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覇王輝夜のきまぐれな日常  作者: チーフ
3/10

きまぐれ覇王3話

随分、盛り上がってるようだ、部屋から階段をおりて酒場を見ると人にドワーフ、エルフに多種の獣人達が酒と飯を楽しんでいる、宿も兼ねている事から酒場のスペースは広い、その席の7割が客で埋まっているというのは繁盛しているということだろう。


「エスカちゃ~ん、ビールお替り~、それとチーズとサラミも~。」


「は~い、ちょっと待ってね、すぐ持っていくから~。」


昼には見なかった少女がパタパタと走り回っているおそらくはここの看板娘、女将譲りの白い毛並みの猫獣人だ。


この店の椅子やテーブルは木製で安物ではあるがきちんと掃除がされていて綺麗なものである。


カグヤは人の少ない奥の隅、すこし空いたスペースでおもむろに「創造」と呟き一見して価値があるのがわかる豪華な黒い大きなソファーと大理石で出来たテーブルを出現させた。


そのソファーに寝転びながら注文をする。


「エスカとやら、酒とつまみを持って来い」


「は!?はい、いますぐ持っていきます!」


周りの客は全員無言である、派手な服装な少女カグヤが起こした異様な光景に理解が追いついていないのだ。


この世界にも魔法を言われるものはある、しかしそれは自然にあるエネルギーを使う魔法、火水風土を操る現象と体内のエネルギーを活性化させての治療等といったものである。


カグヤが使った創造という魔法?は見事な芸術品ともいえる物体を物質化した、これは常識ではありえない事なのだ。



「お待たせしました、ビールと焼き鳥盛り合わせです。」


「どれ・・・うむ、少し甘めの味付けだが肉が柔らかく酒との相性も悪くない。」


カグヤが味に満足しているとエスカがじっと見てるのに気がついた。


「なんだ?」


「あの!父さんを治してくれてありがとうございます。」


「ああ・・?めんどくせえな、報酬は貰ったし俺の飯を作るのに腕が動かないのは都合が悪いから治しただけだ、関係なきゃ無視してたさ。」


「う・・・美少女なのになんて口が悪い・・・」とモゴモゴと呟く。



そうしてるうちに3人の獣人が近づいてきた、見た感じライオン、ウシ、オオカミだろうか。

ライオン獣人が話しかけてきた。


「おい、あんたここの旦那を治したってのは本当か?」


「知るか、うせろ」


「まぁ聞けや、あんたにとっちゃ儲け話だ、このオオカミ野郎、ガランってんだが昨日の仕事でミスっちまってな、厄介な毒を受けちまったんだよ。」


「治療院でもお手上げって事で途方にくれてた所だったんです、もし良ければ治療か治療法を教えていただけないでしょうか?」


でかい図体を小さくさせてウシの獣人も頼み込んでくる。


「死ぬなら俺の視界に入らない所で死ね、以上だ。」


カグヤの言い分にライオン獣人が切れかけた、だが・・・


「てめえ、穏やかに話ししてんのがわからねえのか?、いい加減にしねえと・・・」


「お前、獣の癖に喧嘩売る相手の力がどの程度なのかもわからんのか?」


カグヤのその一言でそれ以上言葉を出す事ができなくなった。


襲い掛かった瞬間に理解できないまま殺されるという直感を強烈に感じたからだ。



「もし・・・治してもらえるなら俺の持つ物なんでも全て差し出してもいい、頼めないか?」


体を動かすのもダルそうなガランという獣人が震える声で頼んできた。


「おお、そうだな!ここ最近の俺達の稼ぎの全部20万ゴールドだす!頼む!!」


ライオン獣人とウシ獣人も必死に頼みはじめた。


「知るか、勝手に死n」


「あの・・・すいません、この人達見かけは悪いけど良い人達なんです、お願いできませんか?」


カグヤが殺すかと考えた時、エスカが口を挟んできた。


「・・・・・・ふむ?まぁここにしばらく泊るからな、ペットがいてもいいか・・・おい、エスカお前は俺がここにいてる間、俺のペットをやれ、それならやってやる。」


「・・・・酷い事はしないでくださいね。」


少し悩むそぶりをみせたが心を決めたようだ。


「決まりだな、ワン公大人しくしてな、完全復元」


ガランの頭を鷲掴み、体内の毒を全て消し去った。


「・・・治った、苦しくない、元に戻ったぞ、みんなありがとう。」


「よかったです。」「助かったなぁ。」「これからも良いお客さんでいてくださいね。」


皆笑顔で喜び合っている、様子を伺っていた周りの客達もよかったな~と口々に祝ってる。


「おっと約束の金だ、持っていってくれ。」


「何を言っている?俺が報酬に貰ったのはペットだ、んなものはいらん。」


「あ~・・・そうだったな、エスカちゃん、今回はすまん、助かった!これは俺達の気持ちだ頼むから受け取ってくれ!」


「え!?いや、でもあのその・・・」


「くれるってのなら貰っておけ、嫌なら後で投げ捨てりゃいい。」


カグヤはさっさと話を終わらせたいような感じで口を出した。


エスカの両親、白黒夫婦猫は気楽に眺めていた。


「あんたどう思う?」「俺にとっちゃ命の恩人のような者だ、信用するさ。」


「私も勘でしかないんだけどエスカが不幸になる事はないと思うんだよ。」




「さて、そろそろ寝るとするか、これは邪魔だな、消しておくか。」


腕を一振りするとカグヤの使っていたテーブルとソファーは一瞬で消え去った。


そしてカグヤは部屋に戻りベッドで眠りについたのである。








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