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探索

「被害者は坂下宏造。年齢は五十歳で、二十年前に園野坂学園初等部の教員になったあと、一度大学に入り直して高校の教員免許を取得。いくつか学校を転々としたあと、五年くらい前から高等部の校長をやってた。死因は、刃物で全身を刺されたことによる失血死」

「凶器は見つかってるのか」

「ううん。遺体発見現場の園野坂学園初等部の敷地内および、中、高等部の敷地内には無し。敷地外周辺は捜査中だけど、学園の外周は結構広い雑木林だから、時間はかかるかなあ」

「ふーん……。死体が移動した件についてはどうなってる。新聞でもやたらと騒がれてるが」

 そう言って、南雲は事務机の上に置いてあった新聞を何誌か手にとって見比べた。


 『名門校校長殺害 遺体が移動?』

 『白昼の犯行 瞬間移動した成人男性遺体』

 『怪奇 遺体が一キロ以上移動か』


「分かるわけないじゃ~ん。目下捜査中だけど、糸口はぜんぜんだよ」

 新聞を事務机に放り投げて、南雲が椅子の背もたれにに深く寄りかかった。その近くの応接用の椅子に座り、紙の束を見ながら話していた西宮はコーヒーを一口すすった。

「うん!? なんかコーヒー美味しくなったね!」

「ああ、そいつが淹れたんだわ」

「夏樹ちゃんが!? 南雲より美味しく淹れられる人なんていたんだ~! すごいね!」

「えっ、あ、ありがとう、ございます……?」

 西宮の斜向かいに座っていた夏樹は、視線を向けられたものの咄嗟に返事が出来ず、ちょっと首を傾げる。すると、西宮もつられたのか首をひねった。大きな目が夏樹を不思議そうに見ている。

「どうかした?」

「えっと、あの……西宮さんって、刑事さんだったんですか?」

 そう言うと、西宮はぱちぱちと目を瞬かせた。

「へ? うん。……あれ? 僕この前言わなかったっけ!?」

「言わなかったな」

「分かってたなら言ってよ南雲!」

「身分を明かさないで女子高校生とお近付きになろうとしてるのかなって」

「え……」

「待って夏樹ちゃん本気にしないで!」

「ちなみにこいつ俺より三つ上だから」

「えっ、南雲さんより年上なんですか!? 同い年か、外見的に年下かと……敬語じゃないですし」

「敬ってないから。童顔だし」

「ほんっとひとっつも敬ってないよね南雲は! 顔は関係ないでしょ!」

 ぷくーっと西宮が頬を膨らませた。そういう仕草が幼さを助長している気もするのだが、チラリと南雲を見ると「なにも言うな」と目線で返されたため黙っておいた。

 そんな二人のやりとりに気が付かない西宮は、南雲からふいっと顔を背けると、

「いいもーん、そういうこと言うんだったらこれ以上情報あげないもんねー!」

 と高らかに叫んだ。

 しかし。

「……ほーう?」

 聞こえてきた低い声に、西宮だけでなく夏樹も肩を跳ねさせる。南雲は椅子から立ち上がると、先ほどの声とは対照的な、極めて穏やかな笑みを顔に浮かべて西宮に詰め寄った。西宮は目に見えてガタガタと震え出し、それを見た夏樹も息を詰める。

「TRPG含め、俺がどれだけお前の面倒を見てあげたと思っているのかな? 市民? UVぞ? 我UVぞ? 直々のZAPをご所望か?」

「ぐえっ! 締まる締まる首! ご慈悲クローンは……!?」

「ある訳なかろうて」

「うわあああああん!」

「南雲さん、この間も言ってましたけど、市民とかザップってなんです? くつ……くとぅるふですか?」

「いいや、これはパラノイアっていう別のゲーム。そのうち教えるから無理に覚えなくて良いぞ」

「はーい」

「ねえねえ夏樹ちゃんさっき南雲が言ったことは本当に嘘だから急に冷たくならないで! 助けて!」

 死んじゃう! と叫ぶ西宮はまだ元気そうに見えたが、コーヒーを褒めてくれたし、と適当な理由を思い浮かべて、夏樹は南雲を宥めた。あくまで形式的なものだったのか、南雲は素直に西宮の首から手を離す。膝をついて咳込む西宮を仁王立ちに腕組みで見下ろしながら、南雲が言った。

