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バルハ遺跡 後編 改稿版

2筆でパターン

14時 1次

19時以降 2次

 瓦礫の中から颯爽と立ち上がった優騎は真っ先にどの程度落下したのかを頭上を見て把握した。

「結構な深さまで落下したのか」

 それで、生きてることに驚いた。

 この世界では身体にかなりの頑丈性ができているようだった。

 この世界に来て色々と自分が変わってることに確信があったが頑丈性まであったことに驚いた。

 実際――

「一か八かだったが」

 助かるだろうことは予想していた。

『KNIGHTOFSEVENS』のゲームではたいてい落下程度ではダメージ等微々たる程度。

 この世界がそのゲームに酷似してるならばというのが決断的にあの場を切り抜ける上で足場を砕く戦術に至った。

「何よりもこの辺なんでこんないも明るいんだ」

 続けて気付くことは周りの異様な明るさだった。洞窟であるというのにどこからか緑色の光が差し込みあたりを燦々と照らしだしていて周りの景色がまるっと視認できる。

だからこそ現状の目視が可能であり落下位置が把握できた。足場に広がる瓦礫の山を見据えてると――

「いっでぇーだぁ」

 瓦礫の山から多くのブランドが率いる騎士の軍勢が起き上がった。

 よくみれば、遠くの瓦礫の山の中にイーシアとその妹サシャらしき姉妹が重なり合って倒れている。

 他にもリッソルト村の民の人たちも一応は意識はあるようだった。

 ブランドと目が合いさらに姉妹の方に目が行く。

(さっきの落下途中で妹を助けるために動いてたわけか。すげえなおい)

 サシャの執念を無駄にしないように優騎は彼女が起きる前にブランドの足止めを決行するために動き出す。

 それと同時に優騎の背後からドウゾウとリッソルト村の他2名にサクヤも瓦礫から這うように起き上がりざまに駆け出した。

 1名は瓦礫によって潰され死んでいる。それに腹部を刺され出血したエゲムもだった。

 悲しみをこらえる。

 優騎は自らが行なった行為で殺してしまったことに申し訳なさを抱いたと同時に敵が現れなければという殺意を芽生えてもいた。

 責任転換であろうがこうでもしないと自分の意識は保てそうにはない。

「うらぁっ!」

「ぐっ!」

 その殺意が剣を振るう一撃に乗せられブランドを弾き飛ばす。

 ブランドの部下はドウゾウとリッソルト村の民2名とサクヤで手一杯。

 ブランドは弾かれたことによって隙ができ、守るものもいない状況。

「死ねっ!」

 優騎は容赦なくその殺意に任せ剣をつき出した。

 ここで殺らねばられるという感情任せの行い。

 けど、そう簡単にいかない。

 剣が喉元に突き刺さる感触は来ず何か硬い物にぶつかり刀身が砕け散った。

 その理由はブランドが手に握る剣を横合いに構え防いだのが原因である。

「っ!?」

「じぬのはお前だ!」

 しゃがれた声でブランドが横薙ぎに剣を振りかぶった。

 先ほどとは違った奇妙な能力が作動する。

 視界に広がるスローな剣の軌道。

 うまくスウェーし避け、優騎は飛び退った。

「なっ! まぁだきびょうなうごぎじやがってぇ!」

 怒りに任せ乱暴に今度は振るい始める縦横無尽に剣が振るわれ、感覚で優騎は防ぎ剣を交差させていく。

 サクヤの視線を感じた。遠目で彼女がこちらを驚愕の様子で見ている。

「やはり、ユウキ殿はすごいな」

「あの兄ちゃんやるじゃねぇのっ!」

 ドウゾウらも優騎の奮闘に活力漲りブランドの部下を圧倒する戦力を見せ始め形勢逆転の攻防へ転じる。

 だけど、優騎は次第に内心は焦り始める。

「――とっ! こんなのいつまでも持たないぞ」

「どうじだぁ! かおがこわばってるぞぉ!」

 相手も必死な様子だが、動きがさっきよりもとろいと優騎は思った。

(なんだ? こいつさっきよりも遅すぎる)

