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グランド王国潜入 後編

「ローズ大国が潜入してるかもしれない! 急ぎ探せ!」

 柱の陰に身を隠し王城の内部で駆けずり回るグランド王国の騎士団を緊張の眼差しで見送った。

 そっと、誰もいないことを確認し柱の陰から身を乗り出す。

「あぶなかったなぁ」

「……もう……バレてます」

「しゃーねえだろう。酒場であれだけ暴れればバレる」

 グランド王国、王城内の裏庭園あたり。

 そこが出口だった。

 裏庭園からすぐに内部に入れる。

 王城内の廊下をいろんな兵士や騎士が駆け回ってる騒音はとどまるところを知らずに聞こえてる。

 いつ、見つかってもおかしくない状況であり二人は慎重に行動を起こすしかない。

「……あれが最善の情報収集………でしたの……ですか?」

「んだよ、いまさら。それ以外に何か方法があったのかあんたは?」

「…………」

 優騎の文句に彼女は無言で答えた。

 結局、方法が思いつかない。

 答えとしてはやはり酒場での情報収集が理にかなってたのかもしれない。

 そう考えた。

 でも、結果はバレて隠密なんてものではなくなっている。

「とにかく……収監部屋まで向かい……ましょう……地図」

「ああ、はいよ」

 優騎は地図を取り出して庭園からのルートを確認し出す。

「ここから内部に入ってすぐか……あん?」

 優騎は地図の表記に衝撃を受け、再度王城を見た。

「なるほど、裏庭園の隣接するこいつは王城ってわけじゃないのか」

「……っ! ……わざわざ囚人のための収監塔……設けてる……んですね」

 クリュルッハも気付いて自分らのいる場所がどこに当たるか理解した。

「あのマスターいいことしてくれるぜ」

 渡された地図はもちろん王城内への地図であったが書き足しが目立つ地図である。

 それも殴り書きでところどころ優騎らを支援するような道順を記している。

 彼は収監のもとまでの案内ルートを記してくれていた。

 王城内の方であればこっちまで来るのが大変であったろう。

「よくみりゃぁ、わざわざ裏道もあそこからじゃなくっても別からいけば、王城に入れるルートがあるがおっさんがわざと書き足したルートはしっかりとこの場所のルートだったわけか」

 いっぱい食わされた。

 でも、その食わされ方もいい気分だ。

「とにかく……入ろう……」

 クリュルッハが鞘に手を触れ身を伏せて収監塔に足を踏み入れる。

 収監塔は何階建てだかはわからないがビジネスビル5階くらいの高さはあった。

 形は円形じゃない長方形。

 形がわかったからといって仲間たちのいる場所まではわからない。

 でも、長方形にはメリットがある。

 円形であれば出入り口は一つであり裏庭園と隣接してれば尚の事俺らはすぐに見つかっていただろう。

 この形の塔であれば裏庭と隣接するにあたり廊下から裏庭が眺めれるバルコニー仕様になってる。

 そこからの出入りでうまく潜入はできた。

 でも、その考えが甘かった。

 潜入できた――訂正する。

「くっそ」

 塔は決して甘い作りではない。

 バルコニーというのはあくまで見立て。

 中に入ればひとつの部屋の入り口しかない。

 そこに数十人規模の騎士と兵士がいる。

「まずい……です……あれが出入り口だとすると……入るの厳しい」

「っ!」

「聖騎士と騎士に兵士が数十人」

「ん? 聖騎士と騎士? どうちがうんだよ?」

 クリュルッハの奇妙な発言に優騎は前方の騎士を確認しながら首をかしげる。

 見た目は全員が同じ銀色の甲冑を身につけている。

 グランド王国の紀章であろうブローチを襟元についてなかなかにてきながらかっこいい姿。

「……はぁ? ……魔法……使えるか……使えないか……です」

「いや、それは兵士の違いだろ?」

「……騎士……似たようなもの……です……兵士よりひとつ位……上なのが騎士……騎士……基本は収監室の門番……行うことが常……あなたは我が国の騎士を見たこと……ない?」

