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第二話【幻覚の正体 ~食べないれくらさい!~】

全然、更新できてなくてすみません。

こっちの話も完結までちゃんと考えてあるので、どうか気長にお待ちして頂けると幸いです。


 森の中で目覚めて四日目。


 この何も情報が無い状況下でまず行ったのは、散らばっていた装備の回収だった。


 仲間を埋葬した地点の近くの崖には小さな洞穴があり、この状況が打開するまでの拠点にすることにした。


「よし、これで最後だな······」


 最後の荷物を洞窟に運び入れ、丁度良い大きさの岩に腰を下ろして中身の分別を始める。


 回収した物品は以下の通りだ。



・狙撃銃        :一丁

・銃弾         :百二十五発

・八十九式自動小銃   :二十丁

・三十発入り弾倉    :九十八個

・拳銃         :二十一丁

・拳銃の銃弾      :七百発弱

・八十八式鉄帽     :二十一個

・水筒         :二十一個

・戦闘シャベル     :二十一本

・ナイフ        :二十一本

・背嚢         :二十一個

・救急セット      :二十一セット

・Ⅱ型レーション三日分 :二十セット

・戦闘服        :四十二セット

・ソーラー充電器    :十八個

・GPS機器      :二十一機

・スマートフォン    :二十一機

・クレイモア      :十一個

・グレネード      :三十五個

・双眼鏡        :二十一個

・無線         :二十一個

・懐中電灯       :二十一個

・その他の付属品、消耗品などが複数。


「取り合えず、食料はしばらく持ちそうだな······」


 なぜ食料の心配をしているのかと言うと、仲間の骨を埋葬した際に登った岩山から東の方角を見下ろした時、地平線の彼方にまで続く緑の絨毯が広がっていたからだ。

 

 そのため、これから数日間は狼煙のろしを上げ続けることにした。


 今現在も洞穴の外では乾燥した木と、生木を燃やして煙を上げている最中だ。この火と煙を絶やさないようにするのが今現在の最優先事項となる。


 もし、テログループの連中が狼煙に気が付き、戻って来ようとも構わない。


 何も分からない状況下に居るため、殲滅して乗り物か地図でも奪えれば御の字であり、むしろ好都合なのだ。


 もちろん、何も対策をせず狼煙を上げているわけでは無い。森の中にあった蔦草つたくさを使い、一定の距離にまで接近すれば音が出るよう、周囲には既に細工は施してある。


「いつでも来い······俺はまだ生きてるぞ······」


 小銃を強く握って抱く感情は、仲間の到着よりも報復の方が大きかった。


 こうして、狼煙を上げ続ける穴蔵生活が始まったのだった。



 森の中で目覚めて五日目。

 天気は晴れ。気温は多少汗ばむ程度。

 口にしたのは糧食を二食分。

 一キロ程歩いた場所にて川を発見した。これで水の調達に困らないだろう。

 スーパームーンなのか、月が異常なまでに大きい。日本と距離が離れていることが関係するのだろうか?

 敵、味方、共に現れず。狼煙の維持を継続する。

 



 森の中で目覚めて七日目。

 天気は晴れ。気温は昨日と変化なく風があって過ごしやすい。 

 口にしたのは糧食を一食分と、蛇の丸焼きを一匹分。

 川に向かう途中で猪を見た。糧食が乏しくなる可能性もあるため、狩猟にシフトしていく必要があるかもしれない。

 今日も敵、味方、共に現れず。狼煙の維持を継続する。


 


 森の中で目覚めて十日目。

 天気は曇り。気温は変化なく、日光が無いため過ごしやすい。

 口にしたのはウサギを一匹と、名前が分からない鳥を一匹。

 敵、味方、共に現れず。狼煙の維持を継続する。

 森の中で目覚めて十六日目。

 天気は雨、三日続く雨のせいで少しだけ肌寒い。

 口にしたのは糧食を一食分と、これまで手を付けていなかったチョコレートを割って一欠片を食べた。

 最近、ストレスからか幻覚を見ている気がする。たまに視界の端を小さな影が走る。ネズミかと最初は思ったが、どうも違うようだ。

 風呂にでも入れれば気持ちも変わってくるだろうか?

