第二話 俺、コンビニで感涙する
カリは朝日を背にまだ暗い道を歩いていた。
家から出て数分、まだゲームショップまでは道がある。脱水症対策として曲がり角を出た突き当たりに24時間営業、お客様には何時構わず笑顔で接客対応する事を企業理念とするコンビニにやって来た。
カリはコンビニの中へ一歩踏み込んだ。
「「いらっしゃいませ‼お客様」」
こんな時間にも関わらず、とても大きな声と笑顔で対応する店員の心構えに感涙の心を称しながら中に入った。
「うむ、御苦労」
入ってすぐに一人の店員がカリに寄って来た。
「お客様、お求めの商品はこちらで宜しいでしょうか?」
店員の持つカゴの中には脱水症対策が施された栄養ドリンク500mlと眠気覚まし用のアメ、それから天然水500mlが入っていた。
「うむ、いいぞ。代金は……」
カリはその接客方法に感動しながら鞄の中から財布を取り出した。
「お客様。代金は合計で398円になります」
手早い対応、これほどの店員がほかにいるだろうか?
「これで足りるか?」
カリは店員に金を差し出した。
「百円玉三枚と十円玉九枚、それから一円玉八枚……丁度お預かりいたします。レシートをどうぞ」
そう言うと店員は自分のメモ帳の一部を破り、手書きのレシートを作りハンコを押してカリに手渡した。
カリが買った物をリュックサックに詰め込みコンビニのドアから出て行った。
「「ありがとうございました。またの御来店お待ちしております」」
店員たちの元気のいい掛け声を浴びながら。
こんなコンビニは嫌だ。