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16年前の鐘の音
ゴーン…ゴーン…。
時計塔の零時を告げる鐘の音が聞こえてくる。
ここは時計塔のすぐそばにある教会。
私は椅子に座り、外の雪景色を見ながら、暖炉で暖まっていた。
さて、零時を過ぎ1日が終わったので日記をつけようかと腰を上げたとき、
カタン……。
微かな音だが、酷く耳に残った。
扉の方に向かい、ゆっくり開けてみると、誰もいなかった。
気のせいだったのか?と、扉を閉めようとしたとき目線が下に向いて、気づいた。
地面に白い布でくるまれた赤子がいる。それも2人も。
1人は青い目をした女の子、1人は黒い目をした男の子。
異様に感じたのは目を見たとき、泣き声の1つも発しないこと。
別に赤子が寝ている訳ではない。目を開け、こちらを見ているほど意識がしっかりしているにも関わらず、泣かない。
冬の寒さでやられたか。
私はそう思い、暖炉のある部屋に赤子たちを抱えていった。
誰の子か。なぜここに置いていったのかなどの考えは2の次だった。