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バイル村モンスター討伐 後編

 無事、『ローズ大国』の騎士たち精鋭によってキリンの討伐が完了した。

 キリンの亡骸が横たわって、血と白い破片のような雫をこぼして身動き一つせず静かな眠りをしていた。

 優騎を含めての第5聖騎士団体は負傷した騎士の治療に当たる一方で死傷者の騎士の確認を行っている状態だった。

 他の聖騎士隊はこのバイル村の村人探しおよび状態の確認を行っていた。

 でも、すぐに来てから誰でもわかっていたことだがこの村にはもう生き残ってる住民はいない。

 生き残ってる住民がいれば悲鳴や助けとしてきた優騎ら聖騎士隊の前に顔を出すはずである。

「全軍、集合してください!」

 奥の民家から現れたアリシアが召集をかけ、生き残った騎士たちが彼女前に集まる。

 最初は兵士を合わせて数万までいた騎士たちが現状、数千しか残っていない。

 ほとんどが死んでしまった。

 とくに聖騎士は第4聖騎士が全滅という悲惨な状態である。

「これだけしか残っていないってわけですか……」

 アリシアが癖なのか親指の爪を噛んでさぞ悔しげな表情をしながら手元でなにかの金属のバッチのようなものを転がす。

「皆さん見てください! このローズ大国の領土でもあるこのバイル村はモンスターの襲撃を受け、村人全員が死んでしまいました。だが、村人全員を殺したのはどうやらモンスターだけの仕業ではないようです」

 聴き滞った言葉に全員が騒然となる。

「……どういうことですか? アリシア聖騎士団長」

「これをご覧下さい」

 優騎らの聖騎士隊の隊長たるクリュルッハの言葉に応えアリシアが手元で転がしていた金属のバッチ、どっかの国の紀章を掲げた。

「これはグランド王国の紀章です。なぜ、そんなものがこの村に落ちているのでしょうか。しかも、我が国とグランド王国は現在敵対関係になっており戦争をしています。これがどういうことか」

 彼女の糸が優騎にはまるで理解しきれず首をひねる。

 だが、一部にはすぐに察せた様子で息を呑む様子が伺えた。

 その中である一人の茶髪のポニーテールが特徴的な日本の武将さながらのような格好をしたスタイリッシュな美女が声を張り上げた。

「まさか、この村がモンスターに襲撃されたのにはグランド王国が関わってるのですか!」

「その通りです。第2聖騎士隊アリン・イリナ副隊長」

 モンスターの襲撃にグランド王国が関わってる?

「ど、どういういみだよそれ?」

 おもわず、現場の雰囲気などお構いなしに口から言葉が出てくる。

「どういうこととはどういう意味ですか? 第5聖騎士隊、キジョウ・ユウキ聖騎士」

「モンスターの襲撃にグランド王国が関わってるってなんおためにそんなことしたんだよ?」

「戦力を削減させるためです」

「削減?」

「グランド王国は現在、あなたのせいで我が国に苛立ちを持っています。それで進軍を開始して我が国に進行していました。それを止めるべく我が国の半数の騎士がそのグランド王国の進軍を止めるべく向かいました。ここで、重要なのが我国が全軍で向かわなかったことです。なぜか、わかりますか?」

 優騎は脳みそをフルに回転させリリアと話した一部始終を思い出した。

「モンスターの襲撃事件があちこちで起こっていたからか」

「そうです。そして、その一つとしてこのわが国の領土であるこの村も襲撃を受けていたことを昨日知ったばかりで救援に向かうしかなかったのです。しかし、いろんな状況が重なって出遅れました。この出遅れや人数を分割させる行為がグランド王国の手のひらの上でしたと推察してます」

 言ってる意味はほぼわかったが、その気象だけでそう決め付けるのはいかがなものかと思った。

「いや、だからってなんでグランド王国がってわかるんだよ」

「この記章が証拠です。国の領土に他国の騎士が入るのは国の規則上書類に乗っ取る義務があります。これは不法侵犯罪にあたります」

 不法侵犯。つまりは密入国したという意味だろう。

 彼らはこちらに最初から戦争を吹っかけてきていたのだろう。

 しかし、どうやってモンスターをこの村に誘導したのか。

 そもそもどうしてこの村にしたのか。

「……団長、どうして彼らはこの村を襲撃のポイントに選んだのでしょう? それにどのようにモンスターを誘導したのでしょうか? それもあれほど強力なモンスターを」

「モンスターをどのようにしてこの村まで誘導したのかはわかりませんがこの村を襲撃したのは分かっています。この村はわが国の作物輸出の村でした・ですから、この村がなくなった現状作物の輸出元がなくなるのでしばらくは食糧難が続きますね」

 その言葉を聞いて唖然と息を呑む兵士たち。

 兵士は基本的に民兵である。

 なので、作物の輸出元がなくなり食糧難が続けば作物の費用も上がるというわけである。

 これは金がない貧乏な兵士にとっては痛手である。

「ともかく、一度撤退をいたします。国へ戻りこのことを報告致します」

 そのときだった。

 馬のかけてくる音が響いてくる。

 何十何百という総ナメした音だ。

「お、リリア王女殿下!」

 奥地のほうから馬に乗って数百の騎馬隊を従え現れたのはローズ大国王女、リリア・ローズだった。

「アリシア、現状を理解してますわ。このままグランド王国に向かいますわアリシア」

「はい? どういうことですか? 現状を理解できかねます」

「第2聖騎士隊長であるサクヤ・イカヤからの伝令でグランド王国の交渉は失敗し戦争に勃発。その後ローズ大国軍は劣勢という伝達を受けました。救援を要請していますわ」

「っ! ただちに出動準備に取り掛かります。全軍、グランド王国へ向かう。死体を燃やし進軍をします!」

 ローズ大国の王女である彼女が現状を見渡して目を伏せてからアリシアへ呟いた。

「どういう結果かお聞きしますわよアリシア」

「はい」

 グランド王国へ進軍を開始である。

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