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小四郎の姿が消えた。忍差は周辺を見渡した。彼の姿はどこにもない。
忍差は少し動揺した。一瞬の間で消えたのは普通だ。だが、いったいどこにいたのかがほんの少しもわからない。
すると後ろから聞いたことのある声がした。「君が探しているのは僕のことかな」後ろを振り返ったが誰もいない。
だが、今度は反対側から声がした。「そんなことはもう知っているよ」また振り返ったが誰もいない。
「それなら君を始末するしかないね。悲しいよ。でも生きるためってことだ。」忍差が跳ねようとしたが、横によけた。
すると彼女が初めは行こうと考えていた場所を剣が通った。「やっぱり君は感がいい。優秀だね」そこには剣を手にした小四郎がいた。
彼の目を見ればわかる。人を殺すことには少し慣れていないようだ。今までは人を殺さずに物を盗んでいた。だから彼女を殺そうという考えには少し賛成できていないようだ。
だが、生きる方法はそれしかないと理解し、決意したようだ。体制を整える前に彼は剣を振り下ろした。
死んだ。
彼女は思った。だが、命はまだ続いたようだ。少年が現れ、素手で剣を止めた。普通なら手から血がにじみ出てくるか手が切れる。
彼は違った。人間とは思えない体だ。剣を素手で捕まえ、放り投げた。手には傷1つない。「少しやらせすぎたようだ、僕が始末しておこう」
突然現れてきた少年に驚き、小四郎は数十歩ほど下がった。周りにいた人たちは剣を見ると大騒ぎで逃げていった。「新たな登場人物が登場というわけか」
額に一粒汗を流しながら小四郎は苦笑いした。彼からすればこの少年は悪魔といっていいほどの力を持っていた。隕石が降り注いでも人吹きでかき消すことが可能かもしれない。
勝てないと分かっていても負けず嫌いの小四郎は引き下がらなかった。「君には死んでもらう。だが殺すわけにもいかない。君はこの世が成り立つのに必要な人物の一人だ。だから一言言ってもらおう。『負けた』と。」
だが、負けず嫌いの小四郎は首を軽く振った。「遠慮させてもらおう。いやだからね」少年は緩やかなため息をついた。「やはり無理だったか、予想内、それなら死んでもらう」
彼は突撃した。「速い!」ぎりぎり攻撃をよけることができた。神をかすり、素手なのに髪の毛が刀で切ったかのように切れた。こんなものを顔に食らえば真っ2つになるだろう。
「君だったのか、彼女に殺せといたのは」彼は頷いた。「それがどうした、君には負けてもらわないといけない。たとえ命をとるとしても」
小四郎は周辺の状況を見た。誰もいない。暴れても安全のようだ。どうやって逃げ出すかを考えようとした。
ダメだ、考える暇がない! 方法を考えようとするが、彼は攻撃し続けるので考える隙が作れない。しかも速い。速すぎて攻撃する隙も無い。
周りを見ることも苦労だ。このままよけているだけではいつか死ぬだろう。「とりあえず…」今、彼ができる一つの考えを実行した。
「彼女がやばいぞ!」小四郎が叫ぶと思った通り、少年は忍差を見た。「隙あり!」彼はその場から立ち去り、高層ビルの頂上に避難した。
とりあえず逃げ出すことができたがいったいこれからどうしたらいいのかわからない。「いったいどうする…すぐ見つかるだろうし…」彼は頭をかき回した。
こんなはずじゃなかった…




