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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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オパティヤ

起きていたので投稿します。

 特に問題もなく目的地、オパティヤに着いた。

 その美しい景観に息を呑む。

 小石の浜辺、そして透き通る青い海。月桂樹の木々が青々と上品に茂っている。


「取り敢えず先に宿を決めよう」


 例の如く最高の宿屋を滞在先に決めるも、ちょっと豪華な客室しか空いてはいなかった。さすがに人気のリゾート地である。

 アリステラ達には四人泊まれる広い部屋を。俺と雪乃はダブルの部屋をそれぞれ借りた。


「本当に四人で泊まるのか。二部屋に別れた方がよくないか」

「いえ、女子トークもありますので」


 アリステラ達は頑なに四人で泊まると主張したので言う通りにした。

 部屋に荷物を置いた後、着いたのが昼過ぎということもあり本日は散策のみとする。


 海岸沿いを皆で散策する。アンヌが色々なものに興味を示す度に散策が中断するも皆笑ってアンヌの好きなように寄り道をさせていた。


 日も傾きかけて宿屋へ戻ると宿屋の主人に呼び止められた。


「このハンガリー王国で国王が暗殺されてから、国内の情勢が不安定になっております。この地方も例外ではなく、ハンガリー王国からの独立の機運が高まっており、あまり長期の滞在はお勧めしません。なにかあればすぐにお伝えしますが、お客様の方でもご注意ください」


 その話を聞いて、アンヌも一緒だし、あまり長居はしない事に皆で決めた。



「どうしたの」

「俺が言うのもアレだけど、戦争って血生臭いよな」

「戦争は嫌い?」

「別に。戦争という手段は否定しないさ。俺だって多くの人を殺めているのに良い子ぶるつもりはないよ」


 俺から見て悪でも、相手から見れば善だったり正しいことなんて石ころの数ほどある。

 ただ、戦争のきっかけが俺のせいでもあるってことに少し罪悪感があるだけ。


「でも、あれだよな。人の国に手を出したしっぺ返しだよな」

「ん、なんのこと」

「ヴェネシーアに工作を仕掛けたこと」



「やっぱり明日には帰ろう。アンヌに戦争前の雰囲気を感じさせたくない」

「そうだね」


 夕食の時に明日帰ると皆に告げると、誰からも反対される事はなかった。たぶん、皆同じ気持ちだったのだろう。



 翌朝、滞在僅か一日で俺達は帰路についた。



 ◇


「すぐ帰る選択をして正解でしたね」


 街道の検閲強化や通行税などの増税。如何にもな感じにアリステラがそう感想を述べた。


「思い切って転移して帰るか。でもあまり早く帰ってグレースを喜ばせるのもなあ」


 そんな俺の発言に雪乃が白い目を向けた。


「いや、冗談だって。あはははは」


 白い目が、より一層白くなった。


「よし、転移しよう。そうしよう!」

「その方がいいよ。ちっとも進まないし」


 そう。オパティヤを立ってから五日も経つのに来る時の倍以上要していた。お陰で野営することになり雪乃の機嫌はマックスに悪い。

 それもこれもお風呂に入れないからだ。


「じゃあ、俺が馬車を転移します」

「うん。転移先は宮殿でいいかな。じゃあ、私達は先に転移するね」


 雪乃達はそう言い残して、俺を置き去りにするかの様にさっさと転移していった。

 少しあっけに取られていると、背後から殺気を感じた。反射的に腰を落とすと、髪に何かが掠った。

 前へ転がるように距離を取り、後ろを振り返るとアレースが槍を肩に乗せて半身になって構えていた。


「おい、背後からはとは卑怯なやつだな」

「容易く背後を取られる方が悪い」


「それもそうか。この間はありがとな」


 俺は礼を口にしてから金貨の入った革袋をアレースに向かって軽く放り投げた。


「なんだよ、これは」

「謝礼だよ。金なんてあるに越したことないだろう」

「まあな。正直助かる。毎回幻惑でタダ飯食らうのも気が引けてたからな」


 おい。神様がかっこ悪いことすんなよ。情けねぇな。


「で、何用だ」

「いや、次期王様にお祝いを。と、思ってな」


 そう言って馬鹿にしたように笑った。


「態々馬鹿にしにきたのか。暇なやつだな」

「それもあるが忠告も兼ねてだな。今後あまり派手に暴れるな。今回の内戦に首を突っ込まなかった事は褒めてやる。いいか。これ以上世界を引っ掻きまわすな」


 別にそんなつもりはないんだが。


「それと、かわいそうだから他の女も相手にしてやれ。うちのかわいい恋人がそう言ってる」

「そこは大きなお世話だ、ほっとけ!」

「フレイヤちゃんが恋人だから他に目が行かないのはよく分かる。うちの彼女も最高だしな」


 どこか絆というか、同志のような感じがして互いに歩み寄り握手を交わす。


「理解者に出会えて嬉しいよ」

「俺もだ。恋人は一人いれば満足なのにな」

「そう。なのに、事あるごとにハーレムを勧めてくるんだよな。しかも最愛の女性から」

「ほんとだぜ。好きな女からあの人としてもいいよって言われて。はい、そうですか。とは言えないよな」

「そうそう。気まず過ぎて答えに困る」


 意外なところで意気投合した。中々に良いやつだ。


「そうだ。あの炎と氷の剣、もっと磨け。懐かしい技だが最高の技だ。あれの最後の使い手はもっと素晴らしかったぞ」

「その使い手のことを知ってるのか」

「ああ。だが、教えない」

「ケチくせえな」

「ま、俺が全く相手にならなかった。とだけ教えておく」


 アレースは頑張れよ、と言い残してその場から消えた。

 そしてなんとなく、すっきりしない気持ちのまま、俺も転移した。


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