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白髪に映える雨空

作者: 蛇にゃん

初めまして、蛇にゃんです。初投稿なので駄文だとは思いますが、楽しんでいただけると幸いですそれでは、どうぞ!

その日は生憎の大雨で、窓の外を眺める子供たちは退屈そうで、受験生は相変わらず勉強に明け暮れていた。街も心なしか活気が欠けていて、商店街には普段の半分も人がいなかった。それもそうだ、わざわざこんな天気に街を出歩く必要は無い。今朝の天気予報では、本日の降水確率十%と出ていたため、私──篠崎雪音──は傘を持っているはずもなかった。小雨になるまで、学校の昇降口の屋根の下で、雨宿りをさせてもらっていたのだ。

「おーい、雪音ー!」

突如、私の名前を呼ぶ幼馴染み、秋宮和也の声。先天性白皮症、いわゆるアルビノである私の数少ない、そして初めての理解者だ。日本人にそぐわない真白の髪に、病的に白い肌。どこか透明感のある赤い双眸も相俟って、何かと気味悪がられ、避けられる私だったが、周りの反応などお構い無しに話し掛けてくれる和也には、まあ感謝している。

「和也?どうしたのよ?」

見れば和也は、傘を二本持っていた。あ、こいつまさか───。

「いやあ雪音、傘もってなさそうだったから」

「うっ………」

図星である。ここはさすが幼馴染み、と言うべきか。

「ほら」

「あ、ありがと………」

差し出された方の傘をおずおずと受け取る私。顔が熱くなっている。原因は不明だ。熱でも出たのかな………。しかし、天然なのか、はたまた鈍感なのか。和也は私の様子に訝しむことなく「じゃ、行こうか」とだけ言ってさっさと歩き始めてしまった。

「えっ!?ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!………もう!」

私より一歩前を行く彼の背中を追いながらも、私は顔から笑みを引き剥がせなかった。

───────────

「それでさ、実はアイツ───」

「えっ!?そうなの!?」

隣り合う二つの傘の下で、私たちはクラスの噂話に花を咲かせていた。

「ふぅーん、以外だった………。ねえ、そんなことよりさ、これじゃ歩きづらいよ」

「えっ、じゃあどうするんだよ?」

「ふふっ、こーするのっ!」

私は傘を閉じ、和也の腕にしがみついた。何となくこうしたい気分だったのだ。

「えっ、ちょっ、おい!?」

「───いつもありがとね」

「へ?」

「髪のコト」

それだけ言うと、和也も納得したようだった。

「ああ、そんなこと。良いよ、別に。………友達なんだし」

それを聞いた私は、嬉しさからなのか恥ずかしさからなのか、顔が真っ赤に染まっていくのを自覚した。ああ、なんだこれ。『友達』だと言われただけでここまで嬉しい気分になるということは、私はそれだけチョロい女だということか。

「お、雨止んだな」

和也にそう言われてふと前を見ると、雲こそ残っているものの、確かに雨は止んでいた。西の方に、少しだけ青空が覗える。きっと私の気持ちに感化されたのだろう。そうに違いない。そんな筈ないのに、そう思えてしまうほど、私は謎の高揚感に見舞われていた。

───この気持ちに気づくのは、もう少し先の話だ。

……いかがでしたでしょうか。推敲はしてはありますが、もしかしたら誤字脱字があるかもしれません。見つけられた方はコメント欄にお願いします。ほかにも、ご指摘等ございましたらコメント欄へ。感想も待ってます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] いいシチュエーションですね。主人公と幼馴染の男の子しか、その場面にいない、二人っきりでの甘酸っぱいお喋りしながらの下校。 [気になる点] 主人公、それだけじゃどんな容貌をしているか想像しに…
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