「ねえよ。いや、まあ、説明受けといてなんだが俺が根本的に指してるのは聖騎士と騎士見た目はお同じなのにどうして違いが分かるのかってことだ」

「それなら簡単……です」

 そう言って彼女が指さしたの襟元だ。

「……聖騎士……記章……二つ……私たちも襟と胸元に……記章……刻んである……ように」

 そう言われて納得した。

 出入り口前の騎士団の違いに。

 兵士は紀章がなく騎士は紀章が一つ。聖騎士は記章が二つつけている。

 ローズ大国も考えると今優騎が身につけてる国から支給された黒の鎧のようなプロテクターの胸元と襟を見れば確かに紀章が二つ刻み込まれている。

「た、隊長! 大変です。南側よりローズ大国の軍勢が攻め込んでる模様です!」

 突然の足音に素早く柱にまた身を隠してその耳よりの情報を得た。

 リリア王女が攻撃を仕掛けた知らせである。

「王子殿下がすぐにそちらの対処に当たれとのことです」

「わかった。騎士はここにのこれ。ほか兵士と聖騎士は私に付いて来い」

 そう言って半数近くが出入り口から離れていく。

 けど、まだ出入り口には数人の騎士が残ってる。

「数は8か」

「……仕掛ける」

「は? おい!」

 出入り口に8人の騎士だけになったとたんクリュルッハは即座に飛び出した。

 しなやかな動きで騎士たちを即座に殺していく。

「な――」

「ローズ大国のせいき――」

 まるで、映画のワンシーンのような光景が目の前で繰り広げられていた。

 一瞬で騎士が倒されるとすぐに彼女がこいという手で合図を送ってくる。

 出入り口にまで近づいて彼女に耳をうちをした。

「むちゃくちゃだぞ。なかに敵がいたらどうすんだよ?」

「……中から……音はしなかった」

「は? んなのどうしてわかんだよ」

「……私……耳いい」

「簡潔な答えだなおい!」

「いいから入る」

 なかに早速入ると人のうめき声と腐臭があちこちから臭った。

 おもわず鼻を覆いあたりを見回す。

 収監塔とはよく言ったもので入れば天井に続くように階段があり壁際に収監室が備えてある。

 一番下の階層には拷問部屋なようだ。

 拷問器具に死体。

 そして――

「サクヤさん!」

 ひどくムチ打ちにあったようにぼろぼろの服をまといやつれた顔をあげる。

 手枷がついており吊るされてる状態だった。

 見る感じ拷問は鞭打ちだけの様子。

「サクヤ隊長……ご無事……ですか!」

 急いでクリュルッハも拷問部屋の扉を魔法で破壊しサクヤを解放してやる。

 やつれた顔のサクヤがこちらをやっと認識し始めたように表情に明るさが戻ってきていた。

「にげ……ろ」

「え?」

 クリュルッハと優騎はその言葉を聞いて一瞬硬直した。

『我が主、上です!』

 優騎はとっさに条件反射で剣を振り抜き頭上から来た攻撃を防いだ。

 攻撃を放った何者かはそのまま優騎を蹴り上げ間合いを取る。

「ひひっ、わたーしのぉーおもちゃをーかってにかいほうしちゃぁーだめよぉーん」

 短剣を構えた、色白に病弱げな顔、そしてぼろ雑巾のような衣服をまとった女が不気味に笑う。

「私を……拷問した……女だ……ぐっ」

「あぁー、もうすこし新薬の実験に……ねぇー、まだひつようなのぉー。だからぁーかえしてもらうわよぉー。ついでにあなたたちもわたしのさんぷるになってちょぉーだぁいー」

