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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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野盗退治へ

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本日あと一話投稿します。

 グレースに元気で丈夫な子と要望をして黒鹿毛と栗毛の二頭の馬をもらった。

 その二頭の中からアリステラに馬を選ばせると黒鹿毛の馬を彼女は選んだ。何気に自分の服装に合う馬を選び、やはりこいつは天然であざとく強かな女だと思った。

 俺達はフードの付いた黒い外套を身に纏い、それぞれ馬に乗って北部国境を目指して出発した。


 アニメや映画のように馬を速く走らせることはしない。ゆっくり馬を疲れさせないよう歩ませる。


「なあ、このペースだと国境まで何日掛かるんだ」

「遅くとも三、四日以内には着くと思います」

「今真冬だぞ。本当に大丈夫か」


 少し寒そうにしている雪乃に俺の外套を深く被せながら話を続ける。


「大雪にならなければ大丈夫じゃないでしょうか。まあ、めったに大雪にはならないと聞いていますから大丈夫でしょう」



 そのアリステラの言葉がフラグとなった。

 昼過ぎには大雪になり、宿泊地に予定した街に着く前に野営する事になった。


「さす俺。こんな時の為に準備したものが早くも出番がきた」


 俺は腰に付けているポーチを軽く叩いて、その場に長方形の煉瓦小屋を出した。


「ジャジャーン! 風呂付野営用拠点試作改二号!」


 紹介するように両手を広げた。

 その自慢の内装を中に入って紹介する。

 まず玄関に相当するドアを開けて中に入るとリビングがある。その右側部分にお風呂場。そして左側部分は寝室となっていた。中の家具にもこだわった。特にキングサイズのベッドは。

 初めて目にした雪乃達もさすがにこれには驚かされたのか感嘆の声をあげていた。


「ふふふ、どうだ。お風呂に入れないと機嫌の悪くなるかわいい恋人の為に仕上げたこの逸品は!」

「悠哉くん。すごいね、これ」

「発想が斜め上過ぎて逆にあきれてしまいますね」


 そんな二人も中を見てまわりながら喜んでいた。

 しかし、突然アリステラが疑問を口にした。


「あの、私は何処で寝ればいいのでしょうか」


 失態だ、これはとんだ失態だった。

 トニーさんと考え抜いたこの小屋は最初から俺と雪乃、二人で泊まることしか考えてなかったからだ。


「ん、想定外みたいだよ」

「やっぱりですか」

「だ、大丈夫だ。三人でベッドで寝れば問題ない!」


 アリステラのちょっと嬉しそうな顔を見て、うっかり馬鹿なことを口走ってしまったとやや後悔する。

 それを悟られないよう、長いソファに腰を掛けた。


「ほら、みんなも立ってないでくつろぐなり、風呂に入るなり好きにしてくれ」


 そんな事を言って、俺はソファに寝転んだ。

 今夜はここで寝ようと心に決めながら。



 ◇


 ソファで寝たふりをしてそのまま寝た俺は案外体が痛くなることもなく元気に起きた。

 どうやらトニーさんはとても良いソファを選んでくれていたようだ。もしかしたらこの様な事があると想定していたのだろうか。だとしたら本当に出来る男だ。


 早朝までには雪が止んだようで、朝食をとり移動を開始した。


「少し寒そうだったけど大丈夫?」

「ああ、全然大丈夫」


 雪乃が心配して聞いてきたが体調はどこも悪くないのでそう答えた。


「次は私がソファで寝ます。本当に申し訳ありません」


 シュンとした表情でアリステラが謝ってきたので、大丈夫だから気にするなと答えると、雪乃が小声でささやいた。


「ほんと、強情だよね」


 そのささやきは聞かなかったことにした。

 間違いがあったら困るし。それに初めてで他の人がいたら嫌だろ。俺だったら嫌だしさ。


 道中、たまにオオカミ型の魔物と遭遇するが難なく撃退する。クマ型はいないのかと思ったが動物と同じように冬眠するらしい。やっぱりこの世界はどこかチグハグに感じる。


「なんか寒さも増したような気がするし、あまり無理に進まないで次の町か村で泊まろう」


 想定より遅くなるが安全第一で移動することにした。



 暗くなる前に小さな町に着いた俺たちは少しは良さそうな宿を探して部屋をとった。


「まあ、ベッドも二つあるし。たまにはこんな狭い部屋もいいよな」

「だね」

「いえ。この先も大きな街はありませんから、おそらくこの先もこんな感じだと思います」


 無いのか。と、驚きながら食事のために一階の酒場兼食堂へ向かった。

 席について三人でテーブルを囲む。他の宿泊客なのか地元の人なのかは分からないが、その人達が賑やかに食事していて、その雰囲気にあらためて異世界を感じる。


「なんか新鮮だ。こっちに来てからこんな感じの店で食事をするのは初めてだな。なんか良いな」

「うん。こういのも良いよね」


 注文を取りにきた女性にお勧めをきいて、それを注文する。しかも調子にのって全部。


「大丈夫。食べきれる?」

「なんとかなるさ。あ、お姉さんエールもください!」

「悠哉様。少しペースが早くないですか」

「おいおい。やっと安心して飲めるんだぞ。飲まないと損だって」


 ざ・田舎料理って感じの食事も美味しかった。

 山盛りの料理に品数を多く頼んだことをやや後悔したが、酒を飲みながらゆっくりと三人で味わった。

 そして満足した俺達は部屋に戻って熟睡した。


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