 剣の振りにも弱さがありぎこちないような動き。

 ゲームで培ってきた観察力でそれがわかった。

 だが、なぜだろうかと考える。

 ブランドの全身を見て気づく。

 右足から滲んだ赤いシミ。

 大腿部を負傷していた。

 どうやら、軸足となる部分が負傷したことで動きにぎこちなさが生まれていた。

「くそったれ!」

「しまっ――」

 気づくのが遅かった。

 ブランドがしびれを切らし剣に光を走らせた。

 横薙ぎに振るったブランドの剣から爆発が放出。

 優騎に爆風が押し寄せ吹っ飛ばした。

 壁に磔にされ、背後の壁が崩落すると同時に解放され体が横たえる。

「あぐぅ」

 その時、異臭を鼻につく。

 顔には雑巾が押し当てられたような感触。

 中学時代にいじめにあったあの光景が蘇るかのようだった。

 その光景を振り払うようにして目の前に集中する。

 ブランドがもう追撃を仕掛けている。

 もう一歩の鞘に納めてあった剣を咄嗟に引き抜いた。

 双剣を交差させることでブランドの剣を挟み込むように食い止めた。

「うらぁ!」

「ぐうっ」

 上に押し上げるように剣を持ち上げブランドを退かせる。

「双剣使いだおどろいだぁ、てっきりそっちのつるぎはかざりだぁおもっでだぜぇ」

「飾りじゃねえ。何処を見ればそうなる馬鹿か」

「っ! いちいち腹立つダァ!」

 ブランドが殺気を飛ばしまた攻撃を仕掛けるかと思えば足を止め急に目を丸め動揺したように体を震わせた。

「な、なんで」

「は?」

「きづかなかっだ。そうがぁ、あれがアイスグラシエルか」

 優騎も自分の後ろを振り返った。

 壁が「上半分」だけ割れている。

 そう、そこは秘密の抜け道だったようでその扉に見せていた壁が半壊して奥の道が見えていた。

 そこは神殿のような感じで、湖をおもわせる光景。

 なぜなら、周りは湖なのに中枢にはモーゼのように湖がわれ、歩行用の大理石の道が奥の円形の神殿に続くように存在している。

 その中枢に小さな噴水がありその噴水の中心に剣がつきたっていた。

 氷の刀身に白色のダイヤのような輝きを帯びた装飾のある握りや柄。

 形状はロングブレード型。

(そうか、あれがアイスグラシエル。みつかったがてっきり大剣型かと思ったが違ったのかよ)

