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第8節「禁断の果実とお庭島・後編」

俺はボランティアとしてテーマパーク「お庭島」の大掃除に来ている。

普段ならこんなこと絶対にやらない俺だが、今は命がかかっているのだ。詳細は割愛する。


ここ数日、俺は妙に頭が冴える。手を抜く意志が強い俺だが、結果を変えずに過程を簡略化する手法が、以前より磨かれているような気がする。

気が付くと、班を超え俺の指示でボランティアが動いていた。


俺の近くで、ほうきで混沌を掃き清めるミクラさん。様になっている。普段もかわいいがいまは神々しささえ感じる。


遠くで「神鋸」の「杭、改めろ」と大声が聞こえ、それに対し「イエス・ソー」という威勢のいい応えが庭園に響く。城の修繕組だ。

掃除組の俺と修繕組の「神鋸」の2勢力に島は分かれ、混沌の浄化は進んでいく。


掃除組組長として、彼の功績を評さないわけにはいかない。

「鈴」だ。皆が嫌がる腐ったゴミや朽ちた木々を率先して、処理していく彼には敬意さえ感じる。そういえば「鈴」は再建組に何故組み込まれていないのだろうか。


「おいら、兄貴と一緒の方が楽しいんで、申請しといたんっすよ。呼ばれたら向こうにもいかないとですけど。」



おかしい。頭が回りすぎる。普段の俺ならこんな怠いことしないし、すぐ飽きるはずだ。

俺は自分の異常な状態を自覚し始めた。更に思考は進む。


そもそも、あのモサイダー。定期的に飲めば不死になるのではないかと気が付いてしまった。

俺滅亡まであと990日+αだ。もう、カウントいらんな。


思考を続けながらも俺の指示で確実に清掃は進み、もう一度来たくなるテーマパークの様相を取り戻しつつある。修繕組も間もなく終わるだろう。


心地よい疲労感と死への恐怖が無くなった安堵感から俺は帰りの船で眠りに落ちてしまった。

その間にミクちゃんが俺に女の子メイクを施していたのは内緒だ。



翌日、喫茶「天」でもう一度「禁断の果実セット」を頼む。

ジブが自分の力作のリピータができたと喜んだのか、いつもより侍要素アップで答えてくれた。

「かの林檎餡餅あっぷるぱいは、ぶりのすり身を練り込んだ生地にて拵え申した。林檎りんごと申せば、これすなわち知恵の果実。DHAでぃーえいちえーを豊富に含み、頭脳の巡り、誠に速まる故に候。」

また、お前かジブ。


考えすぎもよくないな。


第8節「禁断の果実とお庭島・後編」これまで


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