第四節「地獄の日々」
俺は、バイトすることにした。
自由を愛する俺だが、最近の喫茶「天」通いも元手が要る。
小銭で済む額を大紙幣で払う客。
帰れ!と思ったが客はこれから帰るところだ。俺は何も言えなかった。
お客様を神様として扱いましょうとは、雇い主の言葉だが、俺はその神様が嫌いだ。
適当にあしらっておけば良いんだな。
叱られた。
「めろん」はコンビニ複数店舗の統括マネージャーだ。大店主とか呼ばれている。
当然、本名ではない。
廃棄袋の中に小袋をいれ、その中に規定時間を過ぎたホットスナックをいれておく。
廃棄時に回収して俺が食べるという寸法だ。
「めろん」に対する秘密の反抗。
食品の無駄を削減する事は俺の正義だ。
数日働いて分かった。俺が素で対応するのは良くない。
俺はバイト中「サ」として振る舞うことを決めた。
客の欲望を刺激し、売上に貢献するのだ。それが悪の仮面「サ」。
チキン、揚げたてでーす
俺は、商品の角度、照明の当たり方、手に取りやすい位置等を考慮し、商品陳列を直す。
客よ、欲望に任せ無駄銭をつかうがよい。
「ヘルシーマート」ここは 地獄を見る コンビニ。
第四節「地獄の日々」ここまで