 見とれてる中でゆっくりとブランドは優騎など、わすれそのままその偽造壁を壊し進んでいく。

「そうがぁ、いきどまったところにいた死体が握ってた剣だったがらぁこいつがぁアイスグラシエルかとおもったがぁじかったがぁ」

 うわ言のようにつぶやきながら握った剣を湖の中に放り捨てる。

「死体ってこいつか」

 足元には骨があった。

 先ほど壁に横たわった際に感じた雑巾の感触。

 それは死体が纏ったボロい服の感触だった。

「やっとだぁ」

 その場にいる全員がブランドの手に握った『アイスグラシエル』に見とれて戦闘をやめていた。

 ブランドが『アイスグラシエル』を引き抜こうとした刹那だった。

「ぐぃ‥‥ぉぉぉ」

「んだぁ?」

 その場にいる者たちにも聞こえた奇妙な声。

 次の瞬間――

 神殿の湖から巨大な化け物が出現する。

 長い尾にゲームなんかで見るような翼竜の顔立ちをした怪物。

 研ぎ澄まされた牙が開き――

「ぎゃぉおおおおおおん!」

 ブランドにその牙が迫った。

「うぁああああああああああああ!」

 逃げ出そうとしたブランドの行動よりも早くその怪物はブランドの上半身を丸呑みにした。

 剣と下半身がその場に血の海とともに置き去りになる。

「おい、隊長が食われたぞ。どうするよ?」

「なぁ、でもよぉ、あれを回収すればいいだけだろ? 隊長なんかどうでもよくね?」

「たしかに。どうする?」

『行くしかねえ!』

 ブランドのことよりも剣を回収すべく彼らも怪物がいる神殿に入り込んだ。

 そして、怪物の目は向く。

「ぎぃいいいいい!」

 怪物が口から冷気の光線を放出。

 グランド国の騎士は全員が氷付けとなった。

 広範囲の攻撃ではあったが神殿内だけに怪物の冷気放射はとどまったことに冷や汗をかきながら安堵をした。

 もし、神殿の外まで及べば自らも命が危ぶまれただろう。

 にしても、不思議な光景だった。

 怪物のいる神殿と優騎らがいる場所はまるで隔絶でもされてるかのように怪物はこちらが見えていないかのようなふるまいをしている。

 実際見えていないのか。

「おい、兄ちゃん何処へ行くそっちは危険だ!」

「俺の目的はあの剣だ。エゲムさんは死んだ。そしてエゲムさんがここまで俺を案内してくれたのを無意味にしないために俺はあの剣を手に入れる。あんたらは帰れよ。これは俺の問題だ」

 ドウゾウたちが困惑したように目配せあいしてる。

 見たところ、怪物は神殿の区域から出ることはできない様子。

 この壁は仕切りになっているのだ。

「さてと――」

「まってくれ兄ちゃん」

「な、なんだよ。手伝うとか言うなよ。他人の心配なんか俺はしねえぞ」

「手伝う気はない。俺らも命は欲しい。だが、村長の孫娘を捜した事には恩を報いたい」

「あん?」

 ドウゾウが何かを手渡した。

「こいつは村に古くから伝わるお守りのようなものだ。これをつけてればバルハ遺跡は常に味方をしてくれるという伝承がある」

 優騎はもわず笑みを浮かべた。

(ゲームだと俗に言うあれか。これが命の要になるってやつか)

 そのお守りをありがたく受け取り感謝をした。

「ありがたく受け取る。じゃあ、さっさといけ。村長の娘たちとな」

 ドウゾウたちはこちらに会釈をして急いで駆け出していた。

 最後にサクヤだけが残っていた。

「おい、サクヤさんもさっさといけよ。こんなことにつきあうことはねぇぞ」

「だろうな。だが、私はユウキ殿の先輩だ。先輩として後輩の命は守る義務がある」

「ありがたい申し出だな。だけど、サクヤさんこれは俺一人にやらせてくれ」

「何か一人でやらねばならない理由でもあるのか?」

「理由か……」

 ふと、脳裏によぎったのは今までに体験したオンラインゲームのイベントの数々。

「こういうのは大抵ソロイベントってやつだ。だから、仲間がいたら邪魔になってしまう。それにドウゾウさんたちの帰路の安全が不安だ。だから、ドウゾウさんたちの護衛を頼むよ」

「……承知した。死ぬなよ」

「ああ、ここまでありがとうサクヤさん」

 サクヤはそう言い残してドウゾウたちの後を追いかけていく。

 道は彼らは詳しいのだろうかはわからないがこの場からサクヤも含めて一刻も離れるべきだったことは悟っていた。

 優騎は天井を見上げて大きく息を吐く。

「もうそろそろくずれるなぁ」

 クモの巣状にひび割れてる天井。

 そろそろ崩れることは目に見えている。

 神殿は安全だが身を守る上では安全ではない。

 しかも、神殿に入る目的はあくまで優騎も『アイスグラシエル』。

 優騎も一歩足を踏み入れた。

 神殿へ――

 怪物が喚き、視線が噛み合う。

「さぁ、やろうぜトカゲ野郎、いや、メスか? まあどっちでもいいか」

 優騎は双剣を構え走り出した。 

ヨテイガ早く完了しましたw

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