「で? まだ情報あるならさっさと出せ」

「ウギィ……。分かりましたよ、出しますよ……」

 よろよろと立ち上がった西宮は、しかし、頭を左右に振ったかと思うと急に真面目な表情で南雲と夏樹を見た。

「園野坂学園理事長、園野坂大二郎。および園野坂学園の初、中、高等部の教員五名が、坂下宏造が死亡した翌日から相次いで行方不明になってる」

「!」

「え……。それ、大変じゃないですか!」

「ホントだよ~、も~……」

 西宮が頭を掻いて、深くため息を吐く。夏樹がちらりと南雲を見ると、彼はあごに手を当ててなにやら考えている様子だった。やがて、口を開く。

「その行方不明者の捜索状況は?」

「学園の周辺と、行方不明者の自宅付近の防犯カメラから順に当たってるけど、始まったばかりだから、まだ何とも」

「資料とかは?」

「偉い人たちが目ぇ光らせてて持って来れなかったよ~。もし手に入って、時間があったら持ってくる」

「ふーん……。分かった、わざわざ悪かったな」

「いーえ。事件関係者への聞き込みと、状況説明をしただけってことで!」

 しばらくして、コーヒーを飲み干した西宮はごちそうさまと言って席を立った。

「あっ。西宮さん、あの」

「うん? なあに?」

「事件のあと、西宮さんは高等部の校舎内、見て回ったりしました?」

「え? ああ、うん。なんだかんだで同僚に見つかって、捜査に駆り出されちゃったし。ざっとだけど、一通りね。それが、どうかした?」

 首を傾げる西宮に、夏樹は気になっていたことを尋ねる。

「女の子、見ませんでしたか? 小学校低学年くらいで、薄い茶色のブレザーに、グレーのチェックのスカートを履いた子なんです。迷子で、一緒に親御さんを捜してたんですけど、事件のあとにどこかに行ってしまって」

 そう言うと、西宮は意外にもすぐに、ああ、と頷いた。

「もしかして、黒い髪を三つ編みにしてる子かな? 首の後ろで、一本に」

「……! たぶんその子です!」

「その子なら、総合案内所の近くでお父さんと一緒にいるところを見たよ。だから大丈夫」

「よ、よかった~」

 胸に手を当てて安堵の息を吐くと、西宮も笑った。

 じゃあまた、と帰って行く西宮を事務所の入り口で見送っていると、南雲から声が掛かる。

「さて、俺も出るから、お前も帰れよ」

「んあ。お仕事ですか?」

「仕事って言うか、調べ物? まあ仕事か。探索の基本は情報収集だからな」

「この事件に関する調べ物ですか? 私も行きます! お手伝いさせてください!」

 両手をあげて夏樹が言うと、南雲は顔をしかめて首を横に振った。

「ダメダメ。仕事には連れて行かないって言ったろ。ほら、お菓子やるから」

「もうその手には乗りません! 同行を許可してくれるまでここを……」

 どきません、と言い掛けて、夏樹はハッと閃いた。こんなことよりも、南雲をきちんと納得させられる手段があるではないか。多少は賭けだが、おそらく何とかなるだろうという、根拠のない自信があった。

「じゃなくって、『説得』でサイコロを振ります! 今回はファンブルのあとじゃないから、五十以下じゃなくてもいいですよね!」

「……いらん知恵を付けたなあ……。ま、そう言われちゃ断れない。七五以下で振れよ」

「やった!」

 南雲がポケットから出した赤と青の十面ダイスを受け取り、ローテーブルの上で振る。

「えいやっ」

 コロコロと転がる二つのサイコロ。やがてそれらは、十の位の赤は七。一の位の青は五を指して止まった。

「危ない!」

「妖怪一足りた、だな」

「妖怪?」

「一足りなくさせる妖怪もいる」

「ますます危ない! でもでも、今回は一足りたんですから、ついて行って良いですよね!」

「分かった分かった。本当は連れて行きたくはないけど、ダイスの女神はお前を気に入ってるみたいだしな」

「……サイコロにはいろんな人が関わってるんですねえ」

「人じゃないけどな」

 笑って肩を竦めた南雲が、サイコロを回収し、いつもの黒いショルダーバッグを持って事務所の出入り口に向かう。夏樹も自分の鞄を持って、そのあとを追った。

「そう言えば、お仕事って言ってましたけど、いつの間に依頼があったんですか? さっき雨宮さんは何も言ってなかったですよね?」

「あったんだよ、お前が居ないところで」

「ふーん。そういうものですか」

「なんだこいつ」

 二人は南雲の車に乗り込んだ。夏樹が目的地を聞くと、南雲は隣町の大きい図書館だと言う。道中、夏樹は手帳のTRPG用語帳に、『妖怪一足りた』『妖怪一足りない』『ダイスの女神』の項目を追加した。



「お前本当についてくんの?」

 翌日、夏樹は南雲の運転する車に乗って閑静な住宅街を走っていた。本日何度目かの質問をされ、夏樹が隣の運転席を見ると運転手の南雲は前を見たまま呆れたような顔をしていた。

