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アイスグラシエル 前編 改稿版

「ぐぁ‥‥」

 何度の攻撃を回避したか、何度の牙を防いだかわからない。

 優騎は膝をつき刀身が砕け、半分ほどになった刀身の剣を床にほうり捨て目の前の怪物を見据えた。

 一切の体力消費や傷すら見られない。

 幾度も立ち向かい『アイスグラシエル』に向かおうとしたが行く手を阻むこの怪物と会いまみえるばかり。

 そのたびに牙と剣はぶつかったり、相手の攻撃を回避して命をつなぐ攻防戦だ。

 疲労は困憊し、足腰がもう立てない状態にまで来ていた。

「くそったれ。なんだってこんなきついんだよ」

 視界も薄れ始め、例の相手のステータスを見る能力で弱点を見極めて、加速のような魔法で回避してきていたがその能力も先ほどから疲労と同時に不発になってきていた。

 頭の中に再度、このモンスターのステータスを確認する。

 波紋に映り込んでたステータス表示はどうだった。


 アイスドラグーン Lv.155

 攻撃 2500000

 防御 2500000

 対魔法 2500000

 対物 230000

 体力 234000

 器用さ 190000

 速さ 5000000

 才能 290000


 スキル 守衛ガードナー氷壁アイスウォール


 確かそうだったとばかりに頷きながらしなやかな胴体をくねくねと動かす水色の鱗をした竜のような顔立ちをした翼のない長蛇の怪物に睥睨した。

「ぎゃぁおおおおん!」

「っ!」

 急にわめきだした怪物が口を開き、最初に見せたあの冷却ブレスが迫りくる。

「くそっ!」

 瞬時に頭の中で念じて集中したがあの能力は来なかった。

 どうにも体力面で左右する能力のようであった。

 横合いに飛んでギリギリで避ける。

「ひやっとしたぜ」

 わずかに数ミリ足の裏側はもうアイスリンクの出来上がりだ。

 いうならば、ほぼこの場所全体がもう氷漬けでスケート場のようになっていた。

 その氷漬けの表面をモグラの間隔のようにアイスドラグーンが氷漬けの表面から襲い来るという状況になっている。

 現状況に伴ってこの世界にきて身体的面が上がってる間隔は活用されてる様子だった点がもう一つ上がっていた。

「バランス感覚があるおかげでどうにかなってるといっても限界だってぇ―の」

 悪態をつきながら手持無沙汰な手を見て息をつく。

「こうなりゃぁやけか」

 先ほど捨てた剣を取りに走った。

 その行動を許すわけがない怪物。

 突貫する怪物の攻撃をよけてジャンプし剣をキャッチ。

 だが、一つしか取れなかった。

 怪物の突貫したことによりスケートリンクに大穴が開き、大量の水が流れ込んできた。

 今までは怪物がそれほどおおきな行動をすることはなく怪物のいるわずかな穴の隙間からの水であり怪物が冷却ブレスを行うたびにその水も瞬時に凍りついてたのだ。

 だからこそ、さほど水の障害はなかった。

 だが、今の衝撃により亀裂を生みだしすべてのスケートリンクを崩壊させた。同時に氷という物質が水により溶け始め水かさを増させたのだ。 

「まじかよっ!」

 数秒で優騎の体は水中へ。

 ぷかぷかと浮遊する優騎に牙を向け迫りくる怪物。

 折れた剣を横合いに構え牙を防ぐが威力は弱く、腕と顔をひれか何かで傷をつけられ吹き飛ばされる。

 水の中で次第に意識が薄れ始めていく中であきらめを抱く。

(別に来たくてこの場所に来たわけでもないしお金のためってだけであってもうかえってもいいんじゃないか。そうだ、俺は頑張ったさ)

 あきらめを抱き出入口を見た。

(そうか、そうなってるよな)

 戦い奮闘し気づくことがなかった。

 瓦礫の山で出入口がふさがっていた。

(あはは、もう帰れないし死ぬしかないのか)

 その時だった。

 目にかすかにきらりと光る何かが映り込んだ。

(あん?)

 うっすらとなった視界を集中し、光ったものを確認する。

(なんであんなに神々しく?)

 優騎が祭壇側に目を奪われてる間、怪物は優騎が本当に死亡したのかどうか確認するようにまわりをぐるぐると泳いでいた。

 次第に渦が巻きかけている。

(かけるっきゃねえ!)

 命のともしびを再度奮い立たせ足を動かす。

 怪物が気づき、尻尾で攻撃を仕掛けてくる。

(チャンスかっ!)

 剣を横合いに構え、優騎は衝撃をうまく祭壇側に受け流すように仕向けた。

 そのおかげで祭壇側に吹っ飛び優騎は刀身を煌めかせる『アイスグラシエル』の突き刺さる壇に後頭部を打ち付ける形で静止。

 頭皮から血が流れ水のせいでより出血性が増していき、死が近くなるかのように前世の今までのくだらない記憶まで垣間見る。

 親に呆れられ、その親から逃げるように家を飛び出し一人暮らし。

 大学でも環境になじめず引きこもってしまう。

 ゲーム関連職に就きたい一心でそれ系のバイトもやり続けはじめ、次第に社員になったが上司との関係が合わずに次第に家に引きこもる在宅ライターとなっていく。

(ニートな生活だったなぁ)

 そんなことを思いながらも無意識からか、左手はアイスグラシエルに伸び柄に指が触れた瞬間――

 右手に握った剣と激しく共鳴を見せた。

 そして――閃光がほとばしった。

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