 今日も敵、味方、共に現れず。天気が回復しだい狼煙を再開する。




 森の中で目覚めて十八日目。

 天気は曇り、肌寒さは残るが過ごしやすい。

 口にしたのは糧食を一食と、残していたままになっていたチョコレートの残り。

 洞窟生活を始めて二週間が経過した。最近は、幻覚に加え幻聴が聞こえ始めている。

 一人のはずなのに、どこからかヒソヒソと声が聞こえるのだ。

 今日食べたチョコレートも変だった。以前食べた時に残していた量よりも、明らかに減っている気がしたのだ。

 緊張状態からのストレスのせいで記憶障害も始まっているのだろうか、情緒不安定にならぬよう気を付けなければ。

 狼煙を再開するも、敵、味方、共に現れず。




 森の中で目覚めて二十日目。

 天気は曇りのち晴れ。肌寒さはないが、午後からは少しだけ蒸し暑い。 

 口にしたのは糧食を一食と、川に行く途中で見つけた蛇を一匹。

 幻覚と幻聴と片付けているが、これが本当なのか確認することにする。

 飯盒の両サイドを石で挿み、木の棒で斜めに立てかけて固定し、ほつれた糸でチョコレートの欠片と棒を結びつけ、簡単な罠を作った。

 掛かるのがネズミなら良いのだが。······いや、良くないが。

 今日も敵、味方、共に現れず。狼煙の維持を継続する。



 そして夜が訪れた。焚き火に木を足して仮眠を取ろうとしたその時、ガシャンと音を立てて罠が作動し、聞いたことも無い鳴き声が洞窟内に反響した。


「ピギィー! ピギィィィー!」


 その声に素早く懐中電灯を点灯させ、余っている服で手を巻き、グローブ代わりにして飯盒の中で暴れている生き物を素早く掴み取った。


「うっし、取った!」


 確かな感触と共に、飯盒の中で暴れていた生き物は掴み取った途端に、抵抗すること無く動かなくなった。


「何だこれ、布?」


 服で覆った掌から覗かせるのは、明らかに迷彩柄とは違う緑色をした布だった。


「······?」


 一体、拳の中に何が居るのか恐ろしくなったが、捕まえたからには見ないという訳にはいかない。


 意を決して、ゆっくりと拳を開いていく。その掌の中身に俺は目を疑った。


「なっ······嘘だろ?」


 掌の中身を見た今でも、これが幻覚なのではないかと疑わずにいられない。


 何故なら、掌の上でガタガタと震えてこちらを凝視するのは、小人だったからだ。


 手を開いた今でも、三角帽子を頭に被った小人が逃げ出さないのは、きっと腰が抜けているからだろう。


 そんなことを観察していると、掌の上から声が発せられた。


「た、食べないれくらさい! ぼ、ぼくらは食べても美味しくないのれす!」


「うわっ、喋った!」


「ピギィ!」


 俺が驚いて、声を上げてしまったことで、小人は恐怖を感じたのか短い悲鳴を上げる。


「た、食べねーよ。お前を食っても一口で終わっちまう」


「ひ、一口れすか! 丸飲みは嫌なのれすぅ!」


 俺の一言に小人は過剰反応し、防衛行動なのか小人は膝を畳んで持ち上げ、腕で顔を覆って丸まりながら訴えてきた。


「だから食わねーって!」


「ピギィ!」


 小人の言葉を否定するとき、意図せずに声を荒げてしまったため、またしても小人に悲鳴を上げられてしまい、溜息を吐き出してしまう。


 掌の上で丸丸くなり、何を話しかけても怯えて悲鳴しか上げない小人が落ち着くまでに、一時間を要したのだった。


 こうして、俺は小人と出会った。いや、出会ってしまったのである。



小人を出せてよかったです|д゜)


次回もまた来てくださると嬉しいです(*´ω`*)

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