第五話 俺、猫に会う
カリは道を歩いていた。
その道は住宅街の真ん中を突っ切って通っており住宅の塀に囲まれたどこにでもある様な道だった。
「ふぅ、さっきは良い汗かいたなぁ」
カリは笑っていた。
こんなに汗をかいた事は久しぶり、そもそも夏休み中という事もあり外に出る事が久しぶりで、たまには風を感じるのもいいなぁと思っていた。
「にゃーにゃにゃー」
ふと、塀の上を見ると、少し肥えた猫が座っていた。
カリは猫を見上げると、腕を伸ばして猫を捕まえた。
「にゃっ‼」
何事かと思った猫は可愛らしい声を上げた。
「ほーら良し良し。猫ちゃん」
カリは猫を愛でながらそのモフモフ感を味わっていた。
「可愛いな、猫ちゃん。またこのモフモフ感がたまらないなぁ」
カリの心は癒されていた。
さっきは汗臭い男共の空間にいたが今は至高の空間にいた。
「にゃーにゃー」
撫で回される猫もどこか、気持ち良さそうだった。
カリは猫を高い高いした。
猫は重力に逆らう事なく胴体が少し伸びた様な感じになった。
「おー。可愛いな」
「にゃー?」
猫が人の操る言語を理解するはずも無く、ただ疑問を浮かべるしか無い様だった。
「これから、どうするか……ゲームを買いに行くとして、それから—―」
カリは猫を道に置き問いただした。
その為にカリもなるべく小さくなるようにしゃがんだ。
「なぁ猫ちゃんよ。俺と一緒に異世界を開拓しないか?」
カリは右手の掌を上にして猫の目の前に差し出した。
「にゃ—―にゃんにゃん」
猫はカリの腕を伝って首を登り頭にちょこんと座った。
「にゃーご」
カリは新しい仲間を手に入れてゲームを買いに行くのであった。