きまぐれ覇王10話
兵士達が店を立ち去った数時間後・・・カグヤが宿に帰ってきた。
カグヤを見たエスカが安心した感じで話しかける
「カグヤさん、おかえりなさい、なんか兵隊さんが来てカグヤさんを探してるみたいだったんで心配してたんですよ~」
「ああ?・・・まぁ気にすんな、んなもんどうにでもなる」
もしカグヤと兵士が遭遇して、カグヤを連行しようとしてた場合、間違いなく兵士達は皆殺しになっていた、兵士達は幸運だったのかもしれない。
「それで今日は何されてたんですか?」
「家が出来たから身内を呼んで、家の管理を任せた・・・後は部屋で寝てた」
まだ少し眠そうなカグヤである。
「家が出来たって・・・カグヤさん、もうお泊りは終わっちゃうんですか~ちょっと残念です」
「いや・・・俺も一人でのんびりしたい時もあるからな・・・まだしばらく部屋は借りとく」
カグヤはこの宿屋をずいぶんと気に入ったようだ。
前と同じように店内の隅に立派なソファーとテーブルを出現させ、エスカに酒とつまみを用意させまったりしているとエスカと同じ年頃の男女が扉を開けて入ってきた。
「エスカ、明日の為の服ピッカピカにしといたわよ」
「エスカの仕立て直しは無料らしいぞ、俺は有料だったが」
となりの青髪の少女にジト目をしながら赤髪の少年がぼやく
「え~!?さすがに無料は悪いよ!商売なんだから」
「それじゃ今度、美味しい食事でも奢ってちょうだい」
エスカが申し訳なさそうにいうと青髪の少女は気楽そうに手をひらひらさせた。
「さて、用事が終わったらさっさと帰るぞ、いくら俺が用心棒代わりといっても用心しなきゃな」
「そだね~、早く家に帰んなきゃ父さんにぶっ飛ばされるね・・・あんたが」
「夜の酒場だから用心のためについてきてやったのに、なんつー言い草だ」
じゃあまた明日~と手をひらひらさせて2人は出ていった。
それをのんびり眺めてたカグヤだったが・・・
「明日の為に服を用意したのか、明日何かあるのか?」
「うん!実は明日は私が通ってる学園で年に一回の親睦会があるの、普段会うことのない貴族の生徒や他国の偉い人も見学に来るみたいで、お偉いさんとの出会いを求める人は気合入ってるイベントなんですよ」
「お前も気合入れてんのか?」
「私はもっぱらスイーツ!このあたりじゃ見られない珍しいお菓子やデザートが出るので楽しみなんです、王子様とか興味ないですね」
「・・・そうか、食べ過ぎて腹壊すなよ・・・」
また酒とつまみでまったりするカグヤ~
「花より団子ってやつか・・・ん?この国の王子も来るのか・・・どんな馬鹿なのか見に行くのもありかもしれんな」