第三節「天塾」
「天塾」。月に一度、ゴーさんを講師に、塾が開かれるらしい。
以前は近江 守さんを講師に天テラスという会合をしていたらしい。須佐野さんが大暴れして、開催されなくなったとか。
ミクちゃんとなる生徒が人気らしく、それ目当てで来る人も多いらしい。
ミクラさんだった。名字の方か。
中性的な美形の人だが、融通が効かないところがかわいい。
早起きして5時間かけ徒歩で来たらしい。
「天塾」は基本無料で参加できるのだが、ミクちゃんによると 申し訳ないので 徒歩で来るのが誠意だとか。どこまでも生真面目なミクちゃんに俺は微笑むしかなかった。
「天塾」では例の泥水が提供されるのが通例だ。
だが俺は、それいらない。
この店の法則は、大体分かった。
ありそうな物はあるのだ。
無さそうなものもまたあるかも知れない。
俺の語り口がゴーさんみたいになってしまった。
俺は泥水をコーラに変えてもらうよう、給仕さんに頼んだ。
テーブルにはコーラ。何があってももう、驚かない。俺はそれを口にした。
コーラ…ん?
スパイスが効いてる。天塾にはスパイスは欠かせないらしい。
クラフトコーラだ。
好みは分かれるが許容範囲内。
キッチンの奥にジブさんの姿が見えた。
犯人はお前だ!
俺は名探偵になった。
ゴーさんの話はいつも通り、よくわからなかった。
生徒らしい人たちは、勝手に有難がって必死にメモを取ってる。
ミクちゃんに至っては、ゴーさんにサインをもらったり。
影響力「だけ」はゴーさんを見習いたい。俺はそう思った。
第三節「天塾」ここまで