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第2話 キスをしよう

王子様と婚約者(候補)3人は、12歳になりました。


全員、すっかり仲良しです。


けれど、お嫁さんとなると、マティアスにはまだピンときません。今のところ、4人の関係は「友達」です。


そこで、マティアスは考えました。……不埒な方向に。




「キスをしよう」


フィオレがお皿を並べ、オルガがお菓子をのせて、リリアーナがお茶を入れていると、突然マティアスは言いだしました。


「…何ですの?やぶから棒に」


フィオレはマティアスに呆れた一瞥をくれてやりました。オルガもリリアーナも驚いています。


「僕たちは結婚相手だ。でも、お互い意識したことないよね?だから、ちょっと試してみたいんだ」

「…必要ですか?」

「必要だ」


マティアスは言い切りました。大人なフィオレには分かっています。マティアスのその発言は、純真な心が8割、不埒な心が2割あることを。


「…まあ、いいでしょう」

「えっ!?」


声を上げたのは、リリアーナです。

マティアスの「キスしよう」という発言に、分かっていて呆れているのがフィオレで、分かっていないのがオルガで、分かって恥ずかしいのがリリアーナです。

ここでも三人三様だとマティアスは思いました。


「どうぞ?」


と最初に目をつむったのは、フィオレです。

マティアスはフィオレのつるんとした頬に手を添えて、唇にキスをしました。

フィオレは目を開けて、マティアスに聞きます。


「どうでしたか?」

「…柔らかかった…」


マティアスは驚きました。女の子の唇は、とても柔らかいものだと。

くるっと振り向いて、今度はオルガを見つめます。


「口と口をくっつけるだけだろ?」

「うん」

「じゃ、いいよ」


オルガもフィオレの真似をして目をつむりました。マティアスはオルガの肩に手をのせて、唇にキスをしました。

キスをする前もした後も、オルガに変化はありません。


「これで何かわかるのか?」

「うーん」


マティアスは、やっぱり唇は柔らかいしその感触が好きだと思いました。そして、二人とのキスは全く嫌ではないので、お嫁さんに出来そうだとも考えました。


さて…と振り返ると、リリアーナは遠くにいます。


「…リリアーナ?」

「えっ、あっ、あのっ!」


リリアーナは遠目にも顔を赤くしています。その様子がまた、何とも愛らしい。完璧な美貌を赤く染めているその姿は、男なら誰でも悶えるほどに可憐です。

そしてそんな彼女の反応を見ると、フィオレとオルガは、マティアスを全く意識していないことが分かりました。


ーーマティアスに、加虐の心が芽生えます。


「リリアーナ、こっちへおいで」

「あの、でも!」

「せっかく用意してくれたんだ、お茶にしよう」

「あ、は、はい…」


ゆっくりとリリアーナは席に戻ります。マティアスは何も無かったかのように、4人でお茶会を始めました。


しばらくすると、勉強を終えたディーノとフランカがいつものように参加してきます。

ディーノはオルガとどこかへ遊びに行ってしまい、フィオレはフランカと庭で花摘みをしに行きました。

あら?二人きりです。


「リリアーナ」

「!」


いつの間にか隣にきたマティアスが、リリアーナの手を握りました。


「リリアーナの手は、柔らかいね。それに、白くてきれいだ」

「お、女の子は皆同じです…」

「ふふ、唇も、きっと柔らかいんだろうね」


そう言って、マティアスは距離を詰めます。また逃げようとするリリアーナの腰をつかんで、マティアスは膝にのせます。


「きゃあっ!」

「…僕の膝の上は嫌かな…?」

「ううう…」


嫌ではないです…と小さな声が聞こえます。マティアスは下半身がムズムズしてきました。


「キスしてもいい?」

「だ、だめです…」

「なぜ?」

「は、恥ずかしいです…!」

「でも、ここには誰もいないよ?」


マティアスは両手でリリアーナの頬を挟み、唇を寄せる。思わずぎゅっと目をつむったリリアーナの唇を、マティアスは遠慮なく塞ぎました。


「ん…」


あー柔らかい。マティアスは更にはむはむと下唇を挟んで堪能しました。目を開けると、真っ赤な顔のリリアーナ。まつげが長くて、やっぱりきれいな、とてもきれいな女の子です。マティアスの腕の中で震えています。ーー可愛い…。