「当然です。記事を見つけたのは私ですからね! もしかして、えーと……『図書館』が成功して、しかもクリティカルだったのかも! 結構小さい記事でしたし!」

「……せやな」

 頷きながら、南雲は道をゆっくりと右折した。すると前方に、大きな建物の建っている小高い丘が見えてくる。

「しかし、『連続女子児童失踪事件』ねえ……。YESロリコンNOタッチって、みんな言ってるだろうが」

 

 昨日、二人は図書館に行くと、過去の新聞が置いてあるコーナーへと向かった。南雲が夏樹に出した指示は、「二十年前の四月以降に園野坂学園周辺で起きた事件の記事を探す」こと。

 二人で黙々と主要な会社の新聞を漁っていると、夏樹が最初にそれを見つけた。二十年前の十月の、とある日の社会面に載っていた小さめの記事。園野坂学園初等部の女子児童が数日前から姿を消している、という内容だった。そして、その記事を皮切りに、ほぼ一週間ごとにこの地域で女子小学生の失踪事件が起こっていることが判明した。


「みんなって……誰なんですか、それ」

「良識あるネット民」

「二十年前と今のネットの状況はだいぶ違うと思いますけど……」

 と夏樹は言ったが、南雲から返ってきたのは、ふーん、という気のない返事だった。ムッとして唇をとがらせていると、車は近くのコインパーキングに止まる。各々の荷物を持って車を降り、二人は丘の――園野坂学園高等部の方に歩き出した。

「そもそもロリコンって、『誘拐』って断定は出来ないんじゃないですか? 確かに、被害者はこの辺に集中してましたし、『警察は事件や事故に巻き込まれた可能性もあるとして調べている』っていう文章で締めくくられてはいましたけど、五人目の失踪を知らせる記事以降、事件の経過を知らせるものは出てませんでしたし……」

「それが不自然だから、知れそうなやつに話聞くんだろうが。あ、いたいた」

「南雲~」

 丘を少し登ったところに立っていたのは西宮だった。昨日と同じくスーツ姿で、こちらに向かって手を振っている。南雲がいつもの肩掛け鞄を背負い直し、手を振り返す。

「あ、夏樹ちゃんも来たんだ。お手伝い?」

「はい! 密着取材兼助手業務です!」

「勝手について来たの。それにしても早いな、西宮のくせに」

「遅れたら南雲が文句言うから……ってなにその言い方!」

 もー! と西宮は拳を振り上げたが、南雲にいとも簡単に手首を掴まれ、捻りあげられた。ごく最近見た光景だと思いながら、夏樹は腕を押さえてうずくまった西宮をのぞき込む。

「だ、大丈夫ですか?」

「なんとか……。も~、南雲はホントに手が早いんだから~」

「そっちが先に手ぇ上げたんだろうが」

 早いのはどっちだよ、と、南雲は歩きながら、立ち上がった西宮に手を差し出した。

「そいで。頼んでた情報は?」

 南雲がそう言った瞬間、目に見えて西宮の表情が固まる。加えてよよよと目を逸らし、南雲も夏樹も怪訝な顔で首を傾げた。

「西宮さん?」

「ま、待って! 今回は僕悪くないから! 話聞いて!」

「怯えすぎだろ。どうした」

 そう言うと、西宮は一度大きく深呼吸をして、話を始めた。

「二十年前の連続女児失踪事件だけど、実は、捜査資料が、ほとんど無くて……」

「は……?」

「関連事項として、今回の事件の捜査の対象にも上がったんだ。でも、分かったのは、事件の概要と失踪した女の子たちのプロフィール。全員捜索願が出されていること。ある程度までの捜査状況。それと……どうも未解決のまま、時効になってるらしいってこと」

「未解決!? じゃあ、五人の女の子たちは、見つからなかったんですか? 一人も?」

 夏樹が勢い込んで詰め寄ると、西宮は両手を前にして夏樹を宥めた。そして、眉間にしわを寄せて首を横に振る。

「その辺りも、資料が無くて分からない。本当に、不自然に情報が少なくて、失踪事件の資料が入ってるファイルも、資料室の隅の隅に、押し込められてるみたいだった」

「……もみ消し?」

「分からない。事件当時は俺だって八歳でこんなことが起こってたことも知らなかったし、同期も、年の近い先輩もそんな感じ。ベテランの先輩たちも、その事件に関わった人ってもうあんまり居ないみたいで。どうしようもないから、とりあえず現在の捜査を突き詰めるっていう方針になった」

