後編
目が覚めると、俺の体は奇妙な形に固定されていた。
直立した状態で、手だけを前にピンと伸ばしている、そんな形。
いきなり、よくわからないケースの中に閉じ込められた。
――何が起こっている!?
そして、パッと視界がひらけた。
というか、今までが闇だったんだろう。
――どのゲームだ、これは……
俺は、てっきり最初のリスポーン地点のようなところに出るのかと思っていた。
でも、こんなリスポーン地点は見たことがない。
目の前が壁なのだから。
そんなことを考えているうちに、急にケースごと俺が回り始めた。
それに、急降下している気もする。
――なんだこれは!
そして、回転が終わった瞬間、俺は周りにある色違いのブロックを見た。そして、悟った。
――これ、テ◯リスの世界じゃないか……
そう、国民的なゲームの、ブロックを落として遊ぶあれだ。
思い出す。俺は出かける前に、「最後の一戦!」と、テト◯スを遊び、撃沈したことを……。
あの時は、うっかり操作ミスをしてうまく消せなかったのだ。
――消す?
俺がそれに気付いた瞬間、上から高速で「I」の形をしたブロックが落ちてきているのが見えた。
そのブロックは隙間にすっぽりとハマり、4列が同時に光り出した。もちろん、俺も……。
◇ ◇ ◇
再び目を開けた俺の目の前に、あの女神がいた。
女神はちょっと困ったような顔をして、こう言った。
「すみません、二度目はないんですよ」
お読みいただきありがとうございました。