今度はペロペロと唇を舐め始めました。くすぐったさにリリアーナは口をうっすら開けてしまいます。そこへ、すかさずマティアスは舌を入れました。


「ンう?!…んっ!」


ベロベロとマティアスの舌がリリアーナの腔内で暴れ回ります。リリアーナはマティアスの服を握ってその快感に耐えます。

マティアスもリリアーナとの深いキスに夢中になり、下半身を熱くさせました。


ーーあ、勃起した。


興奮すると、僕の一物はこんなに熱くなるんだ…。とマティアスは小さな感動に包まれました。


ようやく唇を離すと、リリアーナはしどけなくなっています。その体をぎゅううと抱きしめて、マティアスは全身の柔らかさを堪能しました。ーーもちろん、下半身は熱く滾っていますね。


「もう、殿下…ひどい…」

「ごめんね。その…嫌だったの?僕はすごく気持ち良かったけれど…」


じっとリリアーナを見つめて、マティアスは聞きました。リリアーナは口をはくはくさせて、俯きました。そしてとってもとっても小さな声で「嫌では…なかったです」と言いました。




そこへ、皆が戻ってきました。

リリアーナは恥ずかしくて、マティアスの膝からパッと降りてもとの席に座ります。マティアスはそれを少し残念に思いながら、皆の到着を待ちました。


「兄さん、ただいまー!」

「お帰り、ディーノ」

「あら?リリアーナ、顔が赤いけれど…大丈夫?」

「え、あ、だ、大丈夫です。ありがとう、フィオレ…」


潤んだ瞳で見つめるリリアーナは、身悶えするほど愛らしい。その様子に、フィオレはマティアスが希望通りキスを果たしたことを悟りました。


ーーふうん…。


フィオレは何かを感じます。大人な彼女しか感じられない、何かを。


さて、全員そろって再びお茶を飲んでいると、ディーノが爆弾発言をしました。


「そういえば、兄さん、オルガとキスしたんだって?」

「ぶはっ!」


マティアスは飲んでいたお茶を吹き出しました。急いでリリアーナがタオルで拭きます。ゴホゴホ咳をしながら、マティアスは聞きました。


「なぜ…?」

「オルガから聞いた。どうだった?兄さん」

「どうって…柔らかかったね」

「うん!僕もそう思った!」

「……は?」


にぱっと全開の笑顔でしたディーノは言う。


「僕もオルガにお願いして、キスしたよ。女の子の唇って、すっごく柔らかいね!」

「ただ口と口を合わせただけじゃんか。あたしは何とも思わなかったよ」

「ええー、そうなのー?」


まさかが二つ。

まさか、オルガがディーノともキスするとは。

まさか、オルガが何とも思わなかったとは。

マティアスはどう反応していいか、困りました。


「あのね、ディーノ。オルガは僕の婚約者(候補)だから、キスしちゃ駄目だよ」

「えっ?駄目なの?!」

「うん。駄目」


ええーと不満そうにディーノは声を上げる。ーーこれは、早めにディーノにも婚約者を立てた方が良さそうだ。


そう煩悶していると、今度はフランカから爆弾を投下された。


「あの…わたしも、ダメ?お兄ちゃん」

「フランカ?」

「わたし…フィオレ様に…キスしていただきましたの」

「はあ?!」


ーーいま何つった?!フィオレとフランカが、キス?!


フィオレは泣きぼくろも艶っぽく、ニッコリ微笑みました。


「ふふ。フランカ様のキスの、甘いこと」

「フィオレお姉様…」


二人は熱く見つめ合います。っておーい!百合の世界、ダメ!


マティアスが呆気にとられていると、フィオレはさらにマティアスを追い詰めます。


「マティアス様、わたくし、百合(こちら)もイケる口ですの。むしろ、女の子の方が好きですのよ」

「…嘘だろ…」

「でも男の子もイケますから、ご安心なさって。マティアス様とのキスも、そう悪いものではありませんでしたわ」


しれーっと言い放つフィオレ。ーー何を安心するんだ、何を。



これは、三択なのか?と不安になるマティアスでありました。



オブラートに包まない表現でスミマセン。

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