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捜索始動

 夕刻の王城で一人サクヤ・イカヤは先の試験の試合を行った、キジョウユウキの下に会いに行こうと部屋を訪れるために廊下を歩く。

「あの試合はなんだ。茶番にも程がある」

 サクヤはあの試合が納得いかなかった。

 まるで、彼は自分と試合をしていた時のような動きはせず別人のような立ち居振る舞いで自分よりも数段劣る相手と相討ちという形で終わった試合だ。

 すなわち、それは自分はそんな相手に負けたことを意味する。

 屈辱であった。

 もし、あれが彼の実力ならば自分は『第5聖騎士』クラス。

 聖騎士として落ちこぼれである証明。

 サクヤは何より彼に興味を抱いて不埒な真似まで働いてしまってるのだ。

 それが何よりも彼が落ちこぼれの証明になれば失態につながる。

 落ちこぼれとそのような行為に及んだという事実が露見すれば。

 だからこそ、彼が実力を出していないことをその口から聞くためにサクヤは彼に訪問をする。

「ユウキ殿、少し話がしたいのだがいいか」

 たどり着いた彼の部屋の扉をノックする。

 返事がない。

 扉のノブを回すと鍵が掛かっておらずすんなり入ることができるようす。

「スマヌが入らせてもらうぞ」

 中に入れば誰もいなかった。

「ん?」

 机の上に一枚の便箋が置きっぱなしだ。

 便箋は開封されておらず、読んだという気配はない。

 しかし、手で持ちはしたのか乱雑にひっくり返った形で置いてあった。

「出かけたのか?」

 部屋をよく観察して気づくことはもうひとつあった。

 開いたクローゼット。そこにはハンガーラックとハンガーのみで洋服はない。

 布団やシーツもまくれており彼が出かけたというのが様子見でわかる。

「どこへ行ったのだ?」

 現状を彼の気持ちとなって観察してみる。

 彼は試合中気絶をし、ここで運ばれ眠っていたはずだ。

 起きれば誰もいない、ただ一枚の便箋が机の上にある。

 彼はどう考えるか。

「まさか、首にさせられたとでも思って出て行ったのではあるまいな」

 サクヤの勘はまさにあたりである。

 急ぎ追いかけようと部屋を飛び出しの部に手をかけた直後、扉が開き一人の赤髪のオッドアイのメイドがいた。

 彼女、ユークリア・ミューテシア。キジョウ・ユウキの専属メイドとなった彼女。

 そして、聖騎士団総括団長であり第1聖騎士団団長の妹。

「サクヤ様、こちらで何をなさっていたんですか? まさか‥‥あの変態に何か‥‥」

「違う! 彼が出て行ったんだ!」

「は?」

 彼女は小首をかしげ部屋の中へサクヤの横を通りはいりサクヤ同様に思考をし「あの変態馬鹿ですか」と漏らしてそうそう部屋の中を出てからサクヤに告げる。

「サクヤ様、私は至急王女殿下にこのことを伝えます。サクヤ様はこのことは内密に願います。王女推薦の男が聖騎士任命直後、職務放棄をするなど露見は許されない自体ですので」

「職務放棄などではないとおもうが‥‥」

「変わりありません。あの変態――もとい、ユウキ様はこの王城からにげだしたのですから」

 そういいながら彼女は持ってきた食器ののたカートを引いて去っていった。

 残されたサクヤはじっとはしてはいられず。

「露見はしないが独自に捜索させてもらうぞ」

 そう言いながらサクヤは駆け出した。

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