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第2章 第6話:図書館からの脱出と次の試練

迫り来る崩壊の波

カイトが展開した防御コードは、「真実の図書館」をゼオンの破壊から一時的に護っていたが、その光は徐々に弱まっていた。ルークの解析によると、森全体がゼオンの「破壊の裏コード」によって時限式に崩壊に向かっており、残された時間はわずか数十分だった。


「カイトさん! 防御シールドの維持には、あなたのレベル1の魔力では限界です! このままでは、シールドが破られる前に、あなたが先に魔力枯渇で倒れてしまいます!」ルークは焦りを隠せない。


カイトは、ルークの魔力増幅デバイスを通じて知力Aの処理能力をフル稼働させる。防御コードの維持と同時に**「真の起動コード」**の抽出を並行して行っていた。彼の顔には、すでに尋常ではない疲労の色が浮かんでいる。


「ルーク、解析は間に合うか? **第二界『静寂の雪原』**へのワープゲートを起動させるための、真の座標が必要だ」


「現在、図書館の石板の情報を約20%抽出しました。しかし、ワープゲートの座標はまだ見つかっていません! アリアさん、お願いします! 座標は、この図書館の中心データであるはずです!」


アリアの直感とコアの発見

アリアは、崩壊のノイズが響く図書館を駆け巡っていた。彼女は剣士としての直感を信じ、カイトの知識でもルークの知恵でも見つけられない**「答え」**を探す。


「記録は、常に中心にある……!」

アリアは、石板の山が最も高く積み上げられた中心の祭壇を、剣で叩き割った。カイトの知識では**「破壊不能なオブジェクト」とされていた祭壇だが、アリアの「意志の力」**がその法則を一時的に捻じ曲げた。

ガシャン!


祭壇が崩れ、その下から、「世界のコア」とでも呼ぶべき、ルーン文字が刻まれた巨大なクリスタルが出現した。それは、この図書館に保管されたすべての真実の記録を収束させた場所だった。


「ルーク! これよ! これが真のコアよ!」アリアは叫んだ。

ルークは、急いで解析デバイスをクリスタルに接続した。

「成功です! このクリスタルには、世界の真の歴史と、**次の隔離世界『静寂の雪原』**への正確な座標データが格納されています! ワープゲートを起動させます!」


ルークは、カイトが防御で維持している魔力を一気に奪い取り、ワープゲートの起動に振り分けた。


「カイトさん、魔力をいただきます!」


カイトの防御シールドは、一瞬にして消滅した。その直後、ゼオンの破壊の裏コードが図書館に直撃し、周囲の石板が次々とデータノイズに変わり、崩壊し始めた。


「まずい! 図書館全体が崩壊し始めている! ワープゲートの起動まで、あと数秒持ちこたえろ!」アリアは、カイトの前に立ち、剣一本で迫りくる崩壊の波を防ごうとする。


カイトの身体は魔力枯渇で動けない。彼は、最後の力を振り絞り、知力Aの処理能力を使い、ルークが解析したばかりの真の歴史のコードを、自分の**『知識の継承者』の称号に強制的に上書き**した。


(俺の知識は、もはやゲームの攻略本じゃない。この世界で消されかけた**『真実の歴史』**だ!)


キィイイイ!


カイトの称号が光を放ち、彼の脳内の虚偽の知識が、真実の記録によって一気に置き換えられた。この瞬間、カイトは世界の真の歴史を完全に掌握した。

**「ワープゲート起動!」**ルークの叫び声と共に、クリスタルの前方に、雪のように白い光を放つゲートが出現した。


知識を携えて、静寂の雪原へ

カイトはアリアに抱えられながら、ワープゲートに飛び込んだ。ルークもその後を追う。


彼らが図書館を脱出した直後、ゼオンの破壊の裏コードが真のコアクリスタルに直撃し、図書館全体が黒い渦に飲み込まれていった。

ワープゲートを抜けたカイトたちが降り立ったのは、全てが白く凍りついた、静寂に包まれた極寒の世界、**第二界『静寂の雪原』**だった。

カイトは、雪に倒れ込みながらも、意識を失わなかった。彼の頭の中は、今や**「真実の歴史」**という膨大なデータで満たされている。


「成功です、カイトさん! これで、私たちは世界の真の道標を手に入れました!」ルークは安堵の表情を見せる。


しかし、カイトの表情は険しかった。彼は、新たに入手した真実の知識から、次の隔離世界の恐ろしい特性を読み取っていた。


「油断するな、ルーク。この**『静寂の雪原』は、『世界の真の論理』が隔離された世界だ。ここでの敵は、力でも魔法でもない……『論理の矛盾』**だ。そして、この雪原には、**ゼオンの最も恐ろしい『裏コード』**が、すでに仕掛けられている……」


カイトは、寒さに震える身体で、静寂の雪原に潜む論理の試練と、ゼオンの新たな破壊工作に立ち向かう決意を固めた。

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