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K市  作者: トマトマ
1/5

疑問-春



どこかのあなた 


私の言うことに怒らないで


あなたが求めているのは私ではない


これはただ風にのせてとなえた


ねんぶつに過ぎない




+ + +





こうして言葉をつづっている、それは恐ろしいことだ。


私たちの手が、こうして言葉を作り出していく。


それは、怖いことではないか?


言葉を恐れる心が、言葉を語るとき、


その言葉が空間に現れるとき、


空気の振動や、電子の増殖や、分子の変化に終わらない、


取り返しのつくことのない衝撃が


大空のうえや大地のしたに


伝わるのではないか。


魂の振動、それが、言葉というのではないか?






  +   +   +




ねえ、知っていた?  私たちは独りではないらしい。


でも、そんなこと、嘘だね。




ねえ、知っていた? 私たちは独りらしい。


でも、そんなこと、嘘だね。



ねえ、知っていた? 私たちは独りではないらしい。


それって、ほんとうに不思議だね。



ねえ、知っていた? 私は知らなかった。


それで、急に、鼻がいたくなった。




+ + +



言葉をたずさえてあなたは来たのですね。


誰からもらったのですか?


その恐ろしい物をどうか捨ててください。




+ + +



日本という国に生まれました。


ごめんなさい。


地球という星に生まれました。


ごめんなさい。


天と地の間に生まれました。


ごめんなさい。



・・・・・・・・・・・ありがとうございます。




+ + +



手をください。


手をください。


でも、私は触れません。


手をください。


手をください。


でも、私はふれません。


手をください。


そうしたら、私は、


たちまち崩れます。





+   +    +



周りを見るとだれもが荷物を背負っていた。


私は不安になった、背中が空いていたから。


「荷物をください」 そう願うと、


私にも背負うものが出来た。


みんなと同じように背中が曲がった。


体をひきずりながら荷物を運ぶ。


それで、私は安心した。




+   +   +



今日という日はどこに行くの?


明日という日はどこにつながっているの?


私は本当に盲目だ。


すごいことだと思う、こんなに、


次、どうなるのか分からずにいて、


それなのに、命は必ず、


自分を前へかついでくれると


信じていられるのは。


その確信はどこから来るの?


死の恐怖を知る人間が、


それでも尚、幸福な時には笑い、


不幸な時には悲しむことができる、


その屈託のない色彩は


だれによって描かれているの?


羊は牧場にいこい、その周りは深い森。


狼や熊はとてもこわい。


しかし、知恵のある羊飼いが率いて


森を抜けていこうと言ったら、


それに従って行く羊がいるか?


死の道や涙の谷を渡り、


恐怖に押しつぶされても信じて、


旅行くことができるか?




+   +   +



強い風が吹いてきた。私の鼓動がはやくなる。



いつか強い人が来る。私を丸ごと取り去りに。




+    +    +




ここに、一輪のたんぽぽが生きている。







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