7話
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「剣ノさん、行きます……」
瞬間、爆発的な加速と同時にカザミはチグサへ肉薄。その手に武器は握られておらず素手で殴りかかる。
「なんてスピード……!Aランクの私より上なの?!」
「この状態で武器を使うのは師匠から禁止されてるので悪く思わないでください」
カザミは拳でチグサの左手に握られた剣に突きを繰り出す。その拳打はとても早くAランクギフターであるチグサですら見切る事はできず刃を粉々に砕かれてしまう。
「模擬剣とは言え拳で破壊ですか……」
「終わらせるよ」
「まだよ!【水剣】発動!」
「この技能は……」
【水剣】
剣に水属性を付与。対象者の戦闘スタイルを強制的に変化させる。
「行きます!」
そう言ってカザミに斬りかかるチグサの剣は先ほどまでのスピードとパワーを兼ね備えたスタイルからは打って変わり、カザミの攻撃を受け流しながらカウンターを狙う技巧的な物へと変化していた。
「戦闘スタイルの強制変化か。面白いね」
「わたしの技能は全て筒抜けですか」
「すみません、特殊技能が勝手に発動してしまって」
「矢白様の意思とは関係ないのですからお気になさらず、ですがその力は驚異的ですね」
「まったくこれのせいで人との戦闘が面白くなくて困ってるんですよ」
カザミは幼少の頃よりギフターとしての訓練を受けており、教師の命令で対人戦闘も行ってきたがその教師本人以外に負けた事がない。武術の達人から各分野のスペシャリストを相手にしてもそれ以上の力で捩じ伏せてしまう。するといつの頃からかカザミは人との訓練に消極的になってしまった。
「矢白様は戦いがお好きなのですか?」
「そうですね。世界の何よりも命をかけた戦いが好きです。だからこの力は俺にとっては呪いなんですよ、勝ちを強制されるなんてたまったものじゃない」
「そう、ですか……」
「…………」
沈黙を破ったのはチグサによる高速の一刀だった。
「すみません……その思考も動きも見えてしまっているんです」
カザミは2本の指で自身の眼前に迫った剣を挟み、止めるとそのまま捻って剣を折ってしまう。
「残念です……少しは楽しませて差し上げようと思ったのですが……」
「剣ノさん……」
『ヤシロ カザミの対人戦闘終了を確認。戦績はSランクと判断。戦闘相手の技能を全てコピーします』
ヤシロ カザミ
年齢 16
性別 男性
職業 エゴイスト
称号 イレギュラー
レベル 36
体力 B
腕力 B
防御力 B
速さ A
魔力 B+
運 SSS
《職業技能》
【技能略奪】 LV2
【利己主義】 LV2
【絶対服従】 LV2
《特殊技能》
【利己的な共鳴】
【経験値10倍】
【成長値10倍】
【剣術適性】
《略奪技能》《複写技能》
【影転移】 LV1
【大剣術】 LV2
【黒炎魔法】 LV2
【身体再生】 LV3
【魔法剣】 LV2
【二刀流剣術】 LV1
【疾風走法】 LV1
【水剣】LV1
【風魔法】LV1
《眷属一覧》
【シャドウウルフ】LV34
「そこまで!勝者、矢白 風見殿!!」
翼の声が訓練場に響き渡ると見物に来ていたギフター達がざわめき出す。
「剣ノ殿が負けたのか?」
「相手はCランクらしいが」
「あの神の声と言い次期当主様は面白い男を連れて来なさった」
皆さまざまな意見を喋っているが、カザミへの印象は良い様だ。次期当主の筆頭従者が負けにも関わらずこの雰囲気なのは実力主義を絶対とする御剣家のギフター故のものだろう。
「剣ノさん、ありがとうございました」
「こちらこそ、矢白様ならばSSSランクも夢ではないかも知れませんね」
模擬戦が終わり和気藹々とした会話がされていたその時、それはカザミの視線を一瞬で釘付けにした。腰まで伸びる純白の髪にオニキスを彷彿とさせる黒く美しい瞳。
腰には白と黒の神々しい片手剣を携えており、着ている服も黒と白のスポーティーなものだった。
「ヤシロ カザミ?貴方に興味が湧いたよ。私はリア・ホワイトドール、職業は勇者……だよ?」
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