第一話 俺、ゲーム買いに行って来る
太陽が東の空に昇る頃、彼――久遠カリは目を覚ました。
朝5時という時間に目覚めたのはわけがあった。
新作ゲーム【荒地を開拓6~ファンタジー世界で開拓民になろう~】を買う為だ。
カリはこのゲームを幼い頃からプレイしていた。
カリにとってこのゲームは自分の起源、根源と呼べる様な存在だった。
売り口は何といってもこの一言「このゲームはなんと作品初、オンライン耐用!!仲間と一緒に最強の開拓民を目指せ」である。
世間一般ではこういったゲームをクソゲーと呼ぶが、カリにとっては神ゲーと呼ぶにふさわしい作品であった。
突っ込みどころ満載のゲームである
しかし、このゲームには古強者の絶対的なファン(狂信者)が多く超人気ゲームなのである。
「ふぁぁぁぁ、眠いな」
カリは目覚めると共に東の空を見上げた。
「まだ、暗いな。だが俺の心から神々しい士気を感じる……これは行けという事か」
カリは口元に笑みを浮かべながら布団を蹴飛ばし二度寝という名の悪魔から脱出した。
パジャマからジャージに着替えると、金と携帯電話、携帯食料の入ったリュックッサクを背負い勢いよく部屋のドアを開けた。
「キャッ!なっ何‼」
カリがドアを開け放った先にカリの母—―久遠照子がたまたま居り、思わず尻餅を突いてしまった。
「やぁ、おはようございます。母君。これからゲームショップまで行ってきます」
しかし、そんな事も気にせずカリは冷静に対応した。
「あら……そうなの?気を付けてね」
「はい。事故とチンピラ、それからライバル(他の開拓民)には気を付けます」
「そう、行ってらっしゃい」
「はい。行ってきます母君」
カリは堂々と世界の中心が自分である様に歩き、玄関からまだ暗い外へと飛び出して行った。
「行ってきます」
当分の間、異世界転移しません。
それと前回の作品はプロローグです。