ。人が真実を知るまでには長い長い。それこそ気の遠くなるような年月が必要になる。それに人の一生は短いから。どんなに後世に残る発見をしても、それを残す術がなければ残せない。口伝でも伝えられなければ残せないの。悠哉くんの世界でも失われた技術ってあったでしょ。それと同じ」


 今宵の雪乃様は丁寧に教えてくれるな。

 なんか俺が勉強してるとかなり喜んでくれてるような気がする。それこそ、魔法を覚えることよりも、強くなることよりも、喜んでくれる。


「雪乃はちゃんと俺のことを見て、考えてくれてるよな。たぶん、俺が想像してもいない未来までを。君を無理やり連れてきたようなものなのに、本当にありがとう」

「どういたしまして。けれど、ようなものじゃなくて、私は無理やり連れていかれたんだよ」

「他の神様、怒ってるよな」

「たぶんね」

「やっぱりそうだよな」

「他の神様にでも会った」

「うん。ボコボコにされたけどね。今は気の合う友人かな」

「やっぱりそうだったんだ。会ったのアレースでしょ」

「え、なんで知ってるの」

「君と気が合いそうな神はそれくらい。それに最初に送り込まれるなら彼しかいないから。で、アフロディーテとは会った」

「いや、会ってないし、そんな名前初めて聞いた」

「そっかぁ。それは損したね。私と同じ美の化身とされる神様なのに」

「お生憎様、俺は雪乃がいちばんだから。損しただなんて思わないよ」


 俺の雪乃への愛を甘くみないで欲しい。

 君への愛は、想いは絶対だ。


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