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こんなはずじゃなかった。殺される日ではないはずだった。
毎日のように気になったものを盗み、手がかりを一つも残さずに立ち去るはずだった。
だが、今を見ればわかる。この少年に殺される。だめだ、殺されてはだめだ。殺されては人生が終わる。
死んではならない。まだ生きなければならない。どうする?反撃する?隠れる?
いや、待とう。隙が現れるまで。そうすればどうにかなるだろう。だがそのあとはどうする?彼は不死身かもしれない。人間ではないかもしれない。
体は鉄より硬い。ただの子供にしか見えない。逃げる方法はあるのか…あったとしても彼はわかるだろう。なぜかそう思う。
怖いのか?彼が、あの少雨念が怖いのか?死ぬのが怖いのか?昔はそんなはずなかった。どんなことでも恐怖なしでこなしてきた。
なぜだ、なぜこの少年は恐怖をもたらす。いったいなぜこの少年は怖い。それとも怖くはないが体がガタガタと震えているのか?それは怖いということか。
そんなことはどうでもいい。今は逃げるよう法を考えよう。待ってからどうする?彼が攻撃したスキを使って突っ走るか?彼は殺せない。そんなことはもうわかっている。
彼女を使う方法はあるな、だがそれは自分のポリシーを粉々にするのと同じだ。そんなことは許されない。それならいったいどうすればいいんだ、死ねばいいということか?
死なない方法はもう一つある。だが…負けと告げることはいやだ。何が何でも否定したい。だが命よりも大事なものなのか?その一言を言わないということは。
それとも簡単に言えるかもしれない。仕方ない。いうしかない。言うしか…
少年は彼の前まで迫っていた。だが、小四郎の様子がおかしい。まるで意識をなくしているようだ。よけようともしない。ピクリとも動かない。まるで死を求めているかのようだ。
一瞬嫌な予感がしたが剣を振った。
シュッ 彼は消えた。少年の目に見えない速度で消えた。
どこにも見当たらない。「いったいどこへ…」すると、真後ろに現れた。目は希望をなくしたかのように薄暗かった。
これが彼の本心なのかもわからない。「!?」だが、反応する前にこぶしをぶつけられ、ビルにつっこんだ。窓を突き破り、地面を突き破った。
そこには誰もいない。もちろんそうだ。市民を巻き込まないように彼が仕組んだものだから。
ゆっくり立ち上がると小四郎が目の前に現れた。速い。全く気が付かなかった。だが、少年はわかる。これは彼の本心でないことを。
忍差は立ち上がり、穴の開いているビルを見た。そこに少年が突っ込むのを目で見た。
だが、小四郎の強さはこんなのじゃなかった。もっと弱かったはずだ。これはまるで神を超えたかのような人間だ。
いや、人間じゃないかもしれない。彼は今、何かにとりつかれたのかもしれない。
「…」忍差は口から声が出なかった。少年と小四郎は光ほどの速さで争っている。彼女には見えない。見えるわけがない。2人の速度は忍差をはるかに超えている。
少年は人間じゃない。そして小四郎は人間なのかもすぁからない状態だ。2人とも忍差を1本の指で倒せる状態にいると思う。
この時久しぶりに思い知った。自分がどこまで弱いかを。