「まあ、そうもなるか。ちなみに、今起きてる事件の方で、何か進展は?」

「校長殺害も、理事長と教員の失踪も、まだあんまり。殺害の方は、やっぱり死体の移動っていうのがネックで……。あ、でも、二つの事件を調べてて、気になることは出てきたよ」

 そう言うと、西宮はもう間近に迫ってきた園野坂学園高等部の校舎を見上げた。

「あのね。学園の敷地内には十台以上の防犯カメラが設置されていて、二十四時間体制で録画をしてるんだけど、殺害事件前日の夜から、いくつかのカメラが動作してなかったんだ」

「ほう?」

「動作って言うか、録画機能だけが停止してた。だから、特定の時間帯、特定の場所の情報が、いっさい抜け落ちてる」

「……犯人が、録画機能を停止させたってことですか」

「うん。まあその線で捜査してるんだけど、防犯カメラの制御室に入る権限がある人は、みんな機能が停止した時間のアリバイがあったり……そもそも死んでたりする」

「ああ……」

 話をしているうちに、三人は高等部の正門前にたどり着いた。数日前と同じように、アーチにはモッコウバラが咲いていたが、当然もう学園祭の看板はなくなっている。

 門をくぐると、校舎の昇降口へは行かず、特別教室棟の方へ直接向かった。校舎と渡り廊下で繋がっていた入り口とはまた別に、教職員用の昇降口があり、三人はそこに足を踏み入れる。入ってすぐ正面の壁に小窓があり、西宮はそこに向かうと窓をコンコンとノックした。

 音に気付いて、

「はい」

 と顔を出したのは、青色のつなぎを着た男性だった。どうやら用務員らしい。後ろで一つに束ねている黒い髪にはぽつぽつと白髪が見える。四十代半ばくらいだろうかと、夏樹は推測した。

「警察です。先ほどお電話したとおり、事件についてまた少し調べさせていただきますので、お願いします」

「はあ、それは構いませんが。すみません、そちらの方々は……」

 用務員の男性が南雲と夏樹を見る。

「お二人は、事件を目撃していた方々です。当時の様子を詳しくお聞きするために、お呼びしました」

 西宮に示され、南雲が会釈をしたので夏樹もパッと頭を下げた。ふむ、と男性は頷く。

「そうですか。では、どうぞ。本日は十七時閉門となりますので、それまでに、退校をお願いいたします。お帰りの際は、また声を掛けていただきますようお願いします」

「ありがとうございます」

 西宮が頭を下げると、男性も軽く会釈をして窓を閉めた。三人は靴をスリッパに履き替えて、校舎内を歩き出す。事務室が見えなくなったところで、夏樹は西宮を見上げた。

「……西宮さん、意外と度胸ありますね」

「え~そう~? 照れちゃうなあ~。褒めてもなにも出ないよ?」

「あんなに堂々と嘘をついて」

「んにゃっ……。別に、嘘は吐いてないよ! 二人が目撃者なのは本当だし、二人の目線で覚えてることがあったら教えてほしいのも本当!」

「でも探索者の中に警察関係者が居るとやっぱ便利だよなー。ろくな技能無くても、結構どこにでも入れるじゃん?」

「僕、剣道出来るから戦闘だっていけるし、それなりに『目星』だって出来るよ!?」

「え? PCの話だけど? なにムキになってんの」

「ウガー!」

 二人ともひどい! と西宮は叫んだが、辺りをキョロキョロと見回しながら歩いていた南雲は完全に無視をして口を開いた。

「ずいぶん静かだな」

「話! 聞けよ! ……今は午前中で、生徒も教員も退校ってことになってるから。またなんかあったらコトだし、人目のある明るいうちにね」

「ふーん、なるほど」

 会議室や職員室の前を通り過ぎ、校長室の前へやってきた。西宮が扉を開け、三人で中に入る。

「鍵かかってないんだな」

「事前に知らせれば、さっきの事務の人が開けといてくれるんだ」

 校長室は、事件があったときとは違い、綺麗に片付いていた。割れていた花瓶やトロフィー、額類は撤去され、床に散乱していた本や引き出しはあるべき場所に収められている。ズタズタだったカーテンも新しいものに付け替えられ、今は薄いレースのものだけが閉まっていて、外の光をやわらかく室内に落としていた。ただ、執務机の後ろにある革張りの椅子だけが切り裂かれてボロボロのままそこにあり、なんだか少し不気味だ。

