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神様と歩む悪党街道  作者: そらまめ


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出発

今夜あと一話投稿します。

 あの忌まわしい敗北を忘れるようにバカンスへ向けて忙しく動いた。

 まず、新しい屋敷のリフォーム。雪乃の意見を取り入れながら内装、家具などを選んだ。そして、一番重要な大浴場。これは映画やアニメで観るような意味のわからない石柱などのあるタイプを絵などを駆使して伝えるも伝わらず、結局雪乃がいい感じに仕上げて伝えてくれた。これらはバカンスから帰ってくるまでに終わらせておけばいいので一先ず終了だ。


 そして、バカンス出発当日。


 前の屋敷。すなわち屋敷一号で馬車は待機していた。

 バカンスメンバーは雪乃、アリステラ、マチルダ、アンヌ。そして俺の五名だ。

 なぜか警備隊が警護しますと言ってきたが即効却下した。


「うん、落ち着いていていい感じだね」


 そうだろう、そうだろう。なんせ、シンプルイズベストだからな。


「雪乃に気に入ってもらえて良かったよ。でも、室内も気に入ると思う」


 観音扉タイプになっている馬車のドアを開けて中を説明した。


 向かい合った六人用座席。その間にはドアの反対側に備えられた収納タイプのテーブルがあらかじめ置かれていた。


「座り心地も良いね。でも、このテーブル要るの。揺れてグラスとか置けないんじゃない」

「この馬車は普通の道を走っている限り、ほとんど揺れない。それに雨の日や、途中で休憩中にご飯を食べる時にテーブルはあった方がいいだろ。それにこうすれば簡単に収納されるしさ」


 実演してみせるとみんなから感嘆の声が漏れた。


「そして、さらにこうするとベッドになります!」


 席を前後にスライドさせて背もたれを倒し、さらに御者側に備えてあるベッド用の備品を脚を立ててから倒した。

 そこでまた感嘆の声が漏れる。とても気分が良い。


「あまり馬車の中で泊まるような野営はしたくはないけれど、これはこれでいいよね」

「まあ、そうだけど。あるに越したことはないからね」


 説明も終わり、馬車の後部にある荷台スペースに荷物を積もうと後ろのドアを開けた。


「さあ、荷物を。え、みんな少なくない?」


 皆、着替えなどが入ってると思われる少し大きな旅行カバン一個だった。


「だって、私の収納魔法もあるし。みんなにも悠哉くんと同じ収納魔法を付与したポーチやバッグをプレゼントしたからね。でも、気分的に旅行カバンがないと寂しいから持っていくの」


 女性陣が雪乃の言葉に同意を示しながら見せてくれた。なんとなく、俺のよりおしゃれな気がして負けた気になるが我慢した。


「そっか。それじゃ出発しますか」


 御者を務めるアリステラ以外は馬車な中に入っていく。そして、それぞれが適当な場所に座った。


「では、出します!」


 アリステラのその掛け声で、俺達のバカンスがスタートした。

 目指すはアドリア海にあるオパティヤだ!



 ◇


 思っていたより快適な移動に満足していた。

 どうせこんなもんだろうと、なめていた。

 異世界へ勧誘された時の雪乃の言葉を思い出す。


『思ってたのと違う!』『なんで上手くいかないんだ!』


 そりゃあそうだろう。知識は知識であって知恵ではない。知ってるだけで新しい事が次々と出来るならば前の世界はもっと発展しているはずなのだから。


 確かに表面的には中世の世界なのかもしれない。けれど、魔法というチートがあるせいか、ある部分においては圧倒的に優れている面もある。何より、この世界の人々も馬鹿ではないのだ。日々研鑽し、生活が向上することにたくさんの犠牲を払って邁進しているのだから。


 つまり、俺は何が言いたいかと言えば。


「なあ、アリステラってあんなに強かったんだな。てっきり天然あざといキャラかとばかり思っていたよ」


 先程、目の前で繰り広げられたゴブリン、オークとの戦いが鮮やかすぎて目に焼きついていた。

 銀髪と短いスカートを靡かせ、華麗に宙を舞い、美しく正確に暗器を魔物の急所目掛けて投擲する様に、俺は魅了されてしまった。


「私自ら、戦闘メイドとして鍛えたあげたんだから当然だよ」

「お前かっ!」

「あ、出会った頃のお前呼び。懐かしくてキュンとくる」


 っていうか、なんで俺より先に暗器の使った技を教えてるわけ。ずるくない。


「マチルダだって支援系の魔法を覚えたんだよ。まだまだ使いこなすには経験が必要だけどね」


 おい。なんだそれ。俺にはちっとも教えてくれないよね。雪乃さん!


「はい、はーい。お兄ちゃん、私も闇魔法使えるんだよ。ほらっ」


 ポシェットから取り出した熊や兎のぬいぐるみが、テーブルの上で踊り始めた。


「お前、ロリっ子になに教えてんだよ!」


 つい、雪乃の両肩を掴んで前後に激しく揺らした。


「待って、待ってよ。お前呼びもキュンとくるけど、毎回は駄目だよ」

「しねぇよ!」


 俺はテーブルの上に両手を着いて項垂れた。

 なんなんだ。この急な進歩は。

 大体俺が頑張ってもたいして魔法を使えないのに、この差はなんなんだよ。


 そうか。これが異世界からやってきた奴と、本場ものの違いなのか。元から才能や資質に差があるのか。


「違うと思うよ。悠哉くんの場合は本気度が足りないだけだと思う」

「本気だよ、いつだって本気なんだよ!」


 俺は雪乃の柔らかい胸に飛び込み、悔しさと不甲斐なさで涙を流した。


「もう、元気なんだから」


 こんな時に。ほんと、ごめんなさい。

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