FEATURING OF 辻村萌黄
突然遊部に加入した、唯一無二の少女がいた。
彼女はある人を追いかけて、ここに来たという。
その少女の名前はー
☆萌黄side☆
「あわわわわっ! 私としたことが! 一生の不覚です! 目覚ましをセットし忘れるなんて~!」
その日、私は走っていた。
あと五分で遅刻になってしまわないように。
萌ちゃんこと私辻村萌黄は、ただいま皆勤絶好調!
小・中ともに三年連続で取っているのです!
そんな私が遅刻なんて、あってはならない!
この萌ちゃんの俊足があれば、間に合うこと間違いない!
「うおおおおおおおお! 誰もこの私を止めることなどできまいっ! あっ! 校門がしまっちゃいます! 待ってぇぇぇぇぇぇ!」
全速力で校門まで駆け上る。
校門まで差しかかかったところで、あっと足がもつれてしまった。
ああ、もうだめだ。これで皆勤が終わりました。
THE END 私……ゲームオーバー……
「よっと。はい、ぎりぎりセーフっと」
あ、あれ……? 地面が近くない?
というか私……宙に浮いているような……
はっ! まさか! 私にもついに超能力が!!
「珍しいね、君が遅刻すれすれなんて」
そんなわけはさらさらなく……
私の体を受け止めてくれていたのは、一人の青年だった。
キレイなまでに透き通った黒い髪。
眼鏡の下に見えた、爽やかそうな顔……
「大丈夫だよ。会長にはオレから言っとくから♪ ほら、早くしないとせっかくの皆勤賞がもったいないよ?」
根拠はない。
ただ一目見た瞬間、私は思った。
この人こそ、私の運命の人だと!
爽やかでいつも笑顔ですごくミステリアスで……
まさしく私のタイプど真ん中!
「あのっ! 私辻村萌黄と言います! 一年で、陸上部です! 私と、お付き合いしてください!」
桜の花が散り、緑の葉を茂らす初夏の頃。
それが私と、颯馬先輩との出会いだった。
恋をすると人生がばら色になる。
数々の漫画で、言っていたのは本当でした。
その日から私は猛アタックを仕掛けた。
彼に振り向いてもらえるように。
名前を調べ、クラスを調べ、どんな人かを調べ……
そんな私を止めるように、友達が言っていました。
あの人はやめた方がいい、と。
最初はわからなかった、分かりたくなかった。
颯馬先輩を悪く言うなんて……と。
「だってあの先輩、話してもない事ぜ~んぶ知ってるんだよ?」
「秘密にしてることとか全部だって。萌ちゃん、絶対騙されてるよ~」
口をそろえて言う、彼の悪口。
そんなことないと言えない、自分が情けなかった。
友達が言っていたことは、間違いではなかったから。
「颯馬せんぱぁい!!! 一緒にご飯食べましょう!」
「しつこいな~今からオレ、生徒会なんだけど」
「またですか!? 今日はお弁当も作って来たのに!」
「ごめんね。オレも、暇じゃないんだ♪」
でも、私にはわかりません。
どうして先輩は苦しそうなのか、どうして無理に笑うのか。
私が初めて会った時とは、何か違うんです。
知っていることを話して怖がられ、平気なはずがないのに。
何かできることがないか……模索していたそのころ、
「あーちみ、颯馬と愛の追いかけっこをしてた子だね? そんなに好きなら、遊部に入りなよ~ちょうどおいら抜けるしさ」
文化祭であった、永遠先輩。
彼の言葉をきっかけに、部室に行ってみることにしました。
そこには何とも楽しそうな先輩がいて……
だから私、決めたんです! この笑顔を守ろうって!
私のこの思いは永久不滅!
折れずに真っすぐをモットーに生き抜いてきた私!
たとえ誰が何と言おうと、颯馬先輩にこの思いが届くまで私の戦いは続くのです!!!
(本編へ つづく‥‥)
あの人の正体は萌ちゃんでした!
萌ちゃんの過去‥‥というより、
颯馬とのなれそめ話ですね笑
偶然か必然か、前回から萌ちゃんでまくりでした
萌ちゃんから見ると、
颯馬さんがだいぶ王子様なんでしょうね笑
私も同じだよ! と叫びたいところです
次回、本編更新!
ちょっと(いやかなり)早めのバレンタインを、あなたに♪