 入り口に立って室内を見回しながら、南雲が言う。

「警察はなんか持ってったりしたのか?」

「校長の荷物とか、指紋が発見されたものとか。指紋はほとんど坂下校長か、数名の教職員のものばっかりで、拭き取られた形跡とかもみあたらなかったけど」

「まあ、今回のはまず間違いなく計画的な犯行だ。手袋くらいは用意してたろうな。んじゃ、探索始めますか」



「まずは『目星』ですか?」

「どうしよっかなー。本棚があるから『図書館』でもいいけど」

「夏樹ちゃん、ちょっとずつ順応してるよね」

 西宮が苦笑すると、南雲は何も言わずに肩を竦め、対照的に、夏樹は自慢げに胸を張った。南雲はどうやら本棚を調べることに決めたらしく、部屋の右奥へ向かう。閉まっていたガラス張りの扉を開けながら、南雲は言う。

「学園祭の時にセッション見学出来なかったのがショックで、最近は単語帳読み漁ってたもんなー。ルルブは挫折してたけど」

「あんな分厚い本無理です! それになんか、変な感じするし……」

 南雲の言う『ルルブ』はTRPGの決まり事や設定が書いてる本、『ルールブック』の略。文化祭の翌日に見せてほしいとせがんだら、まるで鈍器かと思うような大きさと重さ、厚さの本を差し出された。おそるおそる開いてみると、みっちりと詰まる細かい字。カタカナで書かれたなんだかよく分からない何かの名前たち。おどろおどろしい怪物の絵や、不安をかき立てられるようなその他の挿し絵。怪談話も心霊番組も好きだが、なんだかものの数十分で見ていられなくなって、そっと本を閉じて南雲に返した。

「南雲さん風に言うなら、『正気度』が削られました!」

「『SAN値』ね。まあそれは遠目に見てても分かったけど」

「止めたげなよ……」

 西宮ががっくり肩を下げると、南雲はケラケラと笑って何度か本棚の本を抜き差しすると扉を閉じる。

「日記も魔道書も隠し棚も無いし、ここは終わり。次は、そっちの棚かな」

 そう言って、南雲は部屋の右側の壁沿いにある、扉の付いた背の低い横長の棚へ向かった。棚の上には、トロフィーの類がぽつぽつと不自然な間隔で置かれている。部屋が荒らされたときに、壊れなかったものたちだろう。横にスライドさせて扉を開けると、中には白っぽく細長い箱がびっしり詰まっていた。ちょうど先日読んだルールブックと同じような厚みで夏樹はビクリとしたが、箱には印字があった。どうやら全て卒業アルバムらしい。

「たくさんありますね」

「だなー。んー……」

 南雲は一番新しいものを抜き出した。箱の中にはアルバムに加えて卒業文集も共に収められている。箱からアルバムの方を取り出し、パラパラとページをめくる。夏樹が横からのぞき込むと、児童ひとりひとりの顔写真が載っているページだった。どうやらこの年の六年生は三クラスだったらしい。さらにめくっていくと、遠足や運動会といった行事の写真が、一年生の頃から順にたくさん載っている。

 棚の奥の方を調べるつもりなのか南雲は卒業アルバムを一冊ずつ取り出すと、ついでといった様子で手早く中を見ていた。

 夏樹も適当な一冊をめくりながら、自分の小学生時代に思いを馳せる。高校生にもなると、同じ小学校だった人たちとはもうずいぶんと疎遠になった。みんな元気かなあ、などとぼんやり考えていると、

「あれ?」

「どうかしましたか?」

「いや、この年、一年生のときの行事写真がまるまる抜けて……。あ」

「え?」

 夏樹がのぞき込もうとした瞬間、ぱたんと卒業アルバムは閉じられてしまった。

「あっ、何で閉じちゃうんですか!」

「いや、いーのいーの、俺の勘違いだったわ。ちゃんと一年の頃の写真もあった」

「ぬえ~? 本当ですか? ……変な南雲さん」

 いまいち釈然としなかったが、南雲は傍らに卒業アルバムを置くと、さっさと次の数冊を棚から抜き出してその上に重ねていく。こんなときに使える『心理学』という嘘を見抜く技能があったはずだ、ということを思い出したが、作業をしている南雲の顔を見ても、考えていることは分からない。

 棚にある程度空きスペースが出来たところで、南雲が自分の鞄からスマホを取り出しライトをつけた。ライトの灯りで照らしながら中をのぞき込む。

「んー。うん」

 しばらくして、南雲はひとりそう頷くと、鞄を引き寄せて中からなにやら平たいプラスチックのケースを取り出した。

「それは?」

「工具入れ。この棚、やっぱり奥行きが狭い」

 留め具を外してケースの蓋を開けると、ドライバーや大きなハサミ、ペンチやハンマーなどが入っている。南雲はその中からハンマーを取り出すと、釘抜きになっている部分を棚の奥の板と上の板の間に、ガツっと差し込んだ。

「偽物の板を外すだけなら良いけど、天板とかまで壊したら僕庇えないよ~」

「分かってるよ。俺がそんなヘマすると思ってんのか」

「ちなみに、こういう作業は何の技能を使うんですか?」

「簡単な大工仕事なら『機械修理』。別に『製作』にかっこで破壊工作とかでも俺は許すけど」

「作ってないじゃんそれぇ……」

 そんな会話をしていると、棚の奥からバキバキッ! と音が聞こえた。夏樹と西宮がのぞき込むと、奥の板が半分のところで割れ、さらにその奥に何かあるのが見える。夏樹が置いてあった南雲のスマホで奥を照らすと、南雲が手を突っ込んで取り出す。

「ビンゴ。っと……でも鍵だ」

 南雲の手の中にあったのは、黒い革のカバーがかけられた本だった。ハードカバーの小説程度の大きさで、銀色の錠前が付いている。古いもののようで、カバーの革はくたくた。少し見える中の紙は黄色っぽく変色し、錠前もところどころ錆び付いている。

「『鍵開け』だな」

「あれ? 南雲、鍵開け苦手って言ってなかった?」

「鍵開けかっこ破壊だ」

「すぐ壊す~!」

 ねぇー! と抗議じみた西宮の声が響くなか、南雲は工具入れからマイナスドライバーを取り出した。西宮に錠と手帳を押さえさせると、アーチ状になっている部分にドライバーを当て、ミノを打ち込む要領でドライバーの後ろをハンマーで叩く。すると、錆び付いていたせいか意外と簡単に砕けた。

「さて、大抵こういう隠された手帳か日記を読むとSAN値チェックが入るんだけど、お前ら読みたい?」

「いい笑顔で言うんじゃないよ……。僕は読む」

「私も読みます!」

「んじゃ、開けるぞー」


 理事長が話していたのはあの子だろうか。

 私と同じ、今年この学園に来た一年生。

 こんなことはしたくない。けれど、理事長には逆らえない。

 妻子のために職を失う訳にはいかない。


 今日は矢岳先生と一緒だった。彼はひどく青い顔をしていた。きっと私も同じなのだろう。

 彼はどうも理事長に弱みを握られているらしい。今のところそういった話はないが、私もそうなのかもしれない。


 帰り際、浜松先生と沢登先生が理事長の車に乗ったのが見えた。もしかしたら次一緒になるかもしれない。


 違う。殺すつもりはなかった。


 理事長から、高校の教員免許を取るように言われた。教科を自由に選べることが、不幸中の幸いだろうか。


 (長くページが開いている)


 最近よく夢を見る。あの女の子たちが、私を見ている。真ん中に最初の女の子。

 違う。違う。私じゃない。

 止めろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ……



 一ページめくっても、また一ページめくっても、それ以降書いてあることは「やめろ」しかなかった。日記帳を閉じた南雲は、ポケットから赤と青のサイコロを取り出す。

「SAN値チェックどうぞ」

「もう削れてるよぉ」

「こ、これって、いったいどういうことなんでしょう……?」

 顔を青くした夏樹が言うと、南雲が積んであった箱から、卒業文集の方を取り出して広げた。そのページに載っていたのは、教員から卒業生に対するはなむけの言葉だった。南雲が指し示したのは、学園長――坂下宏造が書いた文章。隣に、手帳を開いて置く。

「筆跡から判断して、これを書いたのは坂下宏造でほぼ間違いないだろう。高校の教員免許を取るっていう記述もあるし。まあ、この辺の断定は警察でやってくれ。書かれてることから読みとれるのは、坂下は二十年前の連続女子児童失踪事件に関与していて、その首謀者は、この学園の理事長だってこと。そして女子児童は殺されたこと。おそらく、失踪者は全員」

「ど、どうして、この手帳が二十年前のものだと分かるんです?」

 日記帳として作られたものではないのか、カバーにも何年なのかは書かれていないし、中身は年はおろか日付も書かれていない。

「この間、西宮が事務所に来たとき言ったろ? 坂下は二十年前にまず初等部の教員になった。ここに、『私と同じ、今年この学園に来た一年生』とあるから、これが書かれたのは二十年前の、さらに言えば最初の失踪事件が起こった十月だ」

