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陽元日記  作者: サツマイモ
天秤物語
26/99

25日目:いそがしい朝食

朝ごはんはいつも、うちと使用人とおばあちゃん、それから先輩とたんかちゃんの5人で食べている。それが日課だし、習慣だ。


まあ、先輩はいたりいなかったりするけれど、大体はそんな感じで朝食は食べています。


もう一人の使用人さんは、一体全体どうしているのか、うちにはさっぱりなのです。というより、知っている人の方が少ないのですが。


気づけば庭にいるし。

気づけば台所にいるし。

気づけば洗濯をしている。


そして、いざ探そうとすると、見つからない。


そんな感じの使用人が一人、いるのです。名前は、ですから知らないのです。


閑話休題。


いつもは一緒になって作るたんかちゃんも、今日はさすがに眠そうなので、使用人の聡子さんが、全て作ってくれました。


彼女の料理は、プロの料理人が唸るほどの腕前で、それが毎朝・毎晩頂けるというのですから、めっちゃくちゃ嬉しいです。もう元の生活には戻れません!


畳の部屋の真ん中にどんっと置かれた机を、今日は4人で囲います。上座とか下座とかはよく知りませんので、皆で適当に、座りやすい場所に座ります。


人間とは不思議なもので、特にルールで決めているわけではなくとも、ついついいつもと同じ場所を選ぼうとしてしまいますよね。何となく、昨日もそうだったし、みたいな感じで。やはり、安心・安全・安定・安堵を求めてしまうのでしょうね。


それは、決して陽元王国の住民も御多分に漏れません。


無理やり起こした彼女は、抱き枕として使っていたであろうぬいぐるみを手に、一階のここ大広間へと降りてきました。それはもう、ゆっくりな足取りで、こけないかどうか、心配になるほどでした。


それでも何とか降りてきた彼女は、寝ぼけまなこをごしごしこすりながら、そして欠伸をしながら、いつもの席へとのさのさ歩き、そして座りました。


いわゆる女の子座りをする彼女を見て、なんだか興奮してしまいます。


うわぁ…かわいい。


普段はあまり思うことも、考えることもないただの女の子座りなんですけれど、何でしょう、このインパクト。いつも元気いっぱいの彼女が、男勝りっぽい女子の女の子っぽい姿を見ると、ギャップで萌えますね。ついつい、体が火照ってしまいます。燃えてしまいます。


はっと気づき、我に返ります。目の前の天使から視線を外し、料理の方へと向けます。


聡子さんが作った料理というのは、やはり見た目から美味しそうです。


今日のメニューは、焼き鮭、千切りキャベツ、白飯に、味噌汁、そしてキュウリの酢漬け。それぞれ大変美味であり、これ以上の褒め言葉が見つかりません。


絶妙な塩加減で焼かれた、クリーミーな鮭。

新鮮さが失われていない、みずみずしいキャベツ。

ふっくらほかほか優しい温かさを備えたご飯。

酸っぱさが癖になる、何度でも食べたいキュウリ。


気づけば、いつの間にか、皿の上には何も残っていませんでした。我ながら速すぎるような気もしないでもないですが、それくらい美味しかったのでしょう。


「はー、美味しかった。本当、いつも美味しいっすよねえ!」

「そうですか。なら、作った甲斐があります」

「今度教えてくださいよ!」

「ええ、今度。是非とも」

「やったぁ!」


食事を済ませ、スタっと立ち上がります。たんかちゃんはまだ何一つとして手をつけていませんでしたが、うちにはやることがあるので、後で撫でまわしてやろうとか思いつつ、戸の方へ向かいます。


「あら、お出かけですか?」

「ええまあ、ちょっと」

「お昼ご飯は、いかがなされますか」

「そうっすね…、一応作っておいてください。また、連絡します」

「分かりました。行ってらっしゃいませ」

「うん」


急いで自分の部屋へと戻り、着替えます。化粧は、しません。する気がないし、興味もないですし、誰かに見せるわけでもないですし、やる必要がないので。


「よし、行こう」


自分の部屋から、大広間へ。大広間から、自分の部屋へ。自分の部屋から、玄関へ。二度手間のような、三度手間のような階段往復の末、うちはとうとう家を出ます。


そろそろ、言った方が良いでしょうね。


向かうのは、この街最大にして唯一の学校です。この小村の3分の1を占める大きさを持つこの学校は、勉強は勿論のこと、資料館としての役割が強いことでも有名で、3大博物館にも指定されているそうです。


ここから歩いて近いという利点は勿論のこと、歴史的資料が数多くあることから、うちはよくここを訪れています。そして、何より、陽元王国について最も知っているであろう人もここにはいるのです。しかしながら、うちはその人を良い人とは思えません。なぜかと言えば、非常にウザいからです。


あいつ、めんどくせえ。


だからと言って、陽元王国を調べるうえで彼を頼る以外に方法はなく、残念ながら今日もまたこうして情報を手に入れるために、行かなければならないのです。


今回のテーマは、てんびんの紋章についてです。

天秤とはまさに天秤で、平等や公平を意味したりするらしいですが、ともすると差別や男女平等などの話題になるのだろうなあ。


まあいいや、仕方ない。

小難しい話は、その時で。


とりあえずは、レッツゴー!


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