「っ!」

 ぞっとするような奇怪な表情で短剣を放つ。

 優騎は聖剣で叩き落とした。

 だが、視線が一瞬短剣に行ってしまったことで彼女の接近に気付かなかった。

「しまった」

「おちゅうしゃしちゃいまぁーす」

 手元に緑色の液体が入った注射器を構え、針が接近した。

『させない』

 レミアスの声が聞こえた瞬間に剣が発光現象をおこし、氷壁が地面から隆起し彼女を突き飛ばした。

「がはぁ」

 そのまま地面に横たわった彼女にとっさにクリュルッハが近づき剣を突きつけた。

「殺されたく……なければ……鍵……渡せ」

「ひひっ……だれがぁ……わたすかぁ……」

「なら、死ね」

 サク、あっけなくその胸元にクリュルッハの剣が沈み込んだ。

 彼女は血を吐きながら痙攣を起こし命の灯火を消した。

 彼女の死亡が確信された直後に背後で人が倒れるような音が聞こえ振り返るとサクヤがうずくまっていた。

「サクヤさん!」

 優騎はとっさに近づき彼女の体を確認した。

 紫色の斑点模様が体中に浮き上がっておりあきらかな異常が見られる。

「サクヤ隊長……今すぐ治癒を」

 クリュルッハも近づいて彼女の治癒にあたるが聞かず困惑した。

 サクヤがクリュルッハのの手を振り払い応える。

「む……だだよ……特殊な……毒を……盛られた……おかげで……魔力が……消えた……それに体は刻一刻………と蝕まれてるんだ」

「うそだろ」

「……なぜ……こんなことに」

 クリュルッハはうめき声をあげる。

「私は……いい……ほかの……ものを……どうにかしてくれ」

「っ! でも……」

「いいから……やるんだ……クリュルッハ・エーベルハッツ第5聖騎士隊長!」

「っ!」

 クリュルッハは拷問部屋を出て一気に塔の中を駆けずり回る。

 ただ、優騎はその場から動こうとしない。

「おい……ユウキ殿……お主も行かれ……よ」

「いいや、俺はあんたを助けるぞ」

「なにを言ってるんだ」

 なんとなく優騎は彼女の命運を自分の力にかけた。

 いや、察した。

 自分ならできるのではないかと。

 それはいままでのゲームやアニメの知識からすればこの世界の自分が勇者に選ばれたのならばそれ相応の力を与えられてるはずである。

『我が主その考えはあたりです。彼女の蝕む毒は聖剣の力』

「っ!」

 治せるのか? 

『治せます。主の体力を根こそぎ削りますが大丈夫ですか?』

「全部もってけ!」

『分かりました』

 サクヤがこちらを疑問視し見つめられながらも優騎は剣を掲げ彼女に鋒を向けた。

 その時ちょうど多くの仲間を連れて下に戻ってきたクリュルッハも驚き「何をしてるんですか!」とおお声を張り上げているが構わず優騎は続けた。

「吸収する剣よ! その身に宿す聖なる加護と清浄を解放せよ!」

 光のラインがサクヤに放たれた。

 次第にサクヤの体から紫の斑点模様が消失していく。

 彼女の傷も見る見るうちに治癒され、体力も万全なものに回復した。

 かわりに優騎は膝をつき息を過呼吸気味荒げた。

「おい、ユウキ殿」

「仮は返したぜ」

「っ!」

 サクヤはそんな彼を見て心臓の奥に妙な違和感を覚えた。

(なんだ、今のは?)

 困惑する彼女をよそにクリュルッハが彼へ近づきサクヤをみてどういうことだという悩ましげな表情。

「私は平気だ。どうやら彼がなおしてくれたようだ」

「ありえません」

「でも、治っている。どういうわけかな」

「っ! 英雄の剣の力……これが……」

「英雄の剣? そうか、なるほど」

 サクヤはうずくまる彼に肩を貸し立たせる。

「クリュルッハ隊長、まずは武器を回収したい。武器庫はどこにあるかわかるか?」

「地図を彼が所持して……います……それ見れば」

「了解した。では、すぐに向かおう」

「武器庫に……ですか!?……この数では危険です」

「いいや、今の私ならばできる気がするんだ。それくらい今は力が沸いている」

「っ!」

 サクヤは煮えたぎる魔力の波動を自らの体に感じて彼の剣を見た。

 それを拾い上げる。

「すまんがユウキ殿剣を借りる」

「う……」

 優騎はその言葉を最後に聴いて意識を失った。

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