15話
「カザミ、用事ってなに?」
「3番ダンジョンに行きたいんだけど俺のランクだと入れないから同行者枠で連れて行って欲しいんだ」
「いいよ」
「俺から言っておいてなんだけどそんなにあっさり承諾してくれるとは」
鋼一さんも何故か絶対承諾くれるって言ってたんだよな。リアってあんまり人の頼みを断れないタイプなのか?
「カザミ、失礼な事考えてる?絶対そうだね」
「そ、そんな事ないよ!」
「嘘をつかれた……悲しいね。おろおろ……」
「ああ!ごめんごめん!違うんだ、鋼一さんがリアなら絶対承諾してくれるっていうから人の頼みを断るのが苦手なのかと思って」
「カザミにだけだよ?特別だね」
「え?それって……」
「カザミは兄弟子。特別だね」
そう言う事か。一瞬でも胸を高鳴らせてしまった自分をぶん殴りたい。そうだよな、この天才天然勇者様が俺の事を、というか好きな人ができるなんてありえない。
「ありがとう、リア。それじゃあ準備して向かおうか。車はもう手配してあるらしいから」
「うん、ちゃんと装備していく」
それから少し待つとリアは自身の象徴とも言える2色、白と黒に統一された装備でやってきた。物語の戦乙女をイメージさせる軽鎧に腰に携えた聖剣。あまりの美しさに数秒目を奪われる。
「カザミのそれ、例の装備?」
「うん、機械仕掛けの天使と戦って意識を失った時に俺の近くに落ちてたらしいから多分ドロップアイテム」
基本的に俺は身軽なスタイルを好むので防具とかは今までつけてこなかったのだが、今着けている軽鎧は不思議な事に一切重さを感じなかった。リアと同じく白と黒を基調としたシンプルなデザインだけど細かいところの意匠が凝っていて気に入ってる。
「その剣、凄い魔力……」
「これもその時のものなんだけど、鎧と一緒に御剣家で鑑定してもらったらとんでもない効果ばっかりだったよ」
「カザミの方が勇者みたい……悔しいね」
「いやいや、リアの方がかっこいいし神々しいよ。初めて見た時は神話に出てくる戦乙女に見えたもん」
「!!!?そんな事は良いから早く行こう……急がなくちゃね…………」
「あ、待ってよ。リア!」
なんだ?いつもと様子が違うけど、まあダンジョンに入ればいつもの天才天然のリアに戻るだろう。
今日はアイツとの再戦、気合いを入れて行かなくちゃな。
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