 そう言った南雲は、首をひねって西宮を見た。

「西宮お前、ここに出てくる教員の名字、見覚えあるだろ」

 夏樹も振り向くと、西宮がハッと息を飲む。そして、顔をこわばらせてゆっくり頷いた。

「矢岳光弘、浜松健一郎、沢登卓。全員、理事長と一緒に失踪した、教員の名字と同じだよ」

「やっぱりな。となると、今回の事件は」

「……復讐、ですか」

「そうだな。……!」

「南雲さん!?」

 突然、南雲が跳ぶように立ち上がると、部屋の奥の窓に駆け寄った。レースのカーテンを乱暴に開け、窓に手をついて外を凝視している。

「南雲?」

「今、誰か居たな。黒っぽい格好してたのは分かったが、顔は見えなかった」

 南雲は再びカーテンを閉め、何か考えているのか黙ったまま室内をうろうろと歩き回り始めた。夏樹と西宮は黙ってその様子を見守っていたが、出入り口の扉付近に来たとき、不意に南雲がその場にしゃがみ込む。二人は慌てて立ち上がり南雲に駆け寄ったが、南雲は床に膝をついてあるところをじっと見ていた。

「この絨毯、固定されてるのか」

 南雲の目線の先には、絨毯の起毛に埋もれていたが、確かにネジがあった。西宮が頷く。

「僕らもちょっと驚いたんだけど、副校長先生に聞いたら、踏んでも絨毯がヨレないように固定してるらしいよ。って言っても、元々結構緩んでたのか、事件で部屋が荒らされた拍子に、何本か外れちゃってたけど。今ついてるのは、用務員さんが直したのかな」

「外してみたか?」

「う、ううん。外したって話は聞かないな。当時落ちてたものや絨毯に、犯人につながるような痕跡は無かったし、理由があって固定してるなら、現場保存のためもあって、そのまんま」

「外すぞ」

 南雲が先ほど居た場所から工具入れを持ってきた。一番小さいプラスドライバーを取り出し、ネジを一つ一つ外していく。半分程度までその作業が済むと、絨毯をめくる。

 すると、

「あ! これって……」

「扉、だね」

 夏樹が、床板をそのまま切り取って作ったらしい正方形の扉を見つけた。手前に、長方形で銀色をした取っ手があり、南雲はなんの躊躇いもなくそれを掴んで開ける。扉は、案外軽く開いた。

「穴だ」



 三人が高等部の校舎を出ると、前方から見知った人物が歩いてくるのが見えた。

「あれ? 南雲さんに西宮さん。東雲さんも。どうしたんですか?」

「佐渡くん」

 三人の前で止まった佐渡は、お久しぶりです、と頭を下げる。

「……もしかして、事件の捜査ですか?」

「うん。二人は当時現場にいたからね。改めて話を聞いてたんだ」

「なるほど! それで、何か進展はありましたか? あっ、あんまり、聞いちゃいけないですかね」

 佐渡が言うと、西宮は困ったように笑って、そうだね、と頷いた。その隣で、首を傾げていた南雲が口を開く。

「そういえば、佐渡くんはなんで学校に? 忘れ物?」

「あ、ええ。そうなんです。生物のノート、机に入れっぱなしにしちゃったみたいで」

「そりゃ大変だね、わざわざもう一回制服に着替えまで」

「え?」

 南雲の言葉に、佐渡は目を丸くした。

「どうして、一回着替えたって分かったんですか?」

「別に、ただ、下校時間からだいぶ時間が経ってるし、それにほら、そこのボタン」

「ボタン? あ!」

 見てみると、下から二番目のボタンを掛け違えていて、学ランの上着が奇妙にゆがんでいた。佐渡は恥ずかしそうに笑って、ボタンを直す。南雲が楽しそうに笑った。

「学校にいれば誰かしら掛け違いを指摘してくれるだろ? だから、閉校時間になる前に、慌てて着替えて出てきたのかなってさ」

「あはは、流石です。こういうことがあるから、学ランってちょっと面倒なんですよね。東雲さんが着てるみたいなブレザーに憧れますよ。オシャレだし、色も結構種類あるじゃないですか。最近見るんですけど、茶色とかいいですよね」

「えー、でもこっちからすると学ランとセーラー服に憧れますよ。近所にある学校、中学も高校もみんなブレザーですし。今貴重ですよ!」

「私服の学校も増えてるしね」

 そのあと、四人は他愛ない話を続けたが、いよいよ閉校時間まで三十分ということに気が付いて、慌てて佐渡を送り出す。

「あっ、ごめん佐渡くん。最後にちょっといいかな」

「……? はい、何でしょう」

「この学校さ、何年か前は制服がブレザーだったみたいなんだけど、何か知ってる?」

「……さあ、入学前のことはちょっと分からないですね」

「そっか、分かった。ありがとう、気を付けて帰りなよ」

「はい。みなさん、さようなら」

 佐渡を見送り、三人は道なりに丘を下っていく。

「俺ちょっと調べ物してから帰るわ。西宮、こいつ送ってって。家は俺の事務所の近くだから」

 麓までたどり着いたとき、南雲が夏樹を指さして言った。

「えぇ!? なに言ってるんですか、お手伝いします。一緒に行きますよ!」

「いや、お前は来ちゃダメ」

「うぇ?」

 ふと真面目な顔になって言う南雲に、夏樹は言葉を詰まらせた。そのとき、ぽん、と夏樹の肩に手が置かれる。

「分かった。僕が責任を持って、送り届けるよ」

「おう、頼んだ。んじゃな」

 ヒラヒラと手を振って、薄暗く街頭の灯り始めた住宅街へと歩いていく南雲。

「また南雲さん一人で行っちゃった。さっきの階段だってそうだったのに……」

 その後ろ姿を見ながら、先ほど一人で暗い階段を降りていった南雲のことを思い出す。唇を尖らせる夏樹に、西宮は穏やかに笑って、またぽんぽんと肩を叩いた。

「まあまあ、大丈夫だよ。依頼を受けてる以上、多少無理はするけど、無茶なことはしないから。さ、帰ろう」



 翌日、学校終わりに夏樹は南雲の事務所を訪ねた。ガレージに南雲の車があり、少なくとも帰ってきていることにホッとする。事務所の鍵は開いていたが、中には誰もいなかった。

「まーた開けっ放しで行くー!」

 夏樹は唇を尖らせる。南雲は、近所のコンビニに行くときなどは、いつも鍵を掛けない。不用心だからきちんと閉めるべきだと再三注意しているのだが、改まる気配はいっこうに無かった。

 まあいい、ちょうど自分が来たのだし、どうせお菓子か何かを買いに行ってるだけだろうから、コーヒーでも淹れておいてあげよう。キッチンへ向かう前に、通学鞄を応接用のソファに置く。と、目に入った南雲の机に、つい昨日見た、しかし、ここにあるのは少々おかしいものがあることに気付いて、夏樹は目を丸くする。

「ふにゃ! これ、初等部の卒業アルバムと文集!? 南雲さん、持って帰って来ちゃったの!?」

 あの黒い肩掛け鞄に入れていたのだろうか、全く気が付かなかった。いったいいつの間に、など、ぶつぶつと呟きながら二つが入った箱を手に取る。印字を見ると、今から十四年前のもののようだ。

「十四年前……?」

 呟きながら、なんとなくアルバムの方を開いた。卒業する児童たちの顔写真がクラスごとにまとめられたページ。この年も三クラス分だった。さて、次からは一年生のときから順に、行事の写真が始まるはずだ。そう思ってページをめくった。

 しかし。

「あれ?」

 と、夏樹は首を傾げる。右のページの上の方に淡い赤色で印刷された文字は、『A組 二年生』。一度ページを戻ってみるが、そこにあるのはC組の児童たちの顔写真。今度はページを進めていって、『A組 六年生』の次を見る。

「やっぱり、こっちも二年生だ」

 右上の青色で書かれた文字は『B組 二年生』。じゃあ次も? と考えて手早くめくっていくと、橙色の『C組 二年生』が現れた。

「???」

 ますます訳が分からず、眉間にしわを寄せながらそのページを眺める。そのとき、ふと視界に入ってきた一枚の写真にハッとした。思わずアルバムを両手で掴み、まじまじと見つめる。

「何してる」

「!」

 背後から声が聞こえて、アルバムを持ったまま振り返った。そこにいたのは、膨らんだコンビニ袋を持った南雲。南雲は腰に手を当てると、どこか怒ったような顔で夏樹を見ている。

「な、南雲さん……。この写真……」

 アルバムを前に突き出して言う。声が少し震えた。南雲は、はあ、と一つため息を吐いて、こちらに向かってくる。

「初心者にSAN値チェックは一回でいいと思ったから、見せなかったんだけどねえ」

 そう言って、夏樹の手からそっとアルバムを取り上げた。机に軽く寄りかかり、こちらを見る。夏樹が喋るのを待っているようだった。

「……あれ、十四年以上前の写真ですよね。なんで、ここにスミレちゃんが写ってるんですか?」

 夏樹が見たのは、『C組 二年生』のページの隅にあった小さな写真。遠足なのか、リュックを背負った女の子二人が手をつないで歩き、互いに笑いあう姿が後ろから撮られていた。その二人うちの右側の女の子。長い髪を後ろで一つの三つ編みにし、紫色のリボンを付けている。薄茶色のブレザーも、灰色のタータンチェックのスカートも、あの、学園祭の日に見たスミレと、まったく同じだった。

「そうさのう……」

 南雲が、わざとらしく、もったいぶって腕を組む。軽く肩をパンチすると、いてっと言って苦笑した。

「俺の中ではそろそろこの事件も大詰めだ。事件と思考の整理ついでに、話しをしよう。菓子はあるから、コーヒー淹れてくれ」

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