第29節「アンデッドの連休と記念日」
俺は「ル」。「ル」氏と呼ばれる。
最も自由を愛する男こと俺。だが愛することと愛されることは別なのもまた事実。
それは、それ。これはこれだ。
世間は超大型連休だと言うのに、今日も俺は地獄を見る場所「ヘルシーマート」でバイト中だ。
他のバイトが休みを取りたがるので、なんか俺は鬼シフトだ。シフト〄
オフィス向けの店舗だから、この期間はだいたい暇。
ぼーっとしててお金がもらえるおいしい割増もおいしいと めろん のオススメ期間だ。
だが、暇だと時間が経つのが遅い。
暇つぶしに、メモ用紙に俺は殴り書く。
「シタイ~不死騎士団長達の志」
自由に生きていいはずなんだ。
だから、したいことは全部やる。
だが、したいことは増え続ける。
したいことをやればやるほど、「もっと」だ。
体力は有限。財力も有限。時間も有限。
困った。
賢い人なら、優先順位を付けてとか言うんだろうね。
嫌だ。優先順位をつけるという作業が僕の自由を奪おうとしている。
色々トレードオフなんだ。自由を欲すれば欲するほど、自分で自分で縛らなければならない。
それは自ら自由の放棄に他ならない。
この連環からの解脱への道のりははるか遠い。
さて、深呼吸でもしようか。それぐらいの無駄リソースぐらい使う自由は手放したくない。
もう少し、この滑稽な自分を味わってニヤニヤ「したい」。
しまった。
また、「したい」が増えてしまった。
あ、今思い出した。連休前に俺は歳を一つ取った。俺誕生祭を俺自身が忘れていた。
まぁ良いか。陳列期限ギリギリのケーキもまだ並んでたはずだし、後で我が家で祝福の廃棄をしようではないか。
「その時を冷陳で待つがよい。国産洋菓子よ… あ、いらっしゃいま…ゴーさん!」
ある意味良かったのかもしれない「鈴」なら確実に我が家への「洋(菓)子ちゃん」の嫁入りを無自覚に阻止しただろう。
だが、安心は出来ない。なにせ相手は予測不能のゴーさんだ。
「よかった、此処に居たのですね。先日ミクラくんから貴方の誕生日にと預かっていた「けいき」がありますよ。」
流石、ミクちゃん。まさか俺の誕生日をチェックしてるとは。意外でもないが、数日前のケーキは流石に…
「早速開けてみて下さい。」
ここでか?
電子体温計。計器だ。確かに。
「無理をして体調を崩さないようにと、ミクラくんからの伝言です。『基礎体温』をしっかり管理して下さい」
……それを言うなら平熱だよ。ゴーさん。俺は男だ。確かに俺の内には乙女「サ」もいるんだけど。
「あと、これは私から。誕生日はあなたのお母さんが頑張った記念日です。なんか言ってあげたら良いかもしれませんね。」
なるほど。極たまには、まともなことを言うな。
「更にその前の年あたりはご両親の愛し合った…」
せっかくの名言を台無しにするてゴーさんは去っていった。
いい暇つぶしにはなったな。ゴーさん何も買っていかなかったけど。
今日のシフトが終わったら俺も連休だ。めろんがシフトに入るらしい。
一連休、まってろよ。
「兄貴、それは連休じゃないッス。騙されてるッス。」
わ、「鈴」!
声が漏れてたらしいし、不覚にも鈴に気が付かなかった。
結局、俺は、洋子ちゃんを見送るしかなかった。
第29節「アンデッドの連休と記念日」 ここまで




