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聖騎士訓練 後編

前回三部編と言いましたが二部に変更致します。

 ――――と意気込んだ優騎だったがまるで歯がたったなかった。

「ふぁふぁふぁふぁ! ふぁってんだいじたごとねだべふぁってん」

「うぎぎっ」

 まわりも彼、第5聖騎士団員、ムスフに釣られて笑い声を上げ優騎を馬鹿にしたように指をさして笑い出す。

 そのなかにはただひとり納得いかず憤慨してるものもいた。

「おい、どうして本気を出さんのだ!」

 ついにしびれを切らした彼女――サクヤ・イカヤは軌条優騎に怒鳴り散らした。

「ふぁってん? サクヤ第2聖騎士団長殿、こやつどしりあいでふか?」

 周りが注目をする。

 突然として選ばれた聖騎士の知り合いというのは最も興味を引くものである。

 しかも、それがサクヤならなおさらであった。

 ――――サクヤ・イカヤは第2聖騎士団団長、つまりは最強の団員と称される猛者。

 そのような方が何故彼等とシリアなのかという興味。

「サクヤ、これは彼、キジョウユウキとムスフの試合ですので口出しは避けてください」

「っ!」

 アリシアに咎めを受けてサクヤは気に入らなそうに試合に立つふたりを見た。

 特にユウキの立ち居振る舞いはサクヤの知ってる動きとは大きく異なるもの。

(あの速い動きはどうしたと言うのだ? ユウキ殿‥‥)

 自分お試合ではないにも関わらず変に緊張が走り拳を強く握り締めた。

 ムスフは全然ダメージを受けていないのに対してユウキは満身創痍でぼろぼろ。

(まじぃー。言われなくてもあの動きをしたいけど上手く出せねんだっての)

 ――内心では優騎もあの世界へ入りあの未来が見通せるとでも言うような動きを披露してみせたかった。出来ると思っていた。

 しかし、うまくできない以前にあのスローモーション世界が見えない。

「くそっ!」

 がむしゃらにもう一度突っ込むように剣を振るう。

 しかし、ムスフが余裕綽々といった態度でその剣を剣で受け止める。

 ムスフが軽く力を入れて剣を振るっただけで優騎は吹き飛ばされた。

 地面を転がり膝をつく。なにがいけないのか思考を重ね、今までにどういう状況であの世界が見えたのか再確認をする。

(身の危機が迫った時か? いや、違う。サクヤのときの説明がつかない。いや、でも‥‥ああ、身の危険が迫ってるなら今の状況も出しなら出てるか)

 まるで理解ができない。

 このままでは負けることは確実で城を追い出されるの確実だった。

「ふぅー、キジョウユウキ。王女様の推薦者であるアナタが仮にムスフ相手に敗北して試験落ちなんてやめてください。ムスフ位倒したらそれで試験を合格にするくらいは広い心であげましょう」

 同情をするかのような言葉が優騎の心にぐさりと突き刺さる。

 それと同時に――

「アリシア第一聖騎士団長、それはどういういみだふぁってん?」

「ん? そのままの意味です。あなたは落ちこぼれの第5聖騎士団員です。それを理解していますよね?」

 その言葉を聞いてムスフが青筋を浮かべる。

 背後でも「おい、第5聖騎士を馬鹿にしてんですかねぇー第一聖騎士団長様は!」「ふざけんなよ!」「俺らだって必死こいて頑張ってるってんだ!」「誰が落ちこぼれだァ!」彼女の言葉に怒りに火をつけたのか第5聖騎士団が武器を抜き払う。

 それを見てほかの聖騎士が「落ちこぼれ風情が馬鹿な真似は寄せ!」とさらに煽るような発言をしながら止めるように武器を振り抜いた。

「ばかにするふぁぁああああ!」

「っ!」

 ムスフが隙を突いて突貫行動をする。

 アリシアは驚き即座に対応がきかないでいる。

 そんな中で動けたものがいた。

「がふっ」

 ムスフを正面から回り込んで切りさき、ムスフを倒す優騎の姿。

 それを見ていた聖騎士の面々が唖然とする。

 次の瞬間に彼が倒れ気絶した様子を見てアリシアはぽかーんとなる。

 誰もがその場で思っていた。

 あの状況からでは誰しもムスフの動きを止めることなどかなわないと――

「今の動きは一体‥‥」

「うふふ、なかなか見所ありますでしょうアリシア」

 アリシアは王女の言葉に同意を示すようなことはためらわれ――

「確かにあの動きは見所ありますがムスフ相手にあのような接戦をしいてる様子では問題大アリです‥‥ですが――」

 アリシアは倒れた彼を見て一言告げた。

「及第点として第5聖騎士団としてなら認められます」

「ええ、それでいいですわよ。ただ、彼を聖騎士として迎えることにできるのであればなんだっていいですわ」

 そう言い残し王女は去り、アリシアは眠りについた彼をメイドに運ばせる手はずを整えるのだった。

後編です。

これで落ちこぼれ聖騎士となったユウキ。

彼を待ち受ける悲惨はここからがはじまりです

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