スピンオフ:ドミニオン - 絶望の法則(第二章:破壊の起動)
第四節:ロゴスの喪失
ゼオンとシンは、自らが設計に関わった世界の中枢、**『世界の論理体』**の格納庫へと向かっていた。彼らの目的は、ロゴスを破壊し、世界を強制的にリセットすること。
シンは、破壊のための最終コードを入力しながら、静かにゼオンに語りかけた。
「ゼオン、これは論理的に正しい。修復という手段が愛という目的を達成できないのなら、破壊こそが真の修復だ。我々は、このバグまみれの世界から、愛する者たちのデータを護り抜く」
ゼオンは、懐に隠した娘リズの写真を見つめた。彼の心は愛と絶望の狭間で引き裂かれていたが、リズの存在データが徐々に崩壊していくのを見過ごすことはできなかった。
「俺は愛を護るために破壊者になる。シン、お前も同じだ。我々は悪ではない。世界を見限っただけの、愛深き者だ」
二人が破壊コードを起動しようとした、その瞬間。
第五節:管理者たちの悲劇
格納庫の警備システムが起動し、管理者であるクロノア、ゼロス、シエナが彼らの前に立ちはだかった。
「クロノス(シン)! ゼオン! 止まりなさい! 貴方たちの行動は、世界の論理的連続性を完全に破壊する!」ゼロスが絶対論理の光を放ちながら警告した。
シンは、元同僚であるゼロスを見て、冷酷な目で答えた。「ゼロス。お前たちの**『世界の安定を優先する論理』こそが、愛する者を失うというバグを放置した。お前たちの論理は欠陥品だ。我々の絶望という論理の前に、お前たちの安定の論理**は無力だ!」
管理者たちは、世界の安定という**『法則』に従い、二人を阻止しようと戦闘を開始した。彼らには感情はなく、ただ世界の法則を護るというプログラム**だけがあった。
ゼオンは、防御コードを破壊コードへと変異させ、管理者たちを圧倒した。
「論理に従うだけの存在に、愛を護る者の意志は止められない!」
第六節:ドミニオンの完成
シンは、ロゴスに**『世界の強制シャットダウンコード』**を打ち込んだ。
世界に激しいノイズと振動が走る。ロゴスは破壊され、世界の法則は絶望を基盤とする新たな論理によって書き換えられ始めた。
その時、遠い場所から、**Lv.1の少年の『知識の残響』**のような微かなデータが、世界の法則に干渉しているのをシンは感じ取った。
「これは……! まだ**『修復』**を試みる者がいるのか?」
シンは嘲笑した。「無駄だ。Lv.1のノイズでは、我々の絶望の法則には勝てない。世界の法則は、我々ドミニオンによって**『絶望』という名の下に支配**される!」
こうして、ゼオン(破壊者)とシン(時間術の支配者)を核としたドミニオンは、世界の法則に反旗を翻し、絶望的な破壊活動を本格的に